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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第三章 ティターニア編
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第108話 二人で一つ


アリアは敵大型兵器への突破口が見つけ出せず歯噛みしていた。


奴の攻撃自体は物理的なミサイルと小型のビーム兵器と、比較的に対応は可能だが、何よりもその強力なエネルギーフィールドを貫く火力が足りていなかった。

アリアのクローも、ルキアの砲撃も、ディアナの狙撃のどれもがビーム兵器であり、展開されたエネルギーフィールドとの相性が悪かった。


何より、奴に搭載されたネガ・メガミドライヴ十基という膨大なエネルギー生成量が最強の鉄壁を作り出していた。


接近戦主体のソフィアやフィレア、接近戦最強との呼び声も高いミレイナも攻撃を続けている。


だがミレイナの"一閃"は放つまでの隙が大きく、

あの巨大兵器の弾幕の中では構えすらままならない。


故に決定打とはならず、現状奴の進撃を食い止めるので精一杯だった。


「くっ……リリィはどこで何してんだよ……!」


アリアは苛立ちとも焦りとも取れる声色でその場に居ない相棒の名を呼ぶ。



───ハッキリ言ってしまえば、リリィ一人が加わった所で戦力の大幅なアップには繋がら無いだろう。


そんな事は百も承知だった。


しかし、けれどリリィなら、どんな危機的状況をも覆してきたリリィなら……


アリアがそんな事を考えていた時だった。


大型兵器はその巨大な"顎"を開く。


十基のネガ・メガミドライヴから生み出された膨大なエネルギーを持って臨界点に達した電力が解放される。


次の瞬間、音速を超えた閃光──



───レールガンが放たれた。




回避は不可能。それどころか、その場の誰も反応すら出来て居なかった。



しかしアリアにその弾丸が到達する事は無かった。



アリアの視界に翡翠の髪がたなびく。


誰よりも早く相棒の危機を察し、レールガンが放たれるよりも先に間に割って入り弾丸をきり伏せてみせた人影。



───アリアの目の前にはパワードスーツを着込んだリリィが割って入っていた。



───



ローレンツはただただ困惑していた。

一緒に隣を走っていたリリィが突如

「アリアが危ない!ローレンツさん私を上空、あの赤いワルキューレの前に投げて!」

と叫んできたのだ。


あまりに脈絡の無い彼女の発言に呆気に取られたが、


「ローレンツ!!」

というリリィの叫びにローレンツは半分自棄気味に返答した。


「あぁっ!!君は……めちゃくちゃだ!」

ローレンツは総叫びながらもリリィを天高く放り投げた……


と、同時に巨大兵器のレールガンが放たれ、それをリリィが切り伏せてみせたのだった。



───



アリアは唖然とした。

突如目の前にアトラスのパワードスーツを着込んだ相棒が現れ、自身すら気付かなかった攻撃を切り伏せたのだから。


「な、何やってんだリリィ!?」

今の状況に困惑しか浮かばなかったが、リリィが自由落下を始めたのを見てアリアはリリィの身体を抱いた。


「えへへ……お待たせアリア……」

ニコリと笑うリリィに一瞬安心するも、今度は怒りが込み上げる。


先ほどの攻撃はメカニカルワルキューレですら消し飛ぶ程の威力があったのは間違いなかった。


それを明らかに性能の劣るパワードスーツで割って入ったのだ。


アリアが怒るのは当然だった。


「馬鹿野郎!!お前今のはマジに死ぬぞ!!」

アリアはそう叫びながら一度戦線を離脱する。


助かったのだってコンバットメイデンがレールガンの攻撃に耐えられたからに過ぎない。


死ななかったのは奇跡に等しかった。


「ごめん……でも、アリアに死んで欲しく無かったから……」

リリィは空中でアリアに抱えながら申し訳なさそうに俯く。


「馬鹿……アタシだって、リリィに死んで欲しくないんだよっ……」

アリアの泣きそうな声が聞こえ、リリィは自身に回されたアリアの手を握る。


「ごめん……」


「……謝るくらいなら、最初からすんなタコ」

空中ではアリアのスラスターの音だけが響いた。


「……それよりアリア、今はあの巨大兵器を何とかしないと!」

リリィのそれよりと言う言い方には思うところがあったが、今はこらえる事にした。


「……って言うか早くメカニカルワルキューレになれよ。そんなじゃ戦えないだろ。」

アリアは一番思っていた事をぶつけた。低性能なパワードスーツよりメカニカルワルキューレになった方が可能性はぐっと上がるだろう。



「そ、それが……」



リリィは今自身に起こっている謎の魔力結晶との適合率が低下している状態を説明した。


あくまで説明できたのは現状だけで、それ以外はリリィ本人にも、ハカセ達にも原因は分かっていないという状況も。



アリアはまた変な事になってんなとため息を零す。


「……だからそのローレンツって奴にパワードスーツ借りたって……お前なぁ……」

アリアは自分の相棒の破天荒さに呆れを通り越し誇らしさすら感じ、そこまで言って再度ため息を零すと告げた。


「……わかったよ。まぁ、リリィの反射神経が健在なのはさっきのでわかったし……


───今回だけはお前の翼になってやるよ。今回だけな!」


そう言うとアリアはリリィのパワードスーツをしっかりと掴む。


「アリア!」

リリィはアリアの発言に満面の笑みを浮かべる。


「へっ!!振り落とされんじゃねぇぞ相棒!!」

アリアは叫ぶと全速力でスラスターを翻す。



アリアとリリィ───



二人はこの瞬間



二人で一人のワルキューレとして戦火に再び舞い戻る。




「待ってろデカブツ!!アタシら無敵のバディにかかりゃな……お前なんて敵じゃ無いぜっ!!」

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