青き花嫁
⚠︎この作品は死の表現がありますが、最後はハッピーエンドです。
NLバージョンはカクヨムの方にあります。
URL:https://kakuyomu.jp/works/16817330663122347011
青を基調としたステンドグラスから差し込む光は鮮やかな青色の光を放ち、教会の真っ白な壁を染める。中央の台座の上にいる聖母マリアは微笑みを湛え、神聖な雰囲気を纏い佇んでいる。海星の着ている純白のドレスは、ステンドグラスから差し込む光でほんのりと青みがかり、彼の色に染まっている。教会の中は少し暗らく、海星の髪は夜のような深い青になっているため、ドレスと相まってグラデーションになってとても綺麗だ。
「海星、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、どんなときでも僕とずっと居てくれますか?」
「はい。」
綺麗なピンク色の唇が小さく動く。
「琉火、健やかなるときも、病めるときも、どんなときもずっと、ずっと俺と居てくれますか?」
「はい。」
答えるとゆっくり海星に近づき誓いのキスをした。顔を離せば、海星は頬を赤くさせて、静かに涙を流してた。
「琉火、大好きだよ。ずっと、ずっと好きだからね。」
「僕も好きだよ。」
右手で海星の頬に触れ、もう一度キスをしようと顔を近づけ───
「ハッ……」
息を吐き、勢いよく体を起こした。僕は右手で自分の顔を覆う。
「何でこんな夢を。なぁ、海星……」
サイドテーブルに置かれた写真を見て呟く。写真には結婚するための準備で、嬉しそうに微笑みながら、ドレスを選んでいる海星が写っていた。
「ねぇどう? 似合ってる?」
「このドレスがいいなぁ」
「楽しみだね結婚式!」
あの頃の楽しそうな海星の声、姿、全ての記憶が思い浮かんでは、泡のように消えていく。
「何で死んだんだよ。海星ッ……」
涙が頬を伝い、真っ白なシーツに落ち、シミを作る。
「大好きだよ、琉火……」
頭から血を流し、服を紅く染めながら、小さく零した海星の声が、頭の中で反響し繰り返される。
「海星。」
忘れられないあの日の記憶───
クラクションが鳴り響き、ドンッと鈍い音が鳴る。そして、海星が赤い血を流しながら倒れていく姿。近寄って抱きしめれば手にベッタリとつく生暖かい血。悲しげに
「もっと琉火と居たかったなぁ。」
と言って笑いながら、僕の頬に触れてくる柔らかい手。
「大好きだよ、琉火。」
と呟きを零し、僕の頬から離れ、落ちていく手。温もりが消えていき僕の熱を奪っていく体。視界が霞んで見えなくなっていく。何処からか聞こえるサイレン の音と誰かの声。
そこからの記憶は曖昧で、ずっと何処か霧の中を漂っていた。気がつけば病院にいて、そして冷たい声で
「海星さんは亡くなられました」
と残酷に告げられた。それからあっという間に葬儀が終わり、みんな海星のことを忘れ、いつもの生活に戻っていった。僕もみんなに合わせようとするが出来ず、ずっと立ち止まったままだ。死ぬことは出来ず、だらだらと生き続けている。そんな毎日を送っていた。
「なぁ、海星。僕はどうすればいいんだ。」
この声は届かないと分かっているが、それでも声に出して言う。
「待っているからね。」
と言う海星の声が小さく聞こえた気がした。
「ハハッ、最初からこうすれば良かったのに。」
キッチンから包丁を取り出すと、刃を首に当てる。
「向こうで結婚式をあげよう、海星。」
大好きで愛していて愛しい彼の名前を呼び、僕は思いっきり切った。
「もう遅いよ!」
真っ白なドレスに包まれた海星が、頬を膨らませ立っていた。
「ごめんね。」
優しく手を繋ぐと海星が手を絡ませて、恋人繋ぎに変えてきた。
「琉火、これから幸せになろうよ。」
「そうだな。」
「待たせてた分、たくさん愛してね。」
「ふふっ、愛してるよ海星。」
海星の唇にキスを落とした。
天国ではゴーンゴーンと鐘の音が鳴り響き、花の香りが辺り一体を満たした。人々は祝福の音を奏でる。そして、それを見たタキシードに身を包んだ金髪の男と純白のドレスを着た青髪の男は、嬉しそうに微笑んだ。




