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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第二章 外伝・メカニカルワルキューレ・サムライ 絆の継承編
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第65話 親として


ナギサはいつもより荒々しい足取りでラボの通路を歩いていた。


コトネが挨拶するも無視し目的地に進む。


──ハカセから任務依頼が届いたのだ。


……ハカセにミレイナを戦わせたくない旨の話は一度だけ伝えた筈だった。


それなのに、ミレイナに装備のテストをさせ、あまつさえミレイナに素質があると伝えその気にさせた……


一言物申さねば気が済まなかった。


「っ…!!?」

あまりの剣幕にただ横をすれ違ったキュベレすら振り返るほど、今のナギサは、怒りを抑える気など微塵もなかった。


司令室の自動ドアが開くとハカセは片手に持った端末を見ながら想定よりだいぶ早く到着したナギサに挨拶をする。

しかし、挨拶を返す余裕すらなく、

ナギサはそのままハカセの胸ぐらを掴んだ。


「っ…!?」

ハカセは思わず自身の持っていた端末を落とすながらも、そのまま自身に理不尽を働いたナギサを睨みつける。

「……これは、どういう事かしらナギサ。

……今すぐ、この手を退けなさい…」


「どうしたも、こうしたもあるものか!

貴女に私は言ったはずだ!ミレイナを戦わせたくないと!言ったはずだろう!」


そこまで言われて怒りの理由を理解した。理解はしたが受け入れようとは思わなかった。


「ナギサ、貴女が望んでいなくとも、ミレイナは戦う道を選んだのよ。それにあの子には、もしかしたらリリィ以上の才能が…」


「煩い!」

ナギサの剣幕にハカセは思わず押し黙る。


「ハカセ……貴女は、正気か? あの子をワルキューレにだと? ……小さなあの子が無人機達の前に立った時、どれだけ震えていたか、貴女は見ていない!

武器も持たず、私を庇うために前に立って……死ぬほど怖いはずなのに、それでも私を守ろうとしたんだ! その"心の強さ"を、戦場の、弾除けに利用するつもりなのか!?」


「……魔力結晶が数多のデータの中から彼女を選んだのよ。これは、私の意志ではないわ。こんなに高い数値で適合した以上、彼女は世界を救うための貴重な……」


「っ…!貴様っ!!」


ナギサは咄嗟に拳を振り上げ、ハカセもこれから来る痛みに耐えるため、キュッと目を瞑った……が、衝撃が来ない。


ハカセがゆっくりと目を開けると、そこにはポロポロと涙を流すナギサがいた。


「……数値だ、データだ……そんな言葉であの子の人生を切り捨てないでくれ……

強すぎる心を持った子供が、戦場でどんな地獄を見るか……アナタは……アナタが一番よく知っているはずだろう……?

私たちは、あの子が、そんな子達が戦わなくていい世界を作る為に戦っているのでは……なかったのか……?」


それを聞いたハカセは、思わず顔を伏せ下唇を噛む。


「……そうだとしても……今の私達には、新たな力…ティターニアを叩く為の力が、必要なのよ……」


そう言うと博士は先ほど手から落とした端末を掴むとナギサに見せる。


「ナギサ。これは、任務よ……ティターニアの開発している、新型兵器群の情報を出来るだけ奪取して来て頂戴。」


ナギサは差し出されたデータハッキング用端末を見つめ、しばらく黙っていたが、ゆっくりと顔を上げる。


「……了解した…ハカセ。

……ただ、これだけは必ず約束してくれ。

ミレイナを……私の大切な"家族"を、絶対に死なせないでくれ」


そう言いながらナギサは、ハカセの持った端末を掴む。


「……ええ。約束するわ。私の、命にかけてでも。」



端末を受け取り、そのまま司令室を出ようとして、ナギサは振り返らずに漏らす。


「締め上げて悪かったな。……痛んだら言ってくれ。」


ナギサが言い終わると同時に自動ドアが閉じた。



しばらく放心状態で机にもたれ掛かっていたハカセだったが、ポツリポツリと涙を流す。


「ええ……ちゃんと……ちゃんと全部、分かってるから……」



ハカセは震える右手を必死に押さえていた。

ハカセ可哀想になって来た…

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