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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第3章:流星閃き、道は拓く
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3−6:戦いは数が大事だが、質をおろそかにしてもいけないよね

 読者の皆様、いつも本小説をお読みくださいまして、誠にありがとうございます。

 皆様に応援して頂いたお陰で、2024年3月26日をもって本小説は40,000Ptを超える総合評価を頂く小説となりました。本小説を初期から応援してくださった方、ブックマークしてくださった方、評価を入れてくださった方、ご感想を寄せてくださった方、本小説をお読みくださった全ての方に、改めて感謝申し上げたいと思います。

 本当に、本当にありがとうございます。


 今後とも、本小説『【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記』を、どうぞよろしくお願いいたします。



「……ま、そりゃ何も起こらんよな」


 散々、安全が大事だ休養をとれと藍梨さんに講釈を垂れたものの……ブルースライムしかいない第1層で、そうそう何かが起こるわけもなく。

 無事に第2層への下り階段にたどり着き、俺はそっと独りごちた。道中で他の探索者を見かけなかったので、みな既に奥の方へと移動しているのだろう。


「なるほど、これを降りれば第2層か」

「……暗くて下が見えないですね。藍梨様、降りる時は足元に気を付けてください」

「ぜひそうしよう。陽向、ありがとう」


 並んで階段下を覗き込む藍梨さんと陽向君が、なんだかとても仲良さそうだ。それをガードマンの人たちが、どこか微笑ましげに見ている。ダンジョン探索では些細なことが命取りになりかねないので、こんな感じの雰囲気の良さが続いてくれればありがたいな。

 ……まあ、陽向君が中性的な容姿をしているためか、2人の距離感の近さも相まってどうも百合にしか見えないのだが。


「ねえ恩田さん、第2層からは……」

「ああ、もちろん承知してるよ、朱音さん。ここからが本番だ。多分みんな分かってるとは思うが、軽く話だけしておこうかな。

 ……すみません、お2人とも少しよろしいですか?」


 階段を覗き込む2人に近付き、声を掛ける。2人が揃って振り向いたところで、軽く打ち合わせをする。


「さて、藍梨さんも陽向君もしっかり予習しておられるようですが、念のためお伝えしておきます。第2層からは、ホーンラビットとブラックバットというモンスターが新たに出現するようになります」

「はい、そこは事前に調べてきました。ホーンラビットは一撃の威力と突進速度が、ブラックバットは空を飛んでいることによる捕捉のしにくさが、それぞれ厄介なモンスターなのだとか」


 さすがにそこはバッチリか。あの万能初心者用パンフレットくらいの情報は、2人とも目を通してきていると思って良さそうだ。

 ……まあ、それでも一応は確認しておいて、損は無いだろう。たった数十秒の手間で多少なりともリスクが潰せるのなら、それに越したことは無いのだから。


「ええ、その通りです。初めは厄介に感じると思いますが、落ち着いて対処すれば問題ありません。先に対処方法をお伝えしておきますね」

「よろしく頼む(お願いします)


 藍梨さんと陽向君が頷いてくれたので、話を進めることにする。まずはホーンラビットかな、階段を降りたら即エンカウントしそうだし。


「まず、ホーンラビットは出会い頭に威嚇してきますが、そこで遠距離攻撃を撃ち込めば一番楽に倒せます。近接戦闘で倒す場合は、突進攻撃中か攻撃後の隙を突いてください。突進攻撃は速いですが、直進性が高いので横に少し動くだけで避けることができます。慣れればすれ違いざまに切り捨てる、なんてことも十分可能でしょう」


 ふと朱音さんに目をやると、胸を張ってドヤ顔を決めていた。ほぼ初見でカウンターを決めていたし、朱音さんは運動神経が抜群に良いのだろう。

 ただ、同じことは多分陽向君にも言える。今は刃物系の武器を持っていないので無理だが、今後短剣辺りを装備すれば朱音さんと同じことができるだろう。そもそも今でも弓を装備しているので、俺と同じく突進攻撃前にホーンラビットを潰すことも可能だ。

 少し不安なのが藍梨さんだが、今はガードマンの人たちがいる。全員が戦士タイプかつ盾装備なので、ホーンラビットの攻撃を防ぐのはそう難しくないだろう。


「次に、ブラックバットは攻撃後の隙を突くのが一番楽です。ホーンラビットと比べて攻撃力が低いので、防ぐのはそう難しくありません。武器が届かない高度を不規則に動くので、普通に飛んでいる時は攻撃を当てにくいですね」

「ふむ、なるほどな。ちなみに恩田殿はどう対処しているのだ?」

「俺ですか? 俺は、こうして……と」


 右手のひらを真上に向けて掲げる。ん? という顔を藍梨さんたちがしたので、ここで魔法を実演することにした。


「"ライトショットガン"」


 もほやおなじみとなった広範囲攻撃魔法、光の散弾(ライトショットガン)を真上に向けて放つ。誰もいない虚空に向けて光弾が散っていき、天井に当たって次々と消えていった。

 それを見た朱音さん以外の全員が、小さくため息を漏らした。


「……とまあ、こういうわけです。オートセンシングと組み合わせて、射程距離に入った瞬間に即撃ち落としていますね」

「なるほど。狙って当てるのが難しければ、面を制圧するように攻撃すればいい……と、そういうわけか」

「そうです。ブラックバットは打たれ弱いので、これでも簡単に撃墜できますね。一度に出現する数が多いので、面制圧攻撃は合理的でもあります」

「ううむ……」


 ……ただ、ここまで言っておいてなんだが、俺のブラックバット攻略法はあまり参考にならない気がする。面制圧飽和攻撃は無駄撃ちが多く、リソースを浪費しがちだからだ。

 俺のライトショットガンが低コストで済んでいるのは、元にした魔法がライトバレットだからだ。それを細分化して広範囲攻撃を実現しているので、弾1つ1つの威力は最低クラスに近い。だからこそ、ブラックバットでさえも倒し切れない時がたまにある。


 ダンジョンの深層に足を踏み入れて、モンスターの顔ぶれが変わった時。きっと、ライトショットガンは威力不足でお役御免になるんだろうな。

 まあ、それまでは存分に使い倒してやるとしようかね。


「……誰にでも真似できることではないな、これは」

「ですね。僕たちは恩田さんが最初に仰った通り、攻撃後の隙を突く方法でいきましょう」

「そうしようか。皆も、それで頼む」


 俺としても、その方が良いと思う。今慣れておけば、この先もずっと使える戦法なのだから。


「……ところで、恩田殿。先にここでゴーレムを出しておいて、モンスターに対して即応できるようにしておきたいのだが」

「分かりました。藍梨さんの負担にならなければ、問題ありませんよ」

「負荷はかかるが、練習して慣れるべき負荷だから問題はない」


 そう言ってから、藍梨さんが指揮棒を構える。


「では行くぞ。"クリエイト・ブロンズゴーレム・スリー"」


 藍梨さんの詠唱と共に、先ほどの5倍くらいの数のパーツが空中に現れる。それらが一気に組み上がり、3体のゴーレムへと姿を変えた。

 ただ、さっきの剣兵ゴーレムとは明らかに造形が違う。武器が長槍になり、体はやや大きくなり、持っている盾は体長の半分ほどまで大きくなっている。総じて戦闘力が高そうな、しかし鈍重そうなゴーレムに見える。


 そのゴーレムたちだが、なにやら2体ずつぎこちない挙動で歩いては止まり、また2体ずつ歩いては止まりを順番に繰り返している。さっきの剣兵ゴーレムは比較的滑らかに動いていたのだが……これは、どういうことだ?


「むう……たった3体なのだが、6割以上魔力を持っていかれたか。それに、ゴーレムの同時操作は非常に難しいな」

「操作? 号令もかけてましたし、ゴーレムは自律行動なのでは?」


 気になって聞いてみたのだが、藍梨さんは首を横に振った。


「ゴーレムには自律型の他に、遠隔操作型、半自律型の計3種類があるようだ。だが、半自律型のコストは遠隔操作型の2倍、自律型に至っては遠隔操作型の3倍になるらしい。今の私の魔力量では、自律型剣兵ゴーレム3体召喚でほぼ全て削れてしまうゆえ、消耗を考えれば実質的に遠隔操作型しか選択肢が無いのだ」


 ……なるほど、それは中々にキツい縛りだな。


「そして、1体の遠隔操作型ゴーレムを操るだけならそれほど難しくはない。だが3体となると、それぞれの動きに均等に意識を割く必要があるせいで難しいのだ」

「ああ、なるほど」


 だから、2体ずつ順番にゴーレムが動いてたのか。

 現状の藍梨さんが同時に意識を割けるのは2体が限界で、そこから漏れた1体が動きを止めてしまう。動きの止まったゴーレムに意識を割くと、今度は別のゴーレムから意識が逸れて動きを止めてしまう……それを繰り返して、あんな感じの不思議な挙動になっていたようだ。


「ちなみにだが、先ほどの剣兵ゴーレムも遠隔操作タイプだ。号令は……まあ、ただのフリだな。特に意味は無い」


 顔を逸らし、少し顔を赤らめさせながら藍梨さんがそう言う。ちなみに、後半になるほど段々と声が小さくなっていた。

 ……うん、まあ、その、なんだ。朱音さんといい藍梨さんといい、この姉妹はたまに驚くほどノリが良くなるんだな。血の通った人間らしさがあって、俺としては大変好感が持てるが。

 こんな人が上司ならさぞやりやすかろうと、陽向君の方を見てみる。


 ……なんか凄い顔の陽向君と目が合った。


 あ〜、これは、何となく察したよ。陽向君に伝わるかは分からないが、努めて真顔で小さく首を横に振っておく。

 それで陽向君の表情は普通に戻ったが、後で会話必須だなこれは。


「しかし、いきなり3体の操作は厳しいのでは? まずは2体で、滑らかに動かせるよう練習してみてはどうでしょうか」

「……そっ、そうだな、そうしよう。"リリース・ブロンズゴーレム"」


 藍梨さんの詠唱で、ゴーレム1体が光の粒子となって消えた。

 その状態で、ゴーレムが再度動き始める。1体の時よりは動きが固いが、今度は止まる事なく動いている。


「うむ、これくらいの負荷が今は一番良さそうだ」

「では、そのまま階段を降りてみましょうか。朱音さん、陽向君、念のためゴーレムの下には入らないように」

「分かったわ」

「了解です」


 最初に朱音さん、続けて俺、陽向君、ゴーレム2体、藍梨さんとガードマンの人たちが並んで階段を降りる。ゴーレムが転倒して階段を転がり落ちても大丈夫なよう、真下を避けて位置取りしている。

 ついでに、オートセンシングで階段下に他の探索者がいないか確認したが、やはり誰もいなかった。今頃はどこまで潜ってるんだろうな……。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
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