表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/47

言葉の真意3

久しぶりの投稿ラミレシアです!

では早速本編へどうぞ。

リコ達とギルダが対峙する少し前に遡る。


大きな岩陰に隠れたケイト達はギルダ達の様子を遠くから双眼鏡で確認していた。

双眼鏡でギルダ達を見つめるケイトに対して、リコは岩に寄り添い何かを考えるように地面をじっと見つめていた。

ルーリは空中でパタパタと羽を広げながら、そんなリコの様子を心配そうな表情で見つめている。

ケイトはギルダ達の様子を見た後で、双眼鏡を降ろしリコの方へ顔を向けた。

「リコどうしたんだ?やっぱり変だぞ?」

ケイトの声掛けに対してリコは不機嫌な態度を見せた。

「変?、変って何よ!私は何も変じゃないわ!」

リコはそれだけ言うと、また地面に視線を移した。

そんなリコを見てケイトは何も言い返さず、ルーリと視線を合わせた後ギルダへと視線を戻した。


ケイト自身リコに何かが起きている事はわかっていた。

しかし、それを聞いていいものか躊躇われた。


リコは小さい時から負けず嫌いでプライドが高い。

そう、ケイトとリコが顔を初めて合わせたあの時から・・・。


そんな事を考えながら双眼鏡を手にしているとギルダが動けないフィレーネの胸倉を掴み上げていた。

ケイトの中でギルダの言う『今は来るな』とリコへの報告は相反していた。

リコがこの事態を見れば真っ先に飛び出して行く事はケイトには良く分かっていたからだ。

悩んだ結果ケイトは事実をゆっくり口にした。


「リコ、フィレーネさんが・・・」

「フィレーネさんがどうしたの?」

「なんか・・・まずいような・・・」

リコの質問に対してケイトは曖昧な表現を口にした。

そんなケイトから不機嫌そうな表情で双眼鏡を掠め取ったリコは、

姿勢を低くして岩陰から双眼鏡を覗きこんだ。


「ちょっと!大変な事になってるじゃない!あんた今まで何見てたのよ!」

リコはケイトに不機嫌な態度で言い放つと馬に急いで跨った。

「ちょ、おい!まてって!おいてくな!」

「リコ様!?置いてかないでください〜」

それを見てケイトは慌て、ルーリは涙目で馬に飛び乗った。


リコは馬に強くムチを入れギルダ達がいる方向へ走らせた。


真剣な眼差しで前方を見据えるリコに対し、その後ろに乗ったケイトは馬から振り下ろされそうになっていた。

同時にルーリも目を瞑りながらケイトの髪の毛に必死にしがみ付く。

「おい!リコちょっと落ち着けって!」

「落ち着けですって?!この状況で落ち着いていられる方がおかしいわよ!」

「いや、そういう意味じゃなくて、話を聞けって事だ!」

「もういいわ。私一人でやるから!」

リコはケイトの話を無視すると、目を瞑り馬上で両手を左右に広げた。

「お願い!精霊よ!私に力を貸して!」

祈りと共にリコの両手へ青い光が集まるがすぐに消滅し、リコは悔しそうに唇を噛み締めた。

(力が弱い・・・。これじゃ話にならない・・・)


しばらく考え込む様に俯いていたリコは意を決した表情で口を開く。

「ルーリお願い!力を貸して!」

ルーリに対して助力を求めるリコの姿を見てケイトは一瞬不満そうな表情を見せた。

そんなケイトを横目で見つつルーリはリコに返事を返す。

「わ・・わかりましたです!」

ルーリはケイトの頭上で両手を合わせ集中する様な姿勢を取ると、青い小さな光と共にルーリは姿を消した。




そして、時はギルダとリコ達が対峙する場面へと戻る。


リコが走りながら真剣な表情で懐から短剣を取り出すと同時に、肩の上にいたルーリは青い光と共に姿を消した。

「ギルダさんにはルーリの事感謝しています!ですが、それとこれは話は別です!

どういう理由があってもこれはやりすぎです!」


「かもな」

ギルダは困惑した表情でリコの言葉を聞いた後小さく呟いた。


次の瞬間ギルダの剣とリコの短剣が火花を飛ばしぶつかり合う。

「俺をどうするつもりだ?」

「貴方を動けなくします」

「やれるのか?今のあんたに」

ギルダの言葉にリコは不快な表情を見せた。

リコは短剣を器用に動かしギルダのもつ剣へと攻撃をしかける。

しかし、ギルダはあっさりと短剣を受け止めた。


「太刀筋は悪くない。でも、相手の力量が読めないほど冷静さを欠いてちゃ話にならないぜ?」

ギルダが余裕の表情を剣先にいるリコへ向けると、

リコは表情を歪め詠唱を口にした。

「水の妖精ルーリよ、我に力を分け与えよ!」

詠唱と共にリコの体を青い膜が覆うかのように薄っすらと輝いた。


リコは身体能力があがったのか先程よりも素早くギルダの右側へ移動し短剣を数太刀振るった。

だが、ギルダは顔色すら変えず悉く受け止めた。

「やっぱりね。でも、これならどう?」

リコは淡々とそれだけ言うと左手でギルダの右肩を掴んだ。

同時にリコの体にあった青い膜は消え短剣が青く輝く。

「水流衝撃波!」

リコの大きな掛け声と共に短剣から青い光がギルダの胸部に向かって飛び出していく。。

ギルダは咄嗟に両腕を前に出し防御の体勢をするが、大きな衝撃に耐えられず後方へ吹き飛ばされた。

しかし、空中で回転し体勢を整えると何事もなかったように着地した。


「ふー。こりゃあ・・・俺が思ってた以上に・・・」

「リコさん、待ってくれ!」


ギルダが面倒そうな態度で呟いていると、気が付いたのかフィレーネの搾り出したような言葉が割って入ってきた。

リコとギルダがフィレーネの声がする方へ振り向けばケイトとジンもそこにいた。

「リコさん、ギルダと戦わないでくれ。話せば長くなるかもしれないが・・・、ギルダは悪くない・・・はずだ」

傷口が痛むのか表情を歪めていたがフィレーネは真剣に言葉を紡いだ。


リコはフィレーネから相対するギルダに視線を向けなおすと口を開いた。

「どうしてその理由を言わないんです?言ってくれれば攻撃はしなかった」


「そうか。それは悪かった。だが、俺にはリコが冷静さを欠いている気がしたんでな。

話が通じると判断しなかっただけだ。それに・・・」


「それに?」


「いや、まあいい。誤解が解けたなら、急いでフィレーネ隊長とジンの容態をみてあげてくれないか?

俺はどうにも治癒能力には長けていなくてな」


ギルダの言葉にリコはどうにも納得できず、釈然としない表情を見せた。

「・・・わかりました。事情は後で聞きます」

それだけ言うとリコはフィレーネとジン、ケイトがいる場所へすぐに移動し、

怪我の具合を見るなりケイトに指示をだし始めた。


ギルダがその姿を見ていると先程までリコが立っていた場所にルーリが突如現れ、ぐったりした様に肩を落としたまま浮いていた。

ルーリは自分を見つめるギルダに気付くと軽くお辞儀をした後でリコの元へ飛んで行った。


「さて・・・、これからだな。どうなることか」

ギルダは忙しなく動くリコ達を見つめながら呟くと、空に浮かぶ欠けた月を見上げた。



リコ達はフィレーネとジンの応急処置を終えると急いでネバルゲ村へ移動を開始した。



ジンは気遣われるのが嫌なのか一人で馬へ乗り、ギルダとケイトは相乗りした。

ルーリは風に飛ばされない様セリスに括り付けられた鞄の中へ入り込む。

フィレーネは馬上でリコに体を預けるように寄りかかり、

村へ移動する間もフィレーネは体中の痛みに耐えながらも今回の事情を話してくれた。

「そう・・・だったんですか・・・」

リコは神妙な面持ちで考え込んだ後、後方でケイトと相乗りするギルダへ申し訳なさそうな表情を見せた。


「ギルダは馬鹿そうに見えるが、誰よりも頭が良い。だからリコさんの気持ちもわかっているだろう。

だから真正面きって謝ろうと考えない方がいいよ。そんな事を考えているとギルダはリコさんの前には現れないだろうしね」


前に座るフィレーネの言葉を聞きリコは複雑な表情を見せた。


「こんな方法しかなかったんですか?」

「こんな方法とは?」


リコの質問に対してフィレーネも質問で返した。

「こんなにぼろぼろになって・・一歩間違えれば・・・」

心配そうに紡ぐリコの言葉に対してフィレーネは前を真っ直ぐ見つめたままゆっくり口を開いた。


「不器用な人間なんだよ。私もギルダも、そしてジンもね。

言葉じゃ伝わらない事があるんだ。これは理屈じゃない。

思いと思いをぶつかり合わせなければ相手へ届かない事もある」


フィレーネは自分の体の傷をじっと見つめ胸に手を置くと言葉を続けた。


「この傷はその代償さ。命を賭けてでも守りたいものがある。それは悪い事じゃない。

むしろ良い事。ただそれを・・・、その意思を守り抜くだけでも命がけって事だよ。

リコさんにもいずれ分かる。貴方も思ったより不器用そうだから。

本当に守りたい者があるなら、敵だろうが味方だろうが関係ない。ぶつかり合う。

私はそれを今回ギルダに教えてもらったよ。


まあ、限度があるけどね。いつかギルダより強くなって自分の意志を突き通したい。絶対に。」


フィレーネは自分の胸に当てた拳を強く握り締め、ギルダに負けたにも関わらず清清しい表情で語った。

「私は・・・」

それに対して、リコは誰にも聞こえないほどの小さい声で呟やき神妙な表情をしたままじっと前を見つめていた。



リコ達がネバルゲ村が見える位置まで移動する頃には地平線が光を帯び始め、村の入り口付近には人だかりができていた。

「ギルダさん、いえ、師匠、入り口付近に聖騎士団の方々が整列してますが?」

双眼鏡を片手に口を動かすケイトにギルダは一呼吸入れ話しかけた。

「この縄で俺の手首を縛ってくれ」

思いも寄らぬギルダからの申し入れにケイトは首を傾げた。


「・・・・?」

「まあ、いいから。とにかく縛れ」

流されるままにケイトはギルダの両手首を縄で縛った。


しばらくして意味がわかったのかケイトは口を開いた。

「ギルダさんは悪くないですよね?」

「こういう時はな、落とし所が大事なんだよ。よーく覚えとけ」

ギルダはケイトに教えるように言うと、声を大きくして前方を歩くジンとフィレーネに声をかけた。

「フィレーネ隊長!ジン!辻褄合わせ!よろしく!」

いつもと変わらないお調子者であるギルダの声にフィレーネは呆れた表情を示し、ジンは納得がいかないのか不満げな表情を見せた。

「この大馬鹿者!格好つけるな!」

「ばーか、最後くらい格好つけさせろ!」

フィレーネの言葉にギルダは食って掛かかった。この時フィレーネが大声を出しながら涙を浮かべていた事にジンだけは気付き、

複雑な心境でフィレーネの横顔を見つめていた。



入り口に着くと聖騎士団員達は統制されたように身じろぎせず出迎え、

整列する最前列からソフィアが歩み出るとフィレーネが乗る馬の横に立ち手を差し出した。

「フィレーネ様、ご無事で何よりですわ」

ソフィアの言葉に対して何も言わずフィレーネはそっと出された手を握り馬を下りた。

「変わりはないか?」

「もちろんですわ」

フィレーネの言葉にいつも通り淡々と応えるソフィアはギルダをじっと見つめた。

そんなソフィアにフィレーネはすれ違い座間に耳元で呟いた。

「ギルダを頼む」

「はい」

フィレーネの言葉にソフィアは目を瞑り誰にも聞こえない声で応えた。

そして、やるべき事が決まったかのように目を開けると聖騎士団員達の方へ振り返り口を開いた。


「フィレーネ様とジンを聖騎士団の宿舎へ運びなさい!そして、ギルダは牢に!

残りの者は聖騎士団第二宿舎へ移動をお願いしますわ!」


『ギルダは牢に!』と言うソフィアの言葉に聖騎士団員達は目を大きく開け戸惑いの表情を見せたが、

すぐに大声で返事し素早く動き出した。



聖騎士団員に挟まれ村の中へ入ろうとしたフィレーネは一度振り返るとリコとケイトに軽く会釈をし、

その後でギルダをちらりと見ると村の中へ入って行った。


それに続く様にギルダとジンも馬を降り聖騎士団員達に囲まれ村の中へ入って行く。


残されたリコとケイトは馬小屋の近くにある木へ移動しセリス達を縄で括りつけた。


リコはセリスに括り付けられた鞄の中から眠っているルーリを抱き上げると、

神妙な面持ちのまま自分達の宿舎の方向へと歩き始める。

そのリコの背中をケイトはじっと見つめ、意を決したのかリコを背中から抱きしめた。


突然の出来事にリコは目を丸くしたが、反射的に抱きついたケイトの頭へ拳を振り下ろしていた。

「何やってんのあんた!」

「痛ってえええええええ!」

リコの怒声にすら反応出来ない程の激痛に、ケイトは声を荒らげたまま頭を押さえ地面を転がった。

ケイトの声にルーリはリコの腕の中で目を開け、小さな腕を空高く伸ばした。

「むふぁ・・・。ふぁぁぁぁ」

ルーリはそのまま回りを見渡しリコの腕の中にいる事に安堵すると共に、地面を転がるケイトを首を傾げながらも見つめた。


「いきなり何なのよ!?」

リコの怒声にルーリは困惑の表情を見せたが、地面を転がるケイトを再度みて察した様に呆れた表情を見せた。


ケイトは痛みが多少収まると同時にゆっくり立ち上がり、怒った表情で自分を見つめるリコに頭へ手を置きながら向き直った。

「久々に効くな・・・。リコのパンチは」

「まったく!突然何なのよ!びっくりするじゃない!」

いつものリコらしい振る舞いに安堵すると、ケイトは真剣な表情でリコをじっと見つめた。


「そろそろ話してくれないか?俺に隠してる事あるよな?」

「い・・・いきなり何!?」


真正面から問いただされたリコは動揺したのか裏返ったような声を漏らした後、

自分を見つめるケイトの真剣な眼差しに吸い込まれるように視線を奪われた。


ケイトとリコの間で時間が止まったかのような沈黙がその場を支配し、

ルーリは固唾を呑んで二人を交互に見つめた。


沈黙を破ったのはリコだった。


「私は水の神殿へこれから向かう。これは私にしかできない。

私がやらないといけないの」

「俺だってお前を守る為に・・・」

「話は最後まで聞きなさい」


リコの口調から強い意志を感じ取ったのかケイトは自分の言葉を飲み込む。


「私は覚悟をして旅に出た。でも、事はメイアスに留まらない・・・。予想の範疇を超えているわ。

そんな状況にも関わらず私は力を失った。これから力が戻るとも限らない・・・」


「だから俺を連れて行けないってか?」


「・・・」


リコの沈黙はケイトの質問に対する肯定だった。

「俺はこの村に来てから良く分からないが未知の力を感じる様になった。

これが精霊の力なんだろ?師匠から聞いたんだ。

俺は自分で自分を守れる!だから、前にも言ったかもしれないが一緒について行くぜ?」


ケイトの口から予想していた事実を聞きリコは納得する。


「その精霊は恐らく私の周りに居た精霊。そうよね?ルーリ」

突然リコに話を振られ、ルーリは動揺した後、言い難そうに小さく応えた。

「はい・・・。ケイト様の周りに集まりつつある精霊は元々リコ様の守護を勤めとする精霊です」


「そう・・・だったのか・・・」

ケイトは力を感じる様に自分の右手に視線を落とした。


「その力で里の皆を守ってほしい!これは私の意志よ!

だから・・・里へ戻ってほしい・・・。

里の皆が危ない目にあっていると思うと・・・。

だから、お願い!里へ戻って!」


リコの言葉にケイトは視線をそらし苦渋の表情で唇を噛み締める。


「俺は・・・それでもお前と一緒に行く!これは俺の意思だ!

俺はお前を守れなかったら一生後悔する!この世界の全てを破壊する程後悔する!」


「私は里を守れなかったら一生後悔する!だから里へ帰って!」


ケイトとリコはどちらも真剣だった。そんな話にルーリが入り込めるはずもなく、リコの腕の中で動揺しつつルーリは寝たふりを実行した。


「そこまで言うなら命令よ!里へ帰りなさい!」

「その命令だけは聞けないね!」


両者一歩も引かず話が進んでいると、嫌でも慣れ親しんだ声が割ってはいる。


「朝から元気だねー。お二人さん!」


ケイトとリコが声のする民家の屋根へ視線を向けると、牢へ連れて行かれたはずのギルダがお椀を片手に何か食べていた。

「何やってるんですか?私達今取り込んでるんです。邪魔しないでください!」


「うーん・・・とりあえず朝飯。つーか、道端で叫びあってれば誰でも気付くぜ?ほれ」

ギルダが通りを指差すと立ち並ぶ民家から村人であろう数人が様子を窺う様にじっと見ていた。


リコはその様子に赤面し動揺を示す。対してケイトは自分達を見つめる村人に愛想笑いをしながら頭を下げた。


しばらくし、場が収まりを見せ始めるとギルダが口を開いた。

「まあ、なんつーか、勝負して決めたら良い。さっきの俺達みたいにな。

あれが一番お互いの腹の中をすっきりさせる。どうだ?」


「・・・わかったわ。私が勝ったらケイトは里へ戻ってもらうわ。いいわね?」

「お・・・おいおい!?本気かよ・・・!?」


リコはギルダの提案に対して不服ながらも賛同し、ケイトは動揺した様子でリコとギルダに視線を交互させた。

そんなケイトを見かねたのか、ギルダは身軽な動きで地面に降り立ち両者を見る。


「これで村の平和は保たれたわけだ」

「私達を腫れ物扱いしないで」


ギルダは呆れたような表情をした後、付け足すように口を開いた。


「場所はこの村の裏手にある荒野にしよう。ルールは真剣勝負。勝敗は降参するか戦闘不能になったら負けだ。

明らかに負けだと思った時は俺が止める。それでいいよな?」


「構わないわ。時間は?」


「時間もないし、今から30分後でどうだ?」


「おっけーよ」


「お・・・おいおい・・・」


リコとギルダの間で話がトントン拍子に決まっていく事にケイトは隣で動揺を隠せないでいた。

そんなケイトにリコは真っ直ぐ見つめ口を開いた。


「それじゃ私は先に行ってるわ。ケイト、私が勝っても恨まないでよ」


それだけ言うと、リコはルーリを抱いたまま歩いて行った。

そんなリコの背中を複雑な心境で見つめるケイトにギルダは肩を叩く。


「良かったな!我が弟子よ!がんばれよ!」

「『がんばれよ!』じゃないっすよ!どうしてこんな事に・・・・」


「馬鹿やろう。そんな弱気でどうする。リコの本気を受け止めれるのはお前しかいないんだぜ?

リコに見せてやればいい。お前の本気をな。

まあ、負けたら素直に帰るんだな。俺もそれはそれで師匠を辞める口実ができて悪い条件じゃないし」


「ちょ・・・えー!?そっちが本命とかじゃないよな!?」


「さあな。でもまあ。女に負けるような洟垂れは弟子にいらん」


ギルダは言い放つと同時にジャンプし、ケイトに背を向け民家の屋根に飛び乗った。


「30分後に俺も見に行く。お前も今の内に準備しておけ。本人は弱くなったと言っていたが・・・あれは強いぞ。それじゃあな」


ギルダは後ほどの再会を約束すると消えるように姿を消した。


残されたケイトは一人佇む。

「リコが強いのは知ってるさ・・・。一度だって勝った事ないんだし。でも・・・・」

ケイトは呟いた後、リコが歩いて行った方向を真剣な表情でじっと見つめた。













































































次回24話であいましょう!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ