少女たちの心中(第一部ネバルゲ村編完)
第一部中途半端に終わりました!(汗)
っていうか終わり方が中途半端すぎてごめんなさい!
では本編へどうぞ!
村の入り口にある無事だった民家を使い、聖騎士団達は村人とケイトの治療を始めていた。
民家の中は怪我人が数名横になっている。
「私も手伝います。」
「ん?ああ。頼む」
私の言葉にギルダはちらりと顔を上げ場所を空ける。
横になって眠るケイトと村人達。
私はケイトの怪我を確認した後、ギルダから治療箱を借り治療を始めた。
「あの、皆を助けてくれてありがとうございます」
私は手を動かしながらギルダに言った。
「それはお前さんも一緒なんだろ?」
ギルダも手を動かしながら言う。
「私は何も出来ませんでした。いえ、えっと・・・皆さんが来なければ私は死んでました」
喋りだしてから相手の名前を知らない事に気付く。
ぎこちない言葉から察したのか、ギルダは自己紹介をしてくれた。
「俺はギルダだ。で、さっきいた人は俺達聖騎士団の隊長フィレーネ」
「私はリコです。名前を言うのが遅くなってすみません。水の里から来ました」
私もギルダにちらりと顔を向ける。
黙々と治療をする私とギルダ。
しかし、突然ギルダが口を開いた。
「譲ちゃんと何かあったのか?」
「レアラの事?特に何も・・・」
ギルダは疑い深く私を見つめてくる。
「何もないですよ」
私の言葉にギルダは観念したのか治療に目を戻した。
治療をしているとリンとレンの事を思い出した。
「あ!」
私の突然の声にギルダは顔を顔を向けてくる。
「あの、10歳程の小さい男の子と女の子は見かけませんでしたか?!
私の知り合いなんです!」
ギルダは考え込んだ後近くで治療をしている仲間に声をかけた。
「おい、10歳程の小さい子供見てないか?」
呼びかけられた男性は何かを思い出したように話し出す。
「そう言えば、さっき広場の方へ乗馬した子供2人が入っていきましたよ?」
私は男性の言葉を聞いた瞬間立ち上がった。
「あの!すぐ戻りますから!」
それだけ言うと民家を走り出た。
広場ではリンとレンが両親と抱き合っていた。
私は切れた息を整えながらその光景を見つめる。
「良かった・・。無事会えたのね」
私の声にリンとレンは振り向く。
リンは私を見つけると真っ直ぐ走り寄り抱きついてきた。
私も抱きしめ返す。
「リコさんありがとうございました!」
レンは大きな声で言うと左右に立つ両親に笑顔を向けた。
その光景につられて私も笑顔になる。
「お姉ちゃんありがとう!」
リンも笑顔で私に言う。
「良かったね。リンちゃん」
私も微笑み返す。
「子供達から話は聞きました。命を助けていただいてありがとうございました!」
リンとレンの父親が熱心にお礼を言ってきた。
「いえ、私は何も・・・」
レアラに言われた事が頭から離れなくて、私は素直に喜べなかった。
私はレン達親子に怪我人を見てきますと告げ早々に別れた。
色々な思いが頭の中を駆け巡る。
それが嫌で、私は村人の治療に専念した。
気付けば夜になっており、村人の治療は一通り終わった。
疲れた体で民家を出て、月が闇を照らす中一人大通りを歩く。
私は手を開いたり閉じたりさせる。
「魔力を何も感じない・・・。
私ほんとに巫女の力無くなったんだ・・・」
呆然と歩いているうちに、いつの間にか村近くの巨岩まで来ていた。
巨岩を登り寝転ぶ。
「月が綺麗・・・」
私は少し欠け始めた月を見上げる。
「里の皆元気かな・・・。
お母さん・・・、サーニャ・・・」
レアラは外郭に背を預け、呆然と月を見上げていた。
横ではラリムが心配そうにレアラを見つめる。
レアラの頭上ではルーリが塞ぎこむように座っている。
「何であんな事言ってしまったんじゃ・・・。
リコの気持ちは痛い程わかっておったはずなのに・・・。
そもそもの原因は童にあるというのに・・・」
レアラは脚を手で引き寄せ頭を埋めた。
そんなレアラを見てラリムは小さく鳴いた。
大通りに佇む大きな民家に聖騎士団員達が集まっていた。
大きな机の上に地図が開かれ、ソフィアとフィレーネを囲むように団員達は立っている。
「諜報部隊によれば、現在水の里には巫女はおらず、水の神殿に向かったと言う事ですわ」
ソフィアの言葉を聞き、フィレーネは腰に手を当て考える。
「選択肢は一つか・・。アシスの隠れ里・・」
「そうなりますわね」
ソフィアとフィレーネは、地図から他の方法がないかじっくり見渡す。
「もしあったとしても、村人を連れて危険な道は渡れないか・・」
フィレーネは自分の言葉に納得し、ソフィアも頷く。
「皆良く聞け!村人の怪我の具合次第ですぐに村をでる!
怪我人には1日でも早く歩けるようになってもらいたい!何とかしてみせよ!」
「はっ!」
フィレーネの大きな声に聖騎士団員達は、胸の前に拳を当て大きな声で返事をした。
「ソフィア、後任せる」
「何処へいかれるのですか?レアラ皇女のところですの?」
「ああ、まあそんなところだ」
フィレーネはソフィアに小さく手を振り民家を後にした。
月に照らされた大きな人影がレアラに近づく。
ラリムはそれに気付き威嚇するが、相手は平気な顔してレアラに近づいてきた。
ギルダは膝に顔を埋めるレアラに対して、空気を読まない明るい声をかける。
「よっ!」
レアラは顔を膝から出し、チラリと自分の前に立つギルダを見る。
「なんだ、お主か」
「失礼な物言いだな。俺はギルダだ。譲ちゃんの名前は確か・・・レアラだっけ?」
「勝手に名前を呼ばないで。今は誰とも話をしたくない。あっち行って」
レアラは不機嫌な声と目でギルダを威嚇する。
「まあ、そんな睨むな」
ギルダはそう言うと、身軽に外郭の上へ身軽そうに飛び乗った。
「譲ちゃんはこれから聖騎士団と行動してもらう事になるぜ」
「は?!なぜ?!」
ギルダの言葉に対して驚きの表情を見せる。
「フィレーネが決めた事だからしょうがない。
ちなみにフィレーネは聖騎士団の隊長な」
「童をどうするつもりじゃ?」
「さあな。とりあえず聞きたい事沢山あるんじゃないか?
譲ちゃん何か知ってるんだろ?この騒ぎの原因」
ギルダの言葉にレアラは遠くを見つめた。
「童は・・・」
レアラが深刻そうな表情で僅かに口を開く。
そんな時遠くから足音が聞こえてきた。
現れたのはフィレーネだった。
「ギルダ、また勝手に行動して・・・。
この方の事は私に任せてあっちへ行ってなさい」
「へいへい」
「返事は1回!」
「へ〜い!」
ギルダはフィレーネに怒鳴られた後、外郭の上から民家の屋根へ飛び移り闇に消えた。
フィレーネはギルダの気配が消えた事を確かめると、レアラ皇女に歩み寄り体をしゃがませた。
「レアラ皇女、お願いです。この地にいる理由をお教え願えませんか?
それと、闇の神殿が襲撃された件について何かご存知ですか?」
フィレーネの言葉にレアラは目を大きく広げ驚愕した表情を見せる。
「え?どう言う事じゃ!?」
「それを私も聞きたいのです」
大きな声で聞き返してくるレアラに、フィレーネは冷静に言葉を返す。
フィレーネの言葉を聞いた後、レアラは地面に視線を移した。
「ステネイラで何があったんです?」
フィレーネは再度呼びかけるとレアラは涙を零した。
しばらくしてレアラは落ち着きを取り戻し顔を上げた。
「フィレーネとやら、童の事を知っているのか・・?」
「ええ。存じております。一度だけ、レアラ皇女がもっと小さかった頃にお会いしています」
「そうか・・・。ならば、童の母も知っておるか?」
「サクラ王女ですよね?」
「うむ。」
レアラの質問にフィレーネは真剣に応える。
レアラは暫し沈黙した後、俯いた表情で口を開いた。
「童はもう皇女ではないのじゃ」
レアラの言葉にフィレーネは一瞬返す言葉を失った。
「どう言う事です?意味がよくわかりません」
フィレーネの言葉に対してレアラはゆっくりと口を開く。
「神聖ラドナ王国は、ダージ王国に攻め滅ぼされたからじゃ」
レアラの口からでる言葉は、フィレーネの認識から大きく逸脱していた。
1部無事おわりました!
次回から2部神殿編に突入します!
では14章でお会いしましょう!