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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第4章:そして始まる、現代ダンジョン探索元年

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4−102:分岐点


「はぁっ!」

――ズバッ!

――ビシビシッ!


 帯刀さんの氷の斬撃を、正面からまともに浴びたガーゴイル。ヨタヨタと後ろに下がりながら、全身に大きなヒビが入っていく。


――バキッ!

――ガラガラガラ……

――ボフッ、ボフボフッ


 そして、ガーゴイルはそのまま全身がバラバラになりながら崩れ落ちた。さっきまでガーゴイルだった石ころは、地面へ着く前に次々と白い粒子に還っていく。これにて、ガーゴイル2体の討伐完了である。

 ちなみに、もう1体のガーゴイルは既に朱音さんの一撃を受け、白い粒子へと還っている。本来は斬撃や刺突攻撃に対して、ガーゴイルは高い耐性を持っているのだろうが……氷属性が乗った攻撃に対しては、その耐性がほとんど効果を発揮しないようだ。


「ファイアブレスさえ無ければ、こんなものか」


 結局、赤目を喪失した後のガーゴイルはそこまで強くなかった。三叉の大槍による強力な刺突攻撃や、朱音さんの飛突に似た遠距離攻撃を放ってくる点では通常のモンスターと一線を画すものの……パワーはあるが動きが鈍く、俺ですら簡単に見切れる程度のものだった。もちろん、朱音さんや帯刀さんなら言うまでもない。

 ガーゴイル最大の特長は、あのファイアブレス連続照射だったのだろう。あれは間違いなく脅威だったし、もし俺の盾が無ければ何か別の障害物に身を隠す必要があっただろうが……エントランスホールには、身を隠せそうなオブジェクトは何も置かれていなかった。ダンジョン第6層にはラッシュビートルをやり過ごすための木があったが、ここにそんなものは1つも無い。

 つまり、あの爆炎をどうにかして避け続けるか、炎を吐かれる前に両目を破壊するか、あるいは身を焼かれることを覚悟の上で突撃するか……いずれにせよ、相当シビアな戦いを強いられていたのは間違いなかっただろう。


 その脅威を、偶然とはいえ早めに封じ込めることができた。おかげで全員無傷で勝つことができたが、とっさに赤目を狙った九十九さんの機転には感謝しかないな。


「ぐぁぅっ! ぐぁぁっ!」

「ん? ああ、そういえばその手もあったか」


 フェルが『我なら炎などものともせぬ! 我に任せてくれれば、あの石の悪魔を地獄へと叩き返してやったものを……!』と言っている。確かにフェルなら火属性攻撃は効かないし、ガーゴイル程度の物理攻撃なら竜鱗で防いでしまうだろう。フェルの攻撃もブレス系を除けば、パンチや踏みつけのような打撃攻撃を得意としているので、ガーゴイルに対してはかなり相性が良い。


「よし、次にガーゴイルが出てきたらフェルに任せるよ。期待してるぞ?」

「ぐぁぅっ!」

「きぃっ? きぃぃっ?」

「ヒナタは、この後絶対に出番がある。その時は任せたぞ」

「きぃっ!」


 フェルが『あいや任された!』と言うのと同時に、ヒナタから『ヒナタは? ヒナタは?』と聞かれたのでそう答えておく。フェルの返答が若干武士っぽいのは……まあ、気にしないことにした。

 ちなみに、ヒナタへの返答はリップサービスとかではない。この試練の間を攻略するにあたって、他でもないヒナタの力が必要になる時が絶対に来る……と、なぜか俺はそう確信しているのだ。理由は特に無いが……強いて言うなら、俺の勘かな。




「……あれ?」


 ガーゴイルのドロップ品を検分していると、あの赤目に酷似したものが2つ落ちていることに気付く。九十九さんの攻撃で赤目は粉々に砕け散ったはずだが、ドロップ品はいずれも綺麗な状態でそこに落ちていた。遠目には武器珠に色合いが似てたから、今の今までドロップに気付かなかったよ。


「………」


 手に取って見てみる。形はク◯ッシュ◯ンディクーに出てくるパワーストーンを野球ボール大に小さくしたような感じで、表面はスベスベしていて宝石のような輝きを(たた)えている……が、魔力は一切感じ取れない。見た目がただ綺麗なだけの、普通の赤い石のようだ。

 しかし、ガーゴイルのファイアブレス連続照射攻撃を支えていた石だぞ? 特殊ドロップ化を挟んでるから、ガーゴイルの目に付いてたアレと全く同一のものではないと思うが……何かしら、秘密の特殊効果を持っている可能性もある。1個くらいは検証用に残しておいてもいいかもしれないな。


「……あら、それってガーゴイルの目?」

「ああ、そうみたいだ。特殊ドロップだろうな」

「綺麗ね〜、しかもすごく大きいわ」


 俺が持っている赤い宝石を見て、朱音さんが目を輝かせている。確かに見た目綺麗だもんな、このまま装飾品にするにはさすがにちょっとデカすぎるが……。

 ただ、もしコレを小さく砕いた上で、形を整えることができたなら。王冠に付いてるような巨大な宝石を、複数個作れるかもしれない。

 ……よし、特に深い意味は無いが、検証用とは別にもう1個キープしておこう。この後もガーゴイルと戦う場面はあるだろうから、その時に在庫を増やしてしまいたいな。


 さて、他に目ぼしいドロップ品は……無いな。


「"アイテムボックス・収納"っと。さて……」


 城のエントランスホールを見渡すと、先へと進む道が5方向に延びていることが分かる。

 まず、向かって右側に木の扉が1つ。ここからいきなり部屋に繋がっているとは考えにくいので、おそらく廊下へと繋がっているのだろう。そちらからは特に何の気配も感じないので、探索する意味は無いと思われる。

 次に、真正面の奥へと続く廊下。両脇を上り階段に挟まれた真ん中にあり、奥の方は暗くなっていて様子が分からないが……そこから、かなり弱めの嫌な気配がする。探索難易度=得られるお宝の質と考えるなら、リスクもリターンも少ないルートとなりそうだ。

 そして、2階へと伸びる2本の階段。2本とも同じ場所に繋がっているので、これは1つの道として数えるが……こちらからは、やや強めの嫌な気配が漂ってくる。リスクはそこそこ高そうだが、その分リターンも期待できるだろう。

 最後に、向かって左側の壁に間隔を空けて並ぶ木製の扉が2つ。手前の1つは右の扉と同じ意匠の扉で、こちらも廊下に繋がっていると思われるが……もう1つの扉は、かなり朽ちて崩れている。その崩れた扉の向こうには、チラッと下り階段が見えており……おそらくは、城の地下へと繋がっているものと思われる。


 ……だが同時に、その地下からは特大級の嫌な気配も溢れ出てきている。今の俺たちの実力では、地下に立ち入ればおそらく生きては帰れないだろうと……そう確信できるくらいには、ヤバい雰囲気が漂っていた。


「右の扉と左の扉は、先を探索しても何も無さそうだ。正面の廊下は何かありそうだが、今さら俺たちが探索しても得られるものは少なそうだな。

 ……そして、地下は絶対にダメだ。ヤバそうな気配がプンプンしてる」

「今の私たちでは、探索するにはリスクが高すぎるということでしょうか?」

「そう考えてもらって構わない。それくらいに、地下からは強い気配が漂ってきてる」


 第20層を突破した俺たちでも厳しいとなると、権藤さんや澄川さん……元自衛隊・迷宮探索部隊の人くらいしか、地下には行けないんじゃないか?

 いずれにせよ、進むべき方向は1つしか無い。


「行くなら上だ。階段を上がった先からは、適度に嫌な気配が漂ってきてるからな」

「適度に嫌な気配って、なんか独特な表現よね……でも、高良さんがそう見立てるのなら私は賛成するわ」

「です、私も上に進むのに賛成なのです」

「私も賛成します」


 朱音さん、九十九さん、帯刀さんはオッケーだな。

 ……さて、仲間モンスター3人の意見はどうだ?


「ヒナタとフェルは、どう思う?」

「きぃっ!」

「ぐぁぅっ!」

「『異議無し』、か。アキはどうだ?」

「ぱぁ……」

「アキは『炎の気配がする、行きたくない……』って言ってるわね」


 ヒナタとフェルは元気良く即答してくれたが、アキは見るからに嫌がっている。その理由が"苦手なやつ()の気配がする"というのには、ちょっとだけ笑ってしまったが……アキ本人にとっては、決して笑い事じゃないんだろうな。

 なにせ、同族のアルラウネは火属性攻撃で3倍ダメージを食らうほど火に弱い。それがアキも同じであれば、炎の気配がする方に行きたくないのは当然だろう。


 ……そのわりに、アルラウネがたくさん集まってたけどな。城内はダメでも、城外なら許容範囲内ってことだろうか? そうすると……。


「ガーゴイルが城内のあちこちにたくさんいるのか、それとももっと強い炎系モンスターがいるのか……アキ、どっちか分かるか?」

「ぱぁ。ぱぁぱぁ、ぱぁぱぁぱぁぁ」

「『両方だよ。ガーゴイルよりもっと強い炎の気配もするけど、距離が遠いからまだ我慢できる』って言ってるわ」

「なるほどな……」


 ガーゴイルより強い炎系モンスター、か。何体か候補は思い浮かぶんだが、どれもしっくりこないな。


「未知なる敵、と考えた方が良さそうか……」


 どんなモンスターが出てくるのか、予測が付かないのはちょっと怖いが……いずれにせよ、正面の廊下を進んでも大した物が得られるとは思えない。アキには本当に申し訳ないが、俺たちが進むなら上しかない。

 ただ、嫌がるアキを無理に連れていくのもよろしくない。


「そうだな……もし、アキがどうしても無理だというのであれば、一旦試練の間を出よう。アキを安全な場所に預けてから、改めてここまで戻ってきて……」

「ぱぁぁっ!? ぱぁっ!」

「『待ってるのはもっとヤダ! なら頑張って付いていく!』って」


 朱音さんの右肩に乗りながら、アキがそう言った。


「……そうか。それならなおのこと、慎重に進んでいこうか」


 いずれにせよ、試練の間では何が起こるか分からない。皆の命を完璧に守るつもりで、慎重に慎重を重ねて動くとしよう。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
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