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リコとレアラ

こんにちわ!ラミレシアです。

久しぶりの更新です!リコとレアラ仲良くなれるかな・・・

私はフィレーネを探す為、民家を探し回った。

大きな民家をノックするとフィレーネの声が返ってくる。

「入っていいぞ」

フィレーネから許可を得て戸を開けると、中には聖騎士団の方々が大勢集まっていた。

「あ、すみません。」

私に大勢の視線が集まり、なんとなく戸を閉めようとした。

「待ってくれ」

いきなりフィレーネに声をかけられ手を止める。

私がフィレーネに声をかけられた事により、更なる視線を浴びた。

「あ、はい」

私は緊張した面持ちで立ち尽くす。

「ソフィア、後は頼む」

「了解ですわ」

ソフィアは、フィレーネに返事すると共に私を観察するようにじっと見つめていた。

フィレーネは私を押し出すように外へ出る。


「すまない。ちょっと打ち合わせをしていたものでな。

誰か探していたのか?」


「フィレーネさんに明日か明後日には村を出る事を言っておこうと思いまして。」


「そうか。わざわざすまないな。旅支度なら、村外れにある井戸に隣接している民家でできるはずだ。

話はもう既に通してある」


「ありがとうございます」

私はフィレーネに軽くお辞儀をする。

「そちらの話はそれで終わりか?」


「え?あ、はい」


「ならば場所を少し変えよう」

突然フィレーネに場所変えを提案され、私は後をついていく。

私達は村の最奥に向かう。

そこには何かが埋められたような砂の跡地が残っている。

「此処は・・・」

私は辺りを見渡す。

「此処は今回の件で死んだ村人の墓だ」

フィレーネの言葉に私は目を大きく広げ息を呑む。


「死者は12名。そして12名全員が水巫女の居場所を断固として言わず、

反抗的という名目で殺されたそうだ」

フィレーネの言葉と連動するように私の心臓が大きく波打つ。


「水巫女に会ったら伝えてほしい。今度ネバルゲ村に立ち寄る事があったら、

手を合わせてあげてほしいと」


私の目から涙が溢れる。

この時思った。

水巫女という代名詞の重さを・・・。

水巫女は誰にでもなれる物じゃない。

そして、水巫女を信じる者がいる。命を賭けてまで・・。


私は口元に手を当て嗚咽を漏らす。


レアラの言葉が頭に響く。


”巫女の命を何だと思ってるの!?”


私はゆっくりと口を開いた。

「ちゃんと・・伝えます・・。水巫女様に・・」

私は鼻水と涙でうまく喋れなかった。


その後フィレーネと共に、墓の前で目を閉じ手を合わせた。


しばらくして目を開け涙を拭く。

誰かの視線に気付き目を向けると、フィレーネはじっと私を疑う様に見つめていた。

「な・・何か?」

「いや・・何でもない」

フィレーネは墓に視線を戻すとゆっくり口を開いた。

「申し訳ないが、今後レアラ様は我らと共に行動する。」

フィレーネの言葉に私は唖然と立ち尽くす。

「それ・・は、決定事項ですか?」


「そうだ。レアラ様には巫女長テリネス様とお会いになってもらう。

その為、我々は光の里へ向かう」


「テリネス様・・」

私は一度だけ会った事がある、聖母の様な女性を思い出した。


「あの・・メイアスで何が起こってるんですか?

テリネス様と面会なんてただ事ではないはずです」


「正直、全体の把握はわかっていない。

レアラ様が齎した情報だけが唯一の手がかりと言ったところか」


「どんな情報なんですか?」


「ステネイラ大陸にある精霊と妖精の国、ラドナ王国が攻め滅ぼされた」

私は驚愕し、声がでなかった。


「まあ、真偽は定かではないが、どちらにしても事態が事態だ。

動かないわけにはいかない。」


フィレーネは真剣な表情で私に語りかける。

私も事態の大きさに驚きながらも応える。

「私達にできる事があれば言ってください」

私の言葉に対してフィレーネは笑みを向けた。

「ああ。もちろんそのつもりだ」



私はフィレーネと別れた後、再度レアラを探して村の中を走り回った。

夕刻頃に私はレアラを見つける事ができた。

レアラは、夕日に照らされながら外郭に背を預け、俯いた表情で座っていた。

私はゆっくりレアラに歩み寄る。


「レアラ」

私の声に、レアラはゆっくりと顔を上げこちらを見る。

するとレアラは目元を赤らめ泣いていた。

私の顔を見ると大きな声をあげて泣き始める。

「レアラ!?」

私は素早く駆け寄り、体をしゃがませるとレアラに怪我がないか全身を見渡した。

「どうしたの?!大丈夫!?」

レアラは私の声に反応するように抱きついてきた。

私も、泣き続けるレアラをゆっくりと抱きしめ返す。

しばらくレアラは泣き続けた。

溜め込んでいた物を吐き出すかの様に。




レアラは落ち着きを取り戻すと私から離れた。

「リコ、ごめん」

「ううん」

私はレアラの真正面に座っていたが、レアラの横へ移動し座った。

そして、息を大きく吸い込む。

「レアラごめん!」

急な私の言葉に、レアラは驚いた表情で見つめてくる。


「レアラの言いたい事わかった。だから謝りにきた」

「え?」

レアラは唖然と私を見つめる。


「さっきね、フィレーネさんに言われたの。

水巫女の居場所を吐かなくて、殺された村人の話を」


私は自分自身に言い聞かせるように話す。


「ずっと、巫女は皆を守る存在なんだって思ってた。

だから、私が巫女を辞めても、次の巫女が皆を守るんだってずっと思ってた。


実際に皆を守る存在でありたいと思ってたしね」


私はレアラの方を向く。


「本当は違った。私は皆に守られていた。


思い上がってたんだなーって思う。

これだけの人に守られて、それに対して私がしてきた行為は跡継ぎがいるから自分はどうなっても良いと・・・。


水巫女の為に命を張った人に対して、失礼極まりない・・・。


だからね・・。もう巫女の力なくても、亡くなった村人の為に私はできる事をしたい。

できるなら、もう一度巫女として・・・」


「リコ、今度は自分を責めすぎじゃ!」

レアラが突然声を張り上げたので、私は話を止め目を丸くする。


「リコの言いたい事はもう童に伝わった!

もう・・よい・・。


今度は童に話をさせてくれないか?」

レアラは高ぶった感情を落ち着かせ、恥ずかしそうに私を見る。


「うん。レアラの話聞かせて」

私も真っ直ぐレアラを見る。


「あの時、童はリコを責める権利などなかった。

リコは・・皆を救ったのだから・・・。すまなかった・・」


レアラはぎこちなく私に謝罪する。

私もレアラの言葉を真正面から受け止める。


「リコに巫女であってほしい!

本当に心から・・そう思ったのじゃ・・」


表情を曇らせるレアラに私は笑顔を向けた。

「ありがとう。レアラ」

私の言葉にレアラは小さく頷いた。




私とレアラは、しばらく外郭に寄りかかり空をみあげた。

「リコ・・・、童は母上やサヤナ・・それに故郷を取り戻したい」

レアラは地面を見つめながらつぶやく。

「手伝・・・」「いいよ。私でよければ」

私はレアラが言いたい事が読めたので、同時に喋った。

「私は水の神殿へ行かないといけないから、それが済んだらレアラの国へ行こう」

私は笑顔でレアラに向き直る。

「ありがとう。リコ」

レアラは泣きながら笑っていた。

「レアラ、笑いたいのか泣きたいのかわからないよ?」

「だって・・嬉しくて・・嬉しくて・・・」

「私も嬉しいよ。レアラとちゃんと話ができて」

私はレアラの頭に手を添えて優しく撫でた。


するとレアラの頭上で、手に妙な感触を覚えた。

「あれ・・・レアラの頭に何か・・・」

私は再度レアラの頭を撫でる。

しかし、もう何かに触れる感触はなかった。

レアラは何かを探すように地面をじっと見渡している。

「レアラどうしたの?」


「えっとね・・・童の頭上にはルーリという妖精がいたのじゃ・・。

あ!いた!」


レアラは、何かを掬い上げるように手を地面に添える。

「かなり小さくなっておる・・・」


レアラは悲しそうな表情で手の平を見つめる。

「ケイトも言ってたけど、ルーリって・・・」


レアラは手の平を前に出し、私の言葉を遮る様に真っ直ぐ見つめる。

「この子はそなたの妖精じゃ。

だが、妖精や精霊達からの信用を失ったリコに、この子の主である資格は無い。

だから、リコにはルーリの姿が見えないはずじゃ」


私はじっとレアラの手の平を見つめるが、言われたとおり何も見えなかった。


「もうじきこの子は消える。童にも見えなくなる・・」

レアラの言葉に、私は胸が苦しくなった。


「そう・・・」

私は言葉少なく応えた。



「何しんみりしてるんだ?譲ちゃん達」

突然ギルダが外郭から顔を覗かせた。

私とレアラはギルダに視線を移す。

「そなたには関係ない話じゃ!

あっちへ行っておれ!」

レアラは部外者を追い払う様な仕草をする。


「連れないな。ちったあ、俺にも事情くらい話せよ。

俺はお前らを心配してやってるってのにさー」


「誰も心配してほしいとは言っておらぬわ!」


ギルダとレアラが睨みあってる所を私は止めに入る。

「レアラ落ち着いて。ギルダさんには何かとお世話になってるのよ。

あんまり怒らないで」


私に言われレアラは渋々引き下がる。


「リコは話がわかるね。そっちの譲ちゃんと違って」

ギルダの挑発にレアラがまた何か反論しようとしたが、私は腕をレアラの前に出し止める。

「ギルダさん用件は何ですか?ちょっと今私達は取り込んでて」


ギルダは私の話を聞いた後、レアラの手元に視線を当てる。

「取り込んでるのはその妖精の事か?」

ギルダの一言にレアラは驚愕する。

「そなた、この妖精がまだ見えるのか?!」

「ん?まあな」

ギルダはそれだけ応えると、外郭を飛び越しレアラに歩み寄る。

そのままじっとレアラの手の平を見つめる。

「こりゃ、まもなく消えるな。妖精がこんなになるなんて初めて見た。

この妖精の持ち主は誰だ?」


ギルダはレアラと私を交互に見る。

「わ・・私ですけど・・?」

私が返事をすると、じっと見つめてきた

「妖精は大事にしろよ。命に関わるからな」

そう言うと、ギルダはレアラの手の平から妖精を掬う仕草をする。

そして、私に手を広げるよう促す。


ギルダは私の手の平に何かを乗せる仕草をした。

「そのまま動くなよ」

ギルダはそれだけ言うと目を閉じた。

私とレアラは何をするのか気になり、視線をギルダと自分の手の平を交互させる。


ギルダはいきなり何処の言葉かわからない言葉を発した。


すると、私の体が青く光始めた。

「何!?」

私は自分の体を囲む青い光に目を向ける。

次第に青い光に字が浮かび上がった。

レアラはそれを見て驚愕する。

「・・妖精との再契約・・!?

ありえない・・こんな事・・・」


私は自分の手の平に目を向けると、体を丸めた小さな妖精が目を閉じ座っていた。

「・・これが私の妖精・・ルーリ・・・」

声が聞こえたのか、ルーリは目を開けた。

眠りから覚めたように、呆然と周りを見渡している。


私は初めて見る自分の妖精を前に、どうしていいのかわからなかった。

ルーリは視線を動かし、自分の体を支える腕を辿る。

「リコ様・・・リコ様!?」

ルーリは羽を広げ私の頬に抱きついてきた。

「リコ様、リコ様、リコ様!」

私はルーリの頭を指先で撫でた。

「ルーリ、初めまして」

「え?あ!・・ルーリです!リコ様!」

ルーリは頬から離れ、高揚したまま私の前で羽を広げてお辞儀をする。

私はルーリに会えて良かったと心から思った。

それに応えるようにルーリも満面の笑みを返してくれた。


「ギルダさんありがとうございます!」

私はギルダの方へ向きお辞儀をする。

すると、ルーリも宙で私の真似をする。

「ありがしょうございます!」

ルーリは興奮しているのか、言葉が可笑しかった。


ギルダは少し照れた表情をする。

「まあ、良かったんじゃねえか?」


私とギルダが話をしてる間、レアラは一人覚束ない表情をしていた。

「レアラどうしたの?」

「え?いや、何でもない」

私はレアラの仕草が妙に気になった。


しかし、ギルダが口を挟む。

「おっと、用件を忘れるところだったぜ。

フィレーネがレアラをお呼びだ。恐らく、明日に村を出る件だろうな」


「ギ・・ルダ・・・、童はリコ達と一緒に行きたいんじゃが・・」

レアラは言い難そうにギルダを下から見つめる。


「さあな。それは俺が決めていい事じゃない。

とりあえずフィレーネの所へ行ってくれないか?

話はそれからすれば良い」


「うむ・・・。わかった」


俯くレアラ。

「レアラ・・・」

私はどう声をかけて良いのかわからなかった。


「それじゃ、童は行くな。リコ、迷惑かけた・・・」

それだけ言うと、俯いたままギルダと歩いて行った。


「待ってるからね!」

レアラの背中へ声をかけると、

レアラは微かに頷いた様に見えた。

私は一人、二人の背中をじっと見つめていた。


























読んでいただきありがとうございます!

では次回18話でお会いしましょう!

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