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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第2章:朱き飃風は母を想いて舞い踊る

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32/215

2−25:さすがに、いまさら第2・3層で苦戦する要素は無いよな?


 第4層の探索を終え、上り階段まで無事に戻ってくることができた。大群を倒した後も、第4層は侮れない場所だったな……。

 魔力残量も過去最少、残り20%を下回っている。これは少し休憩しないと、帰り道で魔力が尽きてしまうかもしれないな。


「朱音さん、ちょっと休憩しようか。魔力が少なくて少しマズい」

「賛成。私もさすがに疲れたわ……」


 階段の最上段付近まで登ってから、ステップにゆっくりと腰掛ける。俺達を追ってモンスターが上がってくるかもしれないので、オートセンシングはそのままにしておいた。


「恩田さん、お水くださいな」

「了解、"アイテムボックス・取出"」


 湯沸かしに使って残った方のペットボトルを取り出す。それを朱音さんに手渡すと、一気に水を呷ろうとしたので手で制した。


「水、あんまり一気に飲み過ぎない方がいいぞ。体に負担がかかるらしいから」

「う゛っ。そ、そうね、気を付けるわ……そういえばそれ、お母様にも言われたわね」

「なら、なおさら気を付けた方が良いぞ」

「善処します……」


 そう言ってから、朱音さんはちびちびと水を飲み始めた。理解してもらえたようで何よりだ。


「"アイテムボックス・取出"」


 俺もペットボトルを取り出して水を飲む。残りは1リットル弱くらいだが、量はこれで十分だろう。むしろ飲み切れない可能性の方が高い。

 水をゆっくりと飲みながら、アイテムボックスの中を確認する。


「"アイテムボックス・一覧"」



 ☆


・ブルースライムの魔石×5

・ホーンラビットの魔石×143

・ブラックバットの魔石×171

・ゴブリンの魔石×190

・ラッキーバタフライの魔石×2


・装備珠(赤・ランク1)×1

・装備珠(赤・ランク2)×7


・装備珠(青・ランク1)×2

・装備珠(青・ランク2)×5


・装備珠(黄・ランク2)×5


・ブルースライムの核×1

・ホーンラビットの角×7

・ブラックバットの翼×1

・ゴブリンの棍棒×1


(以下略)


 ☆



「ホーンラビットにブラックバット、ゴブリン……魔石数が3桁いってるな」


 昨日はゴブリンの魔石数だけが3桁だったが、今日はホーンラビットとブラックバットの魔石数も3桁の大台に到達している。第2層からモンスターの大群と戦ってばかりだったので、正直あまり驚きは無い。

 ……まあ、注目すべきはそこではないが。


「……ブラックバットの翼」


 ホーンラビットの角も数が増えているが、何より気になるのが新アイテム・ブラックバットの翼。特殊ドロップで間違いないとは思うが、翼を切って倒すと入手できるのだろうか?

 ……そうなると、第4層で朱音さんがブラックバットの群れに飛刃・擾乱を放った時か。1つしかドロップしていないのは、やはりブラックバットの脆さに原因がありそうだ。


「あら、また新しい特殊ドロップ?」

「ああ、ブラックバットの翼だってさ。1つだけアイテムボックスに入ってた。"アイテムボックス・取出"」


 ブラックバットの翼を取り出して、じっくり観察してみる。

 ……ふむ、手触りはまるで柔らかめのゴムみたいだな。伸縮性や柔軟性はかなりありそうだ。


「ねえ、私にも見せて?」

「ああ、どうぞ」


 朱音さんにブラックバットの翼を手渡す。朱音さんは一通りフニフニと翼の感触を確かめてから、一瞬だけ視線を自身の体の方に向けていた。

 ……まあ、俺からは何も言うまい。


「これ、売る時ってやっぱりオークションになるのかしら?」

「あまり数が出ないらしいし、そうなるんじゃないかな。魔石みたいに安定した供給量と良い利用方法が確立できれば、固定価格になるかもしれないけど」


 まあ、そこは研究開発に携わる皆さんの活躍に期待だな。


「さて、"アイテムボッ"」

「恩田さん。そういえば、その帽子って」

「"クス・収納"……うえ!?」


 やべっ、装備していた青いベレー帽に意識が向いてしまった。魔法的には収納対象に指定した扱いになったのか、そのままアイテムボックスに収納されてしまった。


「あ、帽子が消えた」

「つい、意識がそちらにいってしまった……"アイテムボックス・一覧"」


 アイテムを取り出すにも、そのアイテムに関するイメージが重要になる。物の色や形、触感などでも情報としては十分だが、名前くらいはちゃんと確認しておきたい。



 ☆


(略)


・アイアンランス(破損:小)(久我朱音用)×1

・フィアリルハルバード(破損:大)(久我朱音用)×1


・アイアンアーマー(久我朱音用)×1

・見習い魔法士のローブ(恩田高良用)×1

・ウォーターベレー(恩田高良用)×1


(略)


 ☆



 えーっと、これか。ウォーターベレーって名前なんだな……って、あ。


「あっ、そうか!」

「わっ、急にどうしたの?」

「アイテムボックスに装備を入れたら、名前だけは確実に分かるってことに気付いた。もしかしたら、名前から装備の効果を予想できるかもしれない」

「あら、そうなの?」


 【鑑定】ではないので、効果が全てピンポイントに分かるわけではない。だが、効果を予想する材料にはなりそうだ。

 アイテムボックス・一覧は何度も使っていたし、装備だっていくつも収めている。なぜこんな簡単なことが、今まで思い付かなかったんだろう?


「早速試し……と、ここだとちょっと危ないか」

「そうね、第1層に戻ってからにしましょう」

「そうしようか。"アイテムボックス・取出"」


 ウォーターベレーを取り出し、被り直す。名前からして、火属性や水属性の攻撃に強くなれそうな装備だ。ランク5の装飾珠から出た装備なので、効果には十分期待できるだろう。


「………」


 ふと時計を見る。現在時刻は午後1時56分、第4層へのアタックを開始してから40分くらいしか経っていなかった。第4層での出来事がいかに濃密なものであったかがよく分かる。


「……午後2時か。30分くらい休憩したら、帰る頃にはちょうどいい時間になりそうだな」

「結構経った気がしてたのに、まだ午後2時なのね……第4層、本当に大変な場所だったわ」

「……無理させてごめんな、朱音さん」

「あら、これくらい平気よ。こう見えても私、元運動部なんだから」


 うん、それはなんとなく分かってた。いくらギフトの効果があるとはいえ、あれだけ槍を振り回して体の軸がほとんどブレないのは、元から相当なトレーニングを積んでいるということだろう。

 しかも、体幹は意識して鍛えないと強くならない。筋トレが好きな人でも、体幹トレーニングのプランクは苦手という人はたまにいるのだから。


「俺もハンドボールやってたんだけどな〜、高校時代はさ。今は全く関わり無くなったし、衰えに衰えて運動はサッパリだよ」


 肺活量だけは今も4000ccを軽く超えるが、他はてんでダメな状態だ。そりゃ前衛には向かんよなぁ……。


「えっ、意外。恩田さんがハンドボールって、その……」

「似合わないってか?」

「あ〜、いや、その、えっと……」

「いやいや、気にするなって。俺だって本当はやるつもり無かったんだからさ」


 当時の俺は本当に主体性が皆無な人間で、知人に誘われて軽い気持ちでハンドボール部に入った。その後、地獄を見たのは言うまでもない。

 ……ちなみに、その知人は1年と経たずに高校を中退した。仲が良かった友達のケツを追っかけて、別の高校に入り直したとかなんとか……。


「……まあ、もはやどうでもいいことだけどな」

「……?」


 そんな経験を下地に、今の自分ができている。主体性皆無だった自分から少しでも脱却でき、自律して行動する力が多少は身に付いたのだから、感謝こそすれ恨みに思うことはできなかろう。

 ……まあ、そうは言っても割り切れない気持ちがあるのも、また事実ではあるが。


「さて、ゆっくりしたら帰……"ライトバレット"」

「ギッ!?」

「"アイテムボックス・収納"」


 俺達を追ってきたのか、ホーンラビットが階段を上がってくるのをオートセンシングで捉えたので撃ち倒す。魔石はすぐに回収した。


「……命中したな」


 咄嗟に撃ったが、うまく当たってくれた。これが常にできるよう、練習を積み重ねていかなければな。



 ◇



 階段でゆっくり休憩し、魔力が4割くらいまで回復したところでダンジョンゲートを目指して移動する。帰り道は体力増強も兼ねて、移動は全て駆け足で行った。不意打ちが怖いのでプロテクション付きではあったが。

 ただし、岩部屋はサクッとライトニング・ボルテクスで掃除し、直線通路はフラッシュで切り抜けた。後は流れでモンスターをバタバタと倒していき、ダンジョンゲートに到達するまでにホーンラビット10体、ブラックバット20体、ゴブリン21体を帰り道で仕留めた。アイテムは全て、アイテムボックスの中に収めている。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 ギフトや能力値上昇の恩恵を受けているからか、あるいは装備品の効果か。30分近く走り続けたにも関わらず、息が上がるだけで済んだ。それらが無ければ、間違いなく途中で脱落していたな。


「あ〜、良い汗かいたわね」


 一方の朱音さんは、余裕の表情を浮かべている。汗はかいているものの、まだまだ走れそうな様子だ。若さの差だけではない、根本的な体力面でのスペックの差をヒシヒシと感じる。

 ただ、そんな朱音さんでも強力な武技を使った時は極端に疲労していた。あれをもし、俺が使ったとすれば……うっ、考えるだけで恐ろしいな。


「ふぅ……」

「……!」


 ……いかんいかん、何を見とれとるんじゃワシは。アカンやろ、いい歳したオッサンが若い女性相手にそんなことしとったらさ。


「……ふふっ」

「………」


 全力で目を逸らしたが、多分これ朱音さんに気付かれてるな。まあ、どことなくいたずらっぽい笑顔をしているから、気に障ったわけでは無さそうだが。


「……わ、脇道に行こうか、朱音さん」

「ええ♪」


 朱音さんと連れ立って、ダンジョンゲート脇の道に入っていく。装備品の名前を確認しておくために。

 ついでに、ブルースライムがいたら核も取っておくかな。



 そういえば、読者の皆様に報告できていなかったと思いますので記載させて頂きます。

 1月に受けた資格試験ですが、合格の通知が届きました。なかなか難しい試験でしたが、なんとか合格点まで届かせることができました。

 ちなみに、受けたのは一陸技です。合格できなかったら恥ずかしかったので、明言はしていませんでしたが……。


 次は、どの資格を取りにいこうかな。




 また、読者の皆様に報告させて頂きます。


 現在、最新話を書くかたわらで序盤の話の加筆修正を行っています。勢い重視で書いた影響で、文章表現の不足などが発生しているのを補う目的です(話の流れを変える意図はありませんので、再度の読み直しは不要な範囲に収めています)。その影響で、プロローグが長くなったため2つに分割するなど、話数が増えております。

 今後も改稿に伴い、話を分割する可能性があります。予めご了承くださいますよう、よろしくお願いいたします。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
[一言] 一陸技合格おめでと〜! …ところで一陸技ってなんの略でしたっけ? (・∀・) あと、他に何かの資格は取るんでしょうか? (゜∀゜)。
[良い点] 合格おめでとうございます! 合格率25%とは難易度高めですね。
[一言] おめでとうございます
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