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白石結花ー1人の声が、私を変えたー  作者: 柴咲心桜


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1/1

その声が、私の名前になった

――あなたの名前は「結花」よ。


 


産声を上げたばかりの私は、何も知らなかった。


世界の広さも、言葉の意味も、自分という存在さえも。


けれどその時、確かに感じたのだ。


誰かの温かな手が、私の小さな身体を包み込むのを。


そして、柔らかな声が耳元で囁いた。


「結ぶ花、と書いて……結花」


母の声だった。


それが、私が人生で最初に受け取った“音”であり、“意味”だった。


白い光の中。


消毒液の匂い。


まぶしくて、でも眩しささえわからなかった世界で。


私の物語は、そのたったひとつの言葉から始まった。


結花。


その名前は、優しさと願いと、ほんの少しの祈りを含んでいた。


“この子が、誰かと誰かを結び、花のように咲きますように”


――そうして名付けられた私は、その意味を知らぬまま、生きていく。


けれど、何年も経ったある日、私は思うことになる。


「ねえ、ママ。

 私、“結花”じゃないほうがよかったのかな?」


そんな問いが心に芽生えるのは、もう少し先の話。


 


これは、私――白石結花が、名前の意味と、私という存在のあいだで揺れ続けた、長い長い物語の、ほんのはじまり。

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