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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第一章 プロメテウス編
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第4話 プロメテウス


次の日から本当にハカセは容赦がなくて、最低限と口で言っていたのに私はここ数週間、食事と睡眠以外の時間はひたすら基礎体力作りを命じられていた。


ハカセ曰く今のままだとスーツの性能を活かしきれないとのことだった。


「お!相変わらず朝からやってんな!」

私の身体が悲鳴をあげているのをアリアは面白そうに眺めている。


「アリアの嘘つき……やっぱりハカセは……ひどい人……だよ……!」

私はひたすらランニングマシーンを走り続ける。


時計を見る余裕も無いが、すでに一時間は経っているはずだった。

「あははー頑張れー」

アリアはなんだか嬉しそうで

それもちょっとむっとしちゃう。


ハカセ、リリィが家族の事で落ち込む隙を与えない様にあえてメニューキツキツにしてあるな…本当に、素直じゃない…とアリアは思った。


更にニヤニヤしてるアリアを負の糧に私はひたすら走った。


走りきり、その場にへたり込んでいると後ろから声をかけられた。


「あの、そのマシン使いたいのだけど…いいかしら?」

私は振り返り急いで飛び退く。

そこには新たな、赤い髪と赤い瞳の凛々しい少女が居た。

年は……私よりちょっと上くらいだろうか。


「あ、貴女が戦場でいきなりメカニカルワルキューレを装着したっていう…」


「ハァ…ハァ…リリィ…ですぅ」

息も絶え絶えなままの挨拶になってしまった。


「ふふっよろしくねリリィ。私はディアナ。アレクトの適合者よ」

そう言うとディアナさんは私にドリンクを渡してくれた。


「ディアナさっきまで任務だったのにそのまま筋トレとか……マジかよ」

アリアは信じられないと言う表情でディアナさんを見つめる

私も信じられないと思いながら渡されたドリンクをゴクゴクと喉を鳴らして飲む。


「任務と言っても私の任務は遠距離からの狙撃だったからね。」

そう言うとディアナさんはランニングマシーンに乗り始めた。


……私もこんな脳筋になってしまうのだろうかと憂鬱になる。


その時運動場にハカセが来た。

「リリィ。ちょっと良いかしら」

私はハカセを恨めしそうに見つめるもハカセは鼻を鳴らして返してきた。


私はハカセに連れられ、なんだか暗い部屋に連れられた。その部屋の中央には光るテーブルがありその上にホログラムが展開されていた。


「あの……それでハカセ…話って」


「……貴女は、これに見覚えはあるかしら。」

ホログラムに表示されたそれを忘れるはずが無い。巨大な多脚型の機動兵器。

あの時、両親と弟、そして街を破壊した奴らの兵器だ。

「……こんな物を見せて…何が言いたいんですか?」

私は思わず怒りがこみ上げてくる。


何故こんな物を見せるのかと。

ハカセは無表情のままホログラムをスライドさせよく分からない。何処かの国旗の様な物を表示した。

「このエンブレムに見覚えは?」


「……ありません。」


「……でしょうね。彼らは影に潜み、火をバラまく。組織名はプロメテウス。かつて神から火を盗んだ男の名を冠する、世界で最も過激なテロ組織。

その名に恥じず、私のデータベースから理論を盗んで作られた出来損ないがあの機動兵器なの。

……つまり、あなたの故郷を焼いたのは、間接的には私の罪でもある」

ハカセは一度視線を逸らすも、ゆっくりと視線を戻すと真っ直ぐ、こちらをみていた。


私は色々と込み上げたが、飲み込んだ。

「っ……それは、ハカセのせいじゃ…ないですよ…」

本当は押し倒して家族を返せと言ってやりたかった。でもそれが八つ当たりなのも理解出来たから無理やり自分の腕に爪を立てて押さえつけた。


「…ありがとう」

ハカセは本当に小さく、聞こえるか聞こえないか分からないくらいの声でお礼を言って来た。

まさかそんな反応が返って来るとは思わず私はハカセの顔を凝視してしまった。


「貴女はこれからこの戦争を産む存在と戦う事になるのよ。リリィ……いいえ、ヴァルキリー」


私は拳を力いっぱい握る。

プロメテウス…私の…家族の仇。


「……彼らは今から20年以上も前から活動しているテロ組織で、科学技術が異様なほど高い。私ももっと早くに気付いていれば…」

そう言うとハカセはホログラムに様々な兵器を表示した。

「これらがプロメテウスが自ら開発したとされる兵器群よ」

そこには四足獣型や戦闘機型、蜘蛛のような多脚型等様々な兵器があった。


私はそれを見た時戦慄した。


素人目で見ても分かる。

兵器のどれもが、人を殺すことだけに最適化された様な形をしていた。


「実戦の日は近い……これから貴女には基礎体力作りでは無く実戦形式の模擬戦を行ってもらう。」


──ラボの地下訓練場


ハカセに連れられて今度は地下の広い空間に来ていた。

私はただただその広さに圧倒されていた。


「す、凄い……」

「メカニカルワルキューレは非常に機動力が高いの。これでも狭いくらいなのよ。

何せ飛行速度は音速を超えるのだから。」

飛行機でも無いのに音速を…超える!?

「それだけでは無いわ。先の戦闘で貴女は、細身のアリアが巨大な兵器を吹き飛ばす光景を観たはず。」


私は確かに見ていた。背丈が私と同じくらいのアリアが巨大な兵器を吹き飛ばす光景を。


「……それらを実現しているのが、メガミドライヴ、女神の欠片よ」


私がハカセからスーツの能力等を聞いている時、予想外の人物が現れた


コツコツと軽い音。金属が床を叩く乾いた音。そんな足音を立て誰が近づいてきた。


「ハカセー。理論とかはそんくらいにしてさ……後は身体で覚えればいい……だろ?」

振り返った先に居たのは


──あの日私を助けたメカニカルワルキューレ


アリア/ヘルだった。

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