第104話 拠点防衛戦
アリアやナギサ、他ワルキューレ達はヴァルハラのホログラムに投影された巨大兵器を目視するとカタパルトに向かった。
「リリィ!ティターニアの兵器が出やがった!アタシらで叩くぞ!」
アリアはアトラスに行った相棒に通信を送るが、返ってきたのはリリィの返答では無く、ハカセのものだった。
『…アリア、訳あってリリィは出られないわ』
ハカセの発言にアリアは驚く。
「はぁ!?訳あってって……
アトラスの奴らに何かされたんじゃ……!」
『始めましてアリアさん……事情は後で話します。
私の名はアヴェリーナ・アレクサンドロヴナ。
アトラスの専属科学者の様な者です。
今は時間が有りませんので手短に敵の説明を……よろしいですね?』
リーナはアリアとハカセの通信に割って入り説明の許可を求める。
「……おう、なる早で頼むぜ」
アリアは色々な気持ちを飲み込み自身の名と立場を説明した少女の話を聞く事にした。
『迅速な判断、ありがとうございますわ。
今アトラスの拠点に接近しているのはティターニアの新型、ネガ・メガミドライヴを十基搭載した超弩級の戦術兵器です。
私達アトラスの持つ兵器で奴のフィールドを貫ける物は現状ありません。
……これまでアトラスは奴に苦汁を舐めさせられてきました。
貴女方、メカニカルワルキューレの力が必要です……協力をして頂けますか?』
「……協力も何も、アタシらメカニカルワルキューレが片付けてやるさ」
アリアはニヒルに笑う。
『アリア、この作戦はアトラスと協力して終わらせるのよ。』
ハカセの発言にアリアは頭を掻く。
「なんでそんな面倒な……」
『アトラスとメカニカルワルキューレ
お互いに、力を合わせたという事実が必要なのですわ……ね?ベル博士?』
『えぇ……これを好機として利用するのよ。』
「……面倒くさ……まあいいや、アトラスの……アヴェ……なんとか博士
とにかくアタシらメカニカルワルキューレの邪魔だけはしてくれるなよ。……これが終わったらリリィが戦えない理由とアトラスの事、しっかり教えてくれよな」
アリアのぶっきらぼうなながらも前向きな返答にリーナは小さく笑みを浮かべた。
その時、ヴァルハラ格納庫の警報がけたたましく鳴り響く。
巨大兵器がアトラス拠点だけでなく、ヴァルハラもロックした事を示していた。
ヴァルハラは既に通信遮断用の電磁網を展開している。
現在巨大兵器は外部と通信出来ないはずだ。
───援軍を呼ばせずに倒すなら今このタイミングしかない。
アリアはこれまで黙って聞いていた他のワルキューレに確認する。
「───ってわけで、皆ちゃんと聞いてたな?要はアトラスの奴らと仲良く楽しくデカブツを倒すって事だ。返事は?」
アリア以外の八人も既にメカニカルワルキューレを装着し、臨戦態勢だった。
「私達も大丈夫です師匠!
要はあの巨大兵器をアトラスの人達が誰も傷付かない様に倒すって事ですよね?
任せてください!」
ミレイナがサムライソードを構え笑顔を浮かべる。
「いや、共に一つの敵を倒す事で連帯感を芽生えさせるのが目的でしょ?……
まあ事前に知っていたら意味ない気もするけど……」
ソフィアはミレイナのあまり理解していなさそうな回答に修正をかける。
「……ていうかアトラスって信用して良いの?」
フィレアは首を傾げる。ヴァルハラの中で待機していた者には何が起きているのか今一理解出来ていなかった。
そんな会話をしていたら巨大兵器は大量のミサイルを放ってきた。
『数は五十以上!
小型のマイクロミサイルがアトラス拠点へ向かって放たれました!』
コトネの通信がヴァルハラ内に響く。
瞬時にアトラスの自動迎撃機構が作動する。
パワードスーツ部隊も連携し、均整の取れた動きでマイクロミサイルを撃ち落としていく。
しかしそれでも撃ち落とし漏れたものが次々に拠点に目がけ押し寄せる。
アリア達は会話を中断し、咄嗟に動こうとする
しかし……間に合わない。
あわやと言うタイミングでヴァルハラのカタパルトから大量のビーム……
───ルキアの飽和攻撃、そしてディアナとメガイラのビーム兵器が同時に炸裂した。
目まぐるしいエネルギーの奔流は残りのミサイルをすべて叩き落とす。
そしてルキアは振り返ると緊張感に欠けた他のワルキューレ達を怒鳴り散らした。
「皆!今は戦闘中よ!!」
アリアもその怒気に思わずたじろぐ。
するとアリアはディアナに肩を叩かれた。
「後輩に怒られちゃったわね」
アリアはディアナのやれやれという表情を凝視する。
納得がいかなそうな顔を浮かべ、ため息混じりにカタパルトへ歩いた。
───カタパルトの全ロックが外れる音が響く。
アリアのスラスターが唸りを上げる。
「はぁ……とにかく
───メカニカルワルキューレ02ヘル……アリア、行くよ!」
───赤い火花がアトラスの空を駆けた。
しかしその空に、リリィは居ない。




