守ったものと・・・
先日12話を失敗作のほうをアップしてしまい、読者の皆さんにご迷惑おかけしました!こちらが本命の12話です!
では七つの宝玉の世界へいってらっしゃいませ!
私はラリムの回復魔法によって徐々に腹部の傷が塞がりつつあった。
「大分回復してきたわ。ありがとう・・・えっと・・」
ラリムを見ながら考え込む私にレアラは名前を教える。
「ラリムじゃ。童の大切な友達じゃ」
「ありがとう。ラリム助かったわ」
ラリムに笑顔で応えると嬉しそうに鳴いた。
私はラリムからケイトに視線を移す。
「レアラ状況を説明してくれる?」
「えっと・・ケイトが暴走してる・・」
「まあそれは見れば大体分かるわ。
こんなケイト見るの初めてだし、原因は妖精と精霊がケイトの体内で暴走してるって事であってる?」
「うん」
レアラはケイトを見ながら頷く。
「リコを守護する妖精と精霊がリコを傷つけられ暴走したの。
リコにこんなに多くの守護が憑いてたのは驚いたけど・・」
「暴走の原因が分かれば解決の糸口が見つかるかもしれないわ。
わかる?」
私の問いに暫し沈黙した後レアラは口を開いた。
「リコには言ってなかったけれど童は精霊と妖精を束ねる王家の血筋なのじゃ」
レアラの言葉に私は淡々と応える。
「まあ、魔力を持っていたから普通の子じゃない事はわかっていたけど、
まさか皇女とはね。それで?」
「え、ああ・・先ほどリコが戦った少年、ニアと言うんだけど、
ニアが持っていた赤いペンダントは王家に伝わるペンダントなのじゃ。
あれは妖精と精霊に対して絶対的な効力があるの」
「なるほど。それで?」
私はケイトを観察しながらレアラの言葉に耳を貸す。
「精霊と妖精の怒りはペンダントによってケイトの体に封じ込められた。
でも、あまりの数の多さにケイトの体は耐えられず漏れ出している。
漏れ出した精霊達の怒りは行き場を無くし竜巻となって現れてる・・」
「レアラも王家の人間だから命令に従ったりはしてくれないわけ?」
「王族にも命令系統に順番があるのじゃ。
童は王家で最も格下なのじゃ。だから王家のペンダントが出された以上童の命令は聞かぬ。
それに、万が一命令が通じたとしてもこの暴走状態では止まるかさえわからない。
あくまでも相手が冷静状態であればの話だから・・」
レアラの言葉に私は考え込む。
「力づくで止めるしか手段ないわね」
「それをすればリコは今後精霊と妖精の加護は得られず信用も無くなる!
私の言葉に強くレアラは噛み付いてきた。
「命令系統があるなら、緊急系統があるわよね?」
「あるにはある・・でも緊急はあくまで緊急で王族の命に関わる時だけ」
「今でも十分王族が危険なんだけど・・・ね!」
私は竜巻で流されてくる木の破片を避けながら応える。
「良い方法を思いついた・・・。精霊達を冷静にさせ、尚且つ緊急系統が実施される方法・・」
私の言葉にレアラは不思議そうな表情で見つめてくる。
「レアラ、ケイトの体はもってどれくらい?」
「え?・・・えっと・・・10分ってところじゃ・・・。何をする気じゃ?」
「やっぱりこれしかないか・・・。レアラごめんね」
私は瞬時にレアラの背後へ回り込み懐から出したナイフを首筋に押し当てた。
「冷静になれ!精霊達!レアラ皇女が死ぬぞ!?」
私の言葉にラリムはたじろぎ、ケイト達は睨んでくる。
ケイトに睨まれた事なんて今まで一度も無かった為正直たじろいだ。
「リコ何を・・・」
レアラは驚いた表情で声をかけるが、私はケイト達の出方に神経を注いでいた。
「今からレアラ皇女の言う事を聞きなさい。聞かなければレアラ皇女は・・・」
私の言葉にケイト達は動きを止めた。
ゆっくり息を呑みつつケイト達を見つめ、レアラに目で合図をした。
レアラは驚愕したまま見つめ返してくる。
そして、静かにレアラは声を出した。
「精霊と妖精よ、落ち着きたまえ・・。
ケイトを開放し、童の命を守る為そなた達の力を貸してくれないか?」
レアラの言葉が終わり、私はじっとケイト達の出方を見つめる。
次第に竜巻は弱まり消滅した。
ケイトの体からも無数の精霊が飛び出していくのが目に見えた。
そのまま地面にケイトはゆっくりと倒れこむ。
私はレアラの耳元に小さな声でつぶやいた。
「レアラ、ケイトの元へ行ってあげて。私は近寄れないから」
言葉と共にレアラを開放し、ナイフを懐へ戻した。
レアラは、振り返り何か言いたそうな表情を向けた後ケイトに駆け寄って行った。
レアラの周囲には多くの妖精や精霊が輝いていたが次第に見えなくなった。
レアラは地面で倒れているケイトを抱き上げ安否を確認する。
「ケイトは無事じゃもう何も心配はいらない・・・。
精霊と妖精よ自分の居場所へ戻り静かに暮らすが良い」
レアラはそう言い精霊たちを天へ導くように立ち上がり、手を大空へと挙げた。
レアラはしばらくそうしていたが、ゆっくり手を下ろした。
レアラは私の方を振り返る事無く口を開いた。
「リコ・・・何故あんな事をした・・・。童はちゃんと説明したであろ?
精霊と妖精の信用を無くすと・・。これがどれだけ重要な事かわかっておろうな?」
「わかってる・・」
レアラの低く怒気が含む声を聞き、レアラから目を逸らした。
私は正しい事をやった。つもりだった。
でも、レアラに言われて、自分が大変な過ちをしてしまったのではという疑問が見え隠れする。
「ごめん・・・」
私は誰にも聞こえない程の声で、誰に言うのでもなく謝った。
ギルダとフィレーネが広場に着く頃には竜巻は完全に消え去り、
さっきまでの騒ぎとは打って変って静まり返っていた。
広場の中央では横たわるケイト、立ち竦むリコとレアラの姿があった。
リコの後方にはラリムがじっとしている。
「もう終わったのか?」
ギルダはレアラに近づきながら問うが何も応えない。
ギルダはリコやレアラの深刻そうな表情を見て気持ちを切り替えた。
倒れているケイトへ近寄り安否を確認すると何も言わず抱き上げる。
「今から俺達は村人とコイツの治療をする。
落ち着いたら連絡してくれ」
それだけ言うと、ギルダは村の入り口へ向けて歩き出した。
ギルダはフィレーネに目で合図をする。
「あ、ああ。後でまた」
そう言うとフィレーネもギルダの後を付いていった。
ギルダとフィレーネは横に並びながら大通りを歩く。
「何が、あ、ああ。後でまた。ですか。
不自然にも程があるなー」
ギルダは空を見上げながら言う。
「あ、ああ、あれは!喉が渇いてて言葉がつまったんだ!」
ギルダはフィレーネの言葉に呆れた表情をする。
「隊長、聞きたいことは山程あるのはわかりますけど、空気を読みましょ?
ね?わかるでしょ?空気ですよ?」
「ああ!もう!ギルダに言われると腹が立つ!決着つけるか!?」
「はいはい。又今度。今は怪我人が第一優先です。ですよね?隊長?」
「わかってるー・・・」
ギルダに言い包まれたフィレーネは肩を落として歩いていく。
そんなフィレーネにギルダは口元に笑みを浮かべた。
ギルダとフィレーネが去った後レアラは口を開く。
「ケイトの横に妖精がいるの・・・。リコに見える?
ケイトの横を見るが何も見えなかった。
「何も見えないわ・・」
私の返答にレアラは何も応えない。
次第にレアラのすすり泣く音が聞こえてきた。
私は大粒の涙を零すレアラの背中を見つめる。
「リコは巫女の事を何にもわかってない!」
レアラは突然大きな声で叫ぶ。
「村人とケイトを守りたいのは童も一緒じゃ!
他に方法はなかったの?!
リンの命を救った時だってそう!
巫女の命を何だと思ってるの?!
もうわかってるでしょ?
リコはもう巫女じゃない!」
レアラの言葉に対して私は何も言えなかった。
泣きながら喋るレアラを前にして・・・。
レアラは涙を袖で拭くと大通りを全力で走って行った。
私は一人レアラの背中を見つめるしかなかった。
では13話であいましょう!