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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第三章 ティターニア編
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第80話 第二ブロック


激しい剣戟の末───

遂にナギサの刃がソフィアを捉えた時、

負荷をかけ過ぎたナギサのスーツが突如火花を散らし、そのまま地面へと落下していく。


それを寸前でソフィアが受け止め、ゆっくりとナギサを着地させる。


「ふぅ……スーツの状態を見誤るとは……私の、負けだな。

教え子の成長がうれしく、つい年甲斐もなくはしゃいでしまった。」

ナギサは優しく微笑んだ。


「まだ十代じゃないですか……第一、機体性能の差が無ければ、今ごろ……私は」

ソフィアが顔を顰めながら零す。


「いや、戦士として自身の扱う道具のコンディションを把握するのは当然の事だ。私の、完敗さ。あの出力上昇機能はかなり負荷がかかる。お前も気をつけろ」


「……そんな所まで、まだ私を導こうとするんですか」


「さあ、何のことかな?

……失敗は誰にでも有る、という事だ。お前にも、そして私にもな。」

そう話すナギサは普段見せない少しお茶目な表情を浮かべていた。

始めて見る表情にソフィアは笑い、そしてナギサも笑った。




こうして第一ブロックは終了し、

第二ブロックが始まる。




「現時点で最も安定した戦力を持つリリィは、

本ブロックではシードとするわ。

──比較対象として最適なのよ」

ハカセの言葉に一部は疑問を抱いたものの、リリィの実力を認識している者は誰も否定しなかった。


「えっな、なんかズルしてるみたいで……私が戦わないことで、納得しない人が居るんじゃ」


「……ていうかよ、そもそも10人でトーナメントやるってなったら誰か1人はこうなるんだから仕方なくないか?リリィが気に病む必要無いって」

アリアは頭の後ろで手を組みぶっきらぼうに話す。


アリアのそれを聞いて、一番文句有りげだったフィレアはつまらなそうにしつつも、一応は押し黙った。



───フィレアはリリィが強いというのがそもそも半信半疑だった。


フィレアから見たリリィの印象は、誰にでも優しげで、何処か抜け気味な、おっちょこちょいな先輩でしか無い。


それに、リリィの勝ち上がった第二試合も見ていなかった。


特に必要に感じなかったアリア以外の過去の資料等もこれまで目を通していなかった。



だからこそフィレア自身が敬愛しているアリアのバディが自身の中で評価の低いリリィである事も、そんな先輩が“基準”だなんて事も、納得がいかなかった。


───きっとアリアのおかげで今まで戦えてきたに違いない。

シード試合なんて注目される場で赤恥かけば良いとすら考えながら、

フィレアはリリィを恨めしそうに睨むと、どろどろとした感情を滲ませた。





───第二ブロック第一試合はメガイラ対アリアという組み合わせになった。




メガイラとアリア、共に第一世代出身ではある。


しかし、メガイラは自身が開発した次世代機の技術を応用した最新型メカニカルワルキューレを装着している為、アリアの初期ロットの機体との基本性能の差は歴然なのだが、


問題は性能差ではなかった。


アリアは猪突猛進が自我を持ったような超が付くインファイター。

搦手が得意なメガイラとの相性が最悪だった。


メガイラは自身が開発に携わった、"個々の個性に合わせ装備を選択する"という、汎用性を高めた第二世代ワルキューレに対してはそれぞれ対抗策を用意していた。


けれど、ハカセ自らが開発した第一世代のワルキューレ達は違った。

ハカセの"最強の兵器"を作る理念が絶頂だった頃に開発された、個々で完成された完全な特化タイプ。それが第一世代のワルキューレ達だから。


同じ土俵で戦う選択肢は最初から無かった。



メガイラは自身のデバイスに映された秘策を見つめていた。



────



「まさかメガイラと戦う事になるとは、思って無かったぜ。」

アリアは頭を掻きつつ零す。


「それは……私が勝ち上がると思って無かったって事ですか?」

声色からメガイラがむくれているのが分かる。


「違う違う、なんだかんだ、長い付き合いで……まぁ妹みたいには思ってたからなぁってさ」

アリアはそう言いながら少し気恥ずかしそうに鼻を擦った。


「……私も姉だと思ってますよ。」

メガイラは笑みを浮かべる。それに釣られアリアも笑おうとした時


「でも───だからこそ、貴女を超えてみせます……"アリアお姉ちゃん"」

メガイラの発言に秘められた思いの強さを感じ、アリアの目が妹を見つめるものから、

挑戦者を見据える戦士の目に変わる。


「へぇ……いい目、する様になったな。メガイラ」

アリアはニヒルに笑うとデバイスを構える。


「貴女の……"妹"ですから」

メガイラも不敵に笑うとデバイスを翳し、同時にメカニカルワルキューレを身に纏った。




第二ブロック、第一試合の開幕を告げるブザーが鳴り響いた。





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