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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第4章:そして始まる、現代ダンジョン探索元年

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4−105:炎を纏う雛鳥が、仲間になった……?


「ピィ、ピィ!」

――パタパタ!


 九十九さんの足元にたどり着いた雛鳥が、その場で一生懸命ピョンピョンと跳びはねている。どうやら九十九さんの肩に乗りたいようで、視線を上にやりながら必死に翼を羽ばたかせていた。

 ……だが、未熟な雛鳥には少しばかり高すぎるらしい。落下速度を落とすことはできても、その小さい翼ではまだ重力に逆らって飛び上がることはできない。雛鳥が必死にジャンプしても、九十九さんの膝くらいまでしか届いていないのが現実だ。


「ピィッ! ピィッ!」

――パタパタパタ!


 しかし、それでも雛鳥は諦めない。高さが足りないのなら、脚に力を込めてもっと高く跳べばいいとでも言わんばかりに何度も何度も跳び上がる。それで本当に少しずつ高さが上がっていくのだから、モンスターながらそのガッツには脱帽せざるを得ない。




「……うふふ。おいで、なのです」

「ピィッ!」


 さすがの雛鳥にも疲れが見え始めてきたところで……九十九さんがその場でかがみ、雛鳥をそっと両手で(すく)い上げる。【焔の魔女】ギフトのおかげか、あるいは装備品のおかげかは分からないが、九十九さんは雛鳥の炎に直接触れても問題無いようだ。


「ピィ♪ ピィピィ♪」

「あはは、くすぐったいのですよ〜」


 顔の側まで持ち上げられた雛鳥は、とても機嫌良さそうに九十九さんへ頬擦りをしている。そこに、九十九さんを害しようというような意思は微塵も感じられず……むしろこれは、九十九さんに完全に懐いているな。これが演技だったら、雛鳥は相当な千両役者だと言えるだろう。


「……【鑑定】」


 まあ、この様子を見る限り大丈夫だとは思うが、一応確認だけしておこう。



 ☆


名前:虹勾鳥 (雛鳥)

種類:進化モンスター

スキル:【体力再生Ⅰ】【火炎領域Ⅰ】


属性耐性:火 (吸収) 光 (吸収)

状態異常耐性:毒 猛毒 劇毒 致命毒

弱点:闇 (3倍) 水 (2倍) 氷 (2倍)


説明:七色に輝く翼を持ち、全身に炎を纏う美しき巨鳥……その雛鳥。まだ未熟なため飛ぶことはできず、翼も七色に輝いていない。体躯もとても小さく、毒系を除く全ての状態異常が通ってしまうほどに貧弱である。

 戦闘能力は無いに等しく、倒すのは非常に容易。しかし、雛鳥を倒してしまうと親鳥が激昂してしまい、雛鳥を討伐した者か自身のどちらかが倒れるまで執拗につけ狙ってくる。

 ノンアクティブモンスターのため、こちらから攻撃しない限りは攻撃してこない。ただし、身に纏う炎を制御する能力がまだ未熟なため、近くにいると【火炎領域Ⅰ】スキルによる火属性スリップダメージを受ける。


 ☆



「……うげっ、危なかったな」


 ほぼ予想通りだったが、やはりこの雛鳥――虹勾鳥(にじまがどり)の雛なので、今後は虹雛鳥と呼ぶ――は絶対に倒してはいけないモンスターだった。しかも"進化モンスター"とあるので、虹雛鳥はいわゆる特殊個体なのだろう。

 ……この感じだと、親鳥はおそらくディザスタ(ダイブイーグ)ーイーグル(ルの特殊個体)よりも強いだろうな。全力で戦えば勝てなくもないとは思うが、そんな無駄なリスクは負いたくない。虹雛鳥を無事保護できて、本当に良かったよ。


「【鑑定】結果はどうだったのです?」

「ああ、この子は虹勾鳥というモンスターの雛らしい。で、虹勾鳥の雛だから一旦は虹雛鳥と呼ぶことにした」

「虹雛鳥……うん、呼びやすくて良きなのです♪」

「ピィ♪」


 九十九さんにスリスリと甘える虹雛鳥、どうやら随分と気に入ったらしい。このまま仲間モンスターになってしまいそうな勢いだが、九十九さんにそのつもりは無いようだ。

 ……未だ姿を現さないが、親鳥がいる以上勝手なことはできないからな。早めに出てきて欲しいところなのだが、一体どこで何をしてるんだか。


「……あれ? なんかこの子、私の魔力を吸ってるのです?」

「ピィ♪」


 ふと、九十九さんがそんなことを言う。

 虹雛鳥をつぶさに観察すると、確かにほんの少しずつ魔力を吸っている様子が見てとれる。魔力自然回復量にすら満たない程度の、ごく僅かな量でしかないが……とても嬉しそうに、魔力を体に取り込んでいっている。


「もしかして、虹雛鳥は成長するのに魔力が必要なんじゃないか? 特に火属性の魔力が」

「あ〜、確かにそれは納得なのです」


 仲間モンスターも魔石でレベルアップするしな。原理は異なるかもしれないが、魔石に内包された魔力を取り込んでいると考えれば、俺の仮説もあり得ないことじゃないだろう。


「……でも、火属性だけじゃ足りない気もするな」


 【鑑定】結果を見る限り、虹雛鳥は火属性だけでなく光属性も吸収するようだ。それなら、虹雛鳥の成長には光属性の魔力も必要なのではないだろうか?


「……ピィ? ピィ!」


 そう考えていると、虹雛鳥の視線が俺の方を向く。そのつぶらな瞳は喜びに満ち満ちていて……もし虹雛鳥が人の言葉を喋れたなら、『お兄さんも魔力くれるの? ありがとう!』とでも言ってきそうな感じだ。


 確かに俺は【資格マスター】の効果で、【光魔法】を使うことができる。最近の探索では攻撃魔法に【雷魔法】、それ以外の用途で【光魔法】や【付与魔法】を使うことが多いが、ヒールやオートセンシングといったサポート系魔法が充実している【光魔法】は非常に有用なので、時間さえあれば訓練を重ねている。だから、虹雛鳥に光属性魔力を吸わせてやることもできるだろう。

 もちろん、俺としても虹雛鳥に魔力を分けるのは(やぶさ)でないのだが……もし直接触らないと魔力を吸わせてやれないのであれば、残念ながら俺にはちょっと厳しいな。


「うーん、魔力を分けてやりたいのはやまやまなんだがな……火属性無効耐性が無いんだよ、俺」

「ピィ?」


 【鑑定】結果にも記載があったが、虹雛鳥は常に強い熱気を発している。それが火属性継続ダメージとなって、近くにいる探索者を無差別に襲うのだ。そのダメージ量は虹雛鳥に近付くほど増えていくので、すぐ近くに立つ俺は大きく影響を受けている。

 それでも、やや遠巻きに見つめる朱音さんや帯刀さんほどスリップダメージが効いていないのは……おそらくランク5の装飾品・ウォーターベレーのおかげだろうな。ヘビータートルの水流ブレスを無効化したであろうウォーターベレーだが、どうやら火属性にもそれなりの耐性を持っているようなのだ。


 ……ただし、俺の耐性はあくまでも()()()()止まりだ。火属性ダメージ無効とまではいかず、せいぜいダメージ半減くらいではなかろうか。熱に対して多少強くなったり、火傷の程度が軽くなるぐらいのものでしかない。


「だからさ、今も近くに居るだけでわりとしんどいのよ。これで直接虹雛鳥に触れるとなれば、確実に火傷を負ってしまうだろうさ」

「きぃっ!」


 ちなみに、ヒナタは既に朱音さんの方へ退避させている。無耐性であのスリップダメージを食らうのはキツいからな……その意味でも、火属性攻撃が効かないフェルは虹雛鳥救出に適任だったわけだ。


「ぐぉぉぉぉぉぉぅぅっっ!!」

――バガガガガガガガガッ!!


 そのフェルだが、まだ裏拳を通路に叩き込み続けている。吹き抜け通路とは別の場所からガーゴイルが来ているようで、2体倒せば2体補充され、3体壊せば3体現れ……といった具合に、敵の数がなかなか減らないようだ。

 もっとも、さすがのガーゴイルも永遠に無限湧きするとは思えないので、殲滅は時間の問題だと思われる。フェルなら一撃でガーゴイルを粉砕できるし、逆にガーゴイルの攻撃はフェルに一切効かないのだから。


 ……さて、フェルが頑張ってくれている間にこちらの問題も片付けてしまおうか。


「ピィ……」

「……恩田さん、なんとかならないのです? 例えば【付与魔法】に、火属性攻撃を無効にする効果を付与する魔法があったりしないのです?」

「一応、あるにはあるんだがな……魔力消費が結構重いのよ」


 "アンチ・ファイア"の魔法を使えば、火属性ダメージを無効化することができる。それなら虹雛鳥に触れることもできるかもしれない。

 ……ただ、魔力を相当食うんだよな、この魔法は。アンチ・◯◯系の魔法には回数制限型と時間制限型の2種類があって、今回は後者の"火属性攻撃を◯◯分間無効化する"みたいな効果を選ぶことになるわけだが……俺の体感的には、制限時間を1分に設定すると【鑑定】と同じくらいの魔力消費量になる。25分辺りに設定すれば、それだけで俺の魔力は満タンから空っぽになってしまうだろう。


「この先にまだ戦いが控えてるかもしれない状況で、魔力が大きく擦り減るのはちょっとなぁ……」


 普通の攻撃は朱音さんや帯刀さんが余裕で捌いてくれるが、ゴブリンキングのメテオストライクみたいな攻撃はさすがに手に余るだろう。そういう攻撃を放ってくるモンスターが、この先で立ち塞がってこないとも限らないのだ。


「……というわけで、さ。今回は【光魔法】の回復魔法で、1つ勘弁してくれないか?」


 心情的に、虹雛鳥へ向けて攻撃魔法は使いたくない。光属性を吸収すると分かっていてもだ。なので、この辺が落とし所になるだろう。


「ピィ!」

「いいよって言ってる気がするのです」

「分かった。それじゃあ早速……"ヒール"」

――キュアァァァ……


 虹雛鳥の体が、癒しの光に包まれる。そして――






「――ピィッ!」

――パサァッ!


 虹雛鳥の両翼に、赤色の羽根が生えた。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
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