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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第三章 ティターニア編
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第77話 飽和VS一閃


ミレイナは自身の対戦相手ルキアについて考えていた。

正直、ルキアには個人的な因縁など無いが、彼女の妹であるフィレアは好きになれないでいた。

だって師匠であるアリアに暴言は吐くわ、気が付けば二番弟子になったわで、それを制御出来ないルキアの印象も釣られて悪いものになってしまっていた。


「ミレイナ、試合前に乱れているぞ。」

ナギサは試合前だと言うのに妙に落ち着きのない自身の娘の様なバディに対し喝を入れる。


「だってナギサさん……」

ミレイナは年相応の駄々をこねた様な表情でナギサを見つめる。


「お前の試合相手……MV-08クロートの装着者ルキアは、戦場を飽和攻撃で埋め尽くす戦い方をする相手、いくらお前が接近戦で無類の強さを持っているとしても、油断をしていたら、足元を掬われるぞ。」

そう言いながらナギサは椅子から立ち上がると部屋を出ていってしまった。


「……分かってるよ……もう。」

ミレイナは不貞腐れた表情で一人佇んでいた。



───



ルキアは試合前の最終調整を行なっていた。

自身がこれから戦う相手は、

第一世代すらその剣裁きに一目置くMV-07アテナの装着者ミレイナ。

接近戦に持ち込まれたら自身に勝機はない。


そこに自身の訓練等を行なってくれたディアナが近づいてくる。

「ルキア、少し肩に力入りすぎよ。ほら、もっとリラックスしなきゃ。普段の貴女の、

戦場を自分色に染め上げる戦いが出来れば勝てない相手じゃない筈よ?」


「ありがとうございます。ディアナ…先輩。」

ルキアは今まで慣れていたディアナ教官と呼びかけ、先輩と言い直す。


それを見てディアナは笑う。

「大丈夫、貴女はこのディアナの一人目の教え子、負けるわけないわよ」

その言葉を受けてルキアは笑みを零す。

「ありがとうございます。ディアナ先輩の顔に泥を塗らないよう、勝ってきます。」


「ふふっ、まぁ私は第一試合敗退なんだけどね!」

ディアナのその自虐を聞いて二人で笑い合った。


気が付けば、ルキアの試合前の浮足立った気持ちは治まっていた。




待合室から出て訓練場に向っている途中、

ルキアとミレイナの二人はちょうど曲がり角で出くわした。


「あ…」

ミレイナは言葉が詰まる。ルキアは、ただでさえ苦手意識のあるフィレアの妹であり、戦う前から心の中で複雑な感情が渦巻いていた。


「ミレイナ……さん。この間は、うちの馬鹿妹が済まなかったわね。

改めてお互い、良い試合にしましょう。」

ルキアはそういうと手を差し出す。


ミレイナは一瞬、差し出された手を見つめた。戦うべき相手の目が、感情に揺れずまっすぐ自分を見据えている──その真っ直ぐさに、思わず心を打たれる。

(……ルキアさん、フィレアの姉だけど、意外としっかりしてる……)

内心でそう感じながらも、ミレイナは少し顔を赤らめ、そっとルキアの手を握った。


「こちらこそ……ごめんなさいルキアさん。是非、良い試合にしましょう!」

ミレイナからの謝罪に少しだけ困惑するも

ルキアは穏やかに微笑み、共に訓練場に向かった。



二人は所定の位置に立つとお互いに真っ直ぐ向かい合う。


そしてデバイスを翳すと、同時にスーツを装着した。


ミレイナはルキアの銃火器による重武装を見て、これからの試合が激しい物になる予感を感じ冷や汗を垂らす。



対してルキアはミレイナがサムライソード一本という軽装で、姿勢を低くして構えているのを見て、

ミレイナの纏う強者の風格を肌で感じ、内心たじろいでいた。


ミレイナとルキアの、二人の緊張感から訓練場は無音で満ちていく。


二人の額から汗が同時に床に落ちた時、試合開始のブザーが鳴り響いた。


ブザーが鳴り、同時に二人は動き出した。

ミレイナは低く構えた姿勢のまま一気に間合いを詰める。ミレイナの構えるサムライソードの刃先が、ルキアの重装に挑むように閃いた。


対するルキアは、自身の装備する多重砲口を旋回させながら、ミレイナとの間合いを調整する。

弾丸の雨を散らすように前方を制圧しながら後方にジグザグにホバー移動し、ミレイナの接近を何とか阻む。


すかさずミレイナはルキアの弾幕を横に回避しながらルキアの周りを迂回し、少しずつ間合いを詰めていく。しかしあまりの弾幕に距離を詰めきれず、苦虫を噛み潰したような感情を浮かべる。




「本当に、どちらも射撃特化と近接特化の、極端なカードになりましたね。」

メガイラは試合をモニタリングしつつ今回の試合内容について率直な感想を浮かべる。


「メガイラはどっちが勝つと思う?私はルキアかな、あの砲撃能力は刀一本では凌ぎきれないと思う。」

ソフィアは顎に手を置きながら分析していた。

メガイラとしても、同意見だったが、

そこに後ろからナギサが割って入った。


「ふっ……お前達は知らない様だな……研ぎ澄まされた刃の一撃を……」


二人はそれを聞いて得も言えぬ感情に満ちる。


((と、研ぎ澄まされた刃の一撃……))


ナギサの漂わせる空気から本人が真面目なのが分かるからこそ笑わないでいられたが、失笑しかけた時だった。


二人の意識がナギサの方を向いていた時──



───訓練場の空気が一変する。



砲撃の音は未だ途切れず響き渡っている。

しかし標的のミレイナは姿勢を低くして最小限の挙動で攻撃を回避し始めていた。


───既に、間合いは見えた。


ミレイナは全身への供給を止め、脚部装甲へのエネルギー供給だけを高めていく。装甲の各所が山吹色の輝きを放ち始めていた。



直感からルキアは大技が放たれる事を理解し、阻止を試みて砲撃を訓練場全体が覆われる程に高めるも、爆煙で視界が遮られてしまう。


そして───



訓練場の中央、爆煙の中心部がまるで太陽の様な輝きに満ちる。



───次の瞬間



ルキアは究極の一閃を受けていた。



───たった一撃。しかしその一撃で、ルキアのスーツのシステムは、ダメージが限界値、

戦場であれば即死の一撃であった事を示していた。


それを確認し、ハカセが勝敗を決めようとした時だった。



ルキアもまた、敗れる寸前、

刃が自身に届く寸前、一点に収束させたビームを放ち、ミレイナのスーツもまた、ダメージが限界値に達していた。


ミレイナは脚部装甲のみにエネルギー供給を行った事で上半身の装甲強度が下がり、ルキアの捨て身の一撃が届いていた。



判定としては時間差でミレイナの勝利に終わったが、ルキアは究極の一撃に、執念で食らいついてみせたのだった。



ここに、第四試合終了の合図が流れた。



ミレイナは自身が戦場であれば死んでいたという事実に戦慄し、ルキアは放たれた刃の一撃が自身を確実に仕留めんと放たれたのを理解し震え上がっていた。

が……これはあくまで試合。


二人はゆっくりと立ち上がり近づいて行くと、互いの強さを認め合い熱い抱擁を交わした。


「凄かったです。ルキアさんの砲撃……燃え尽きちゃいそうでした。」


「ミレイナさん、貴女の剣の鋭さも、どれだけ研鑽を積んだのかが感じられる、素晴らしい一撃だった。」


共に讃え合い、認め合い、そして笑い合った。


モニタリングしていた他ワルキューレの皆もまた、二人の魅せた

"強さ"に、武者震いにも似た、熱気と高揚に満ちていた。




第五試合───この熱気を帯びたまま、

ソフィア対ナギサが始まろうとしていた。

実質トーナメント編になっちゃった!

ひとまずここまでの勝者を

1メガイラ

2リリィ

3アリア

4ミレイナ


……アカン、ほぼ第一世代しか残っとらんやんけ…ま、まあ第二世代は伸び代の塊なので……へへっ

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