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メカニカルワルキューレ ─未来を取り戻す物語─  作者: ハムスターマン
第三章 ティターニア編
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第102話 ローレンツとロゼッタ


閉ざされたアトラスの司令室の前で皆が沈黙をしていた。


ハカセとソーマはこれからの事を考え、

トニオは今まで知らなかった世界の闇を垣間見て……


そしてリリィは──リーナに抱くべき感情が嫌悪なのか、同情なのか、憐れみなのか……或いはそれら全てを内包した感情なのか


自分自身にすら理解出来ていなかった。



皆の沈黙をダルケンが遮る。

「まぁ、お前さん達も色々思う所は有ると思うが、

博士もあぁ言ってんだ。

ここはひとまずアトラスをお前さん達の目でじっくり見てから考えれば良いんじゃねぇか?」


そういうとダルケンはリリィ達の背後に着けていたパワードスーツの男性に声をかける。


「おい、ローレンツ。客さんにここの案内をしてやれ。」


ローレンツと呼ばれたパワードスーツの男は、きょろきょろと周囲を見回した後、自分を指差した。


「おう、お前以外のローレンツを俺は知らんな。……お前さんこれからフリーだったな。


……まぁこの中で見学が出来そうなのは……嬢ちゃんだけか?」


リリィ以外はこれからダルケンや他スタッフと情報の交換が必要だろう。トニオはソーマの護衛のため身動きが取れない。


「リリィ……自分の目で見て、それからしっかりと考えなさい。

……今回は、貴女の意見を尊重するわ」

ハカセの言葉にリリィは驚く。


つまり自分がアトラスとの共闘を拒否すればこの同盟の話は無くなるという事……



リリィは目の前であからさまに嫌そうにしているパワードスーツの男性に声をかける。

「……見させてください。貴方達、アトラスの事……」


パワードスーツの男性はため息を零すと自身のこめかみ部分をタッチする。


するとバイザーがパワードスーツの後部に収納され素顔が晒された。


リリィは驚く。


武骨なパワードスーツの中から自身とそこまで年齢の変わらない青年が出てきたのだから。


「……よろしく。俺はローレンツ・シュタイナー。君の話は戦場でよく聞いたよ」


ローレンツは頭を掻く。

「……俺は……その、あんまり口が立つ方じゃないんだ。だから……」


そこまでローレンツが言いかけた時だった。

彼の背部に接続されていたネガ・メガミドライヴが、プシューッと音を立ててロックが解除された。


「あっ、おい──!」


ローレンツの制止も虚しく、ネガ・メガミドライヴはスーツからするりと抜け出した。


するとネガ・メガミドライヴに小さな手が二つと四本の足が生える。


『始めましてリリィさん!貴女の活躍はアトラスまで響き渡ってましたよ!あのダルクのクソ野郎を倒してくれたとか!ブラボー!コングラッチュレーション!!』


リリィとハカセは目が点になる。


「あー……コイツは俺の相棒で……俺の実の妹……です。」


「は……?えっ……?」

リリィは遅れて反応する。


これまでネガ・メガミドライヴは数多く見てきたが、

自律して動く物など見た事が無かった。


『そうです!私の名はロゼッタ!兄の最強の相棒にして、

プロメテウスにメガミドライヴにされた、本当は最強に可愛らしい妹……デス!』

そう言いながらロゼッタと名乗ったネガ・メガミドライヴは謎のポーズを取ってみせた。


「……プロメテウスに拉致されて……助けに行ったんだが、既にメガミドライヴにされていて……手足は後からアヴェリーナ博士が付けてくれたんだ。」


ローレンツが説明する間もロゼッタはリリィとハカセの周りをクルクルして『HEY!HEY!』と相槌?をしている。


それまで腕を組んでいたソーマが口を開く

「つまり、改造の後遺症でこの様な奇抜な言動を……?」



「いえ……性格は……据え置きです」

ローレンツの呆れた表情を見るに、これが日常なのだろう。


「しかし……ネガ・メガミドライヴに改造されて自我が残っているなんて……」

ハカセがまじまじとロゼッタを見つめる。


するとロゼッタは

『イヤン!』

と言ってモニター部分を手で覆った。


「……妹は改造された直後に救出出来たから、投薬や電撃を免れて自我が消えなかったんだろうと、アヴェリーナ博士は……」

ローレンツが言い終わる前にロゼッタは

『疲れました。寝ます』

と言ってローレンツのパワードスーツの背部に再び収納された。


「えっと……ちょっと騒がしかったが、アトラスの案内だよな?……付いてきてくれ」

ローレンツが何事も無かった様に歩きだし、リリィはハッとして後をついて行く。


武器庫やら仮眠スペースやら、アトラススタッフが働いている様をローレンツに説明を受けながら案内されたが、リリィの頭には何も入って来ていなかった。




───今まで自分は数え切れないネガ・メガミドライヴを救う為と破壊してきた。



もしかしたら、それらにも、まだ自我があったのではないか……


今まで破壊してきたネガ・メガミドライヴの残骸が脳裏をよぎる。


自分は──




 今まで何人の少女を殺してきたのだろうか。




リリィの視界が歪む。

呼吸が浅くなる。



その瞬間、リリィの意識は闇に沈んだ。


ローレンツとロゼッタの二人は実はメカニカルワルキューレを考える前に思いついていたメタルアーミーという作品の主人公予定だったキャラだったりします。

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