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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第一章 プロメテウス編
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第36話 決着、そして…


私はプロメテウス拠点の司令室と思わしき部屋の天井を突き破り床に膝を付いて着地した。そしてゆっくりと立ち上がり前を見据える。


──居た。白衣を着た、外見は極々普通の男性。でも、この地獄を生み出した元凶。


ダルク・グリード


私は咄嗟に銃を構える。

それと同時に奴も銃をこちらに向けた。


「……始めましてかな?リリィ君。ずっと君に会いたかったよ。」

自身の名を口にされるのも、軽薄な喋り方すら虫唾が走った。

「……」

私は無言のまま銃を向けゆっくりと横へ歩く。奴が銃以外何も持っていないのを確認した。


「そんなに怖い顔をしないでくれよ。君の"家族"は、今の君を見たら何て言うかな?」

奴がそれを発した瞬間私は目を見開き、歯を思い切り食いしばり、ギリギリと音を鳴らせる。あまりの圧力に歯茎から血が滲んだのか、口内が鉄の味に満ちる。


「……最後に」

私は冷静になる為、何とか言葉を紡ぐ。

「?」


「最後に…答えて。」


「何故……貴方はそこまで非道になれるの…?彼女達にあんな苦しみを味あわせて、痛む心は、良心は無いの……?」

私が涙を浮かべながら問いた時、

初めてダルクは驚いた様な表情を浮かべた。

「ははっ……君は、優しいんだね。自身の家族の仇にすら良心を問うとは……亡き妻を思い出させるよ」


「…妻……奥さんが居たの?」


「娘も居るさ、今年で11になる」

ダルクのその言葉を聞いて私は怒気を強める。

「それなら何故っ…!自分の娘さんと近い年の子供達にあんな事を!」

私の銃を握る手が怒りにより震えてしまう為、両手で銃を構える。


「身内を大切にするのは当然だろう?君は、家族と他人を同じ天秤にかけるのか?」


「それはっ……」

それは、確かにそうだ。私だって…アリアや皆と道を歩く他人を同列には見れない。


「君も同じだろう?仲間や家族の為に銃を取る。私と何が違うとでも?」


「……確かに、同じかもしれない。でも…」

「貴方が娘を愛しているように、私は大切な人達の笑顔を愛してる。だから、それを壊す貴方を殺して、私は……その罪を一生背負っていく」

私は真っ直ぐダルクを見据える。


「そう、か………。

正直な所、私は人類の進化等どうでも良い。」

「えっ……」

「私は……妻を戦争で亡くした。妻を私から奪った戦争を、終わらせたくなかったのだよ。妻だけが死んで終わりだなんて、そんなのは許せなかった。

戦争を永遠に続けるために私はプロメテウスを作ったのさ。

人は大義名分があれば倫理なんて簡単に切り捨てる。

簡単だったよ大義の為に集まった人間達を動かすのは。……くだらない話だろう?

でも、それしか私には出来なかった」


私は息が出来なかった。彼もまた、戦争に狂わされた被害者なんだと理解してしまった。


私はその時銃を捨て、剣を構える。罪を背負う為に飛び道具では無く、剣で終わらせたかったから。


──そして私は、一気にダルクに近付くと剣を振り下ろした。


彼の返り血が私を赤く染め上げる。消えない罪を被せられた様な感覚を覚えた。


ふと、私達を見る誰かの視線を感じた気がした。


だがそれよりも、私は今、目の前の事切れる寸前の男に問いかける。

「どうして貴方は……自分と同じ苦しみを、他の人に味あわせない選択を選べなかったの、奥さんの分まで、誰かを幸せにしようと思えなかったの……」


私が涙ながらに言った時、ダルクは

「あぁ………そう…言う……考え…も……あるの

……か」

最後にそう言いながら、事切れた。


───


「こちらリリィ……敵首領の"討伐"を完了しました……」

私は自分が思ったよりもずっと低い声でラボに報告していた。


『リリィちゃん……うん、お疲れ様。皆で帰りを待ってるよ』

コトネさんが優しく返してくれる。

『リリィ、任務お疲れ様。……報告は後で聞くから、ゆっくりしなさい。』

ハカセすら普段より優しい声で返してくる。

それが何より痛かった。


私は下唇を噛みながらゆっくりと自身が天井に開けた穴から空に飛行しようとして微かに声を聞いた。


──お父さん……と


私は自分の顔が酷く歪んだのが分かった。そしてそちらを見ないように…空に飛んだ。




──リリィが飛んだ後のプロメテウス司令室


1人の少女が唯一の肉親だった父の亡骸を抱いていた。

少女にとって父はかけがえの無い家族だった。母は物心つく前に亡くなり、父だけが大切だった。

それを奪った白い機体……


「うぐぅっ……メカニカル……ワルキューレ……ヴァルキリー!!!!」


新たな呪いが産声を上げた。


ハッピーエンドが書きたかったんだけど…

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