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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第4章:そして始まる、現代ダンジョン探索元年

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4−79:広き湖のほとりにて


「"アイテムボックス・収納"っと。こうなると、さすがのグリズリーベアも形無しだな……」


 グリズリーベアが残したドロップアイテムを集めながら、そっと呟く。初撃こそグリズリーベアに取られたものの、その後はほぼ何もさせないまま勝利を収めることができた。

 それも、総勢13人という大規模パーティが為せる数の暴力というやつだろう。ヒナタにフェルに菅沼さんに九十九さんと、間断無く苦手な火属性攻撃を浴びせられ続けては、さしものグリズリーベアもひとたまりもなかったようだ。途中で嘉納さんのクリティカルヒットも入ったものだから、なおさら一方的な展開になった。


 ……そして当然、俺たちはグリズリーベアとの戦いにばかりかまけていたわけではない。


「ステルスネークもフォレストスパイダーも、他のモンスターも乱入してくる気配はなさそうだったな。なあ、三条さん、ハートリーさん?」

「はい。私もずっと周囲の気配を探っていましたが、モンスターの気配はありませんでした。

 ……コチもそうですよね?」

「ひゅいっ!」

「ワタシも、特に見当たらなかったヨ。シズクも手伝ってくれタシ」

「ざぶぅっ!」


 三条さんとハートリーさんはグリズリーベアへの攻撃には参加しなかったが、代わりに周囲の索敵を念入りに行ってくれた。グリズリーベアとの戦いにばかり集中して、潜んでいた他のモンスターから不意討ちを食らうのが一番危険だからだ。

 俺も含めて5人で索敵して、他のモンスターが見当たらなかったのならほぼ間違い無いだろう。朱音さんと帯刀さんも周囲を警戒してくれていたので、他の人がグリズリーベアとの戦いに集中することができた。

 ……というか、いつの間にコチとシズクは索敵能力を得たんだろうか?


 こう考えると、索敵能力が足りないと判断して第18層以降の探索をすっぱりと諦めらめられた菅沼さんは、優れた決断力と判断力を持っていると言える。普通は『せっかく時間をかけてここまで来たのだから、行けるところまで行ってみよう。大丈夫、ここまでなんとかなったんだから』みたいな、正常性バイアスやらコンコルド効果みたいなものが心理的に働いてくるものだが……それを振り払えるのは、並大抵のことじゃない。

 古今東西、引き際を誤って絶体絶命の危機に陥った人の事例は枚挙にいとまが無いのだから……。


「……嘉納さん、菅沼さん、先に進めそうか? 俺はいけそうだと思ってるんだが……」


 しかし、今の状況なら先に進んでも大丈夫そうだ。俺が見た感じでは、グリズリーベアと戦っても十分な安全マージンがあった。グリズリーベアよりも強い通常モンスターは居ないと思うので、第18層に下りてすぐ試金石がてら戦えたのは僥倖だったな。


「俺はいけると思うぞ。遥花はどうだ?」

「私もいけると思う。恩田さんたちに索敵は全てお任せしてしまってるから、あまり偉そうなことは言えないんだけど……」

「まあ、そこは適材適所ということで」


 俺では、嘉納さんや菅沼さんほどの攻撃力は出せないからなぁ。むしろ火力不足は否めず、工夫と弱点攻めと付与魔法ブーストでどうにかごまかしているような状態なのだ。

 加えて、俺は接近戦も得意ではない。一応【杖術】のスキルで近接戦闘はできなくもないが、運動神経人並み以下の俺ではモンスターの動きに追いすがることができない。その場で防壁を張ったり、魔法で狙いを定めるのはそれなりに得意なんだけどな。


「引き続き火力担当は2人と九十九さんにお任せして、俺はサポートをメインにするよ。その方が良さそうだしな」


 俺がグリズリーベアを倒そうと思ったら、地道に攻撃を重ねていくしかないのでどうしても時間がかかる。そして人間は永遠に集中し続けることなどできないのだから、長期戦になればなるほどミスする確率は上がっていくし、他のモンスターに乱入される確率も上がっていく。

 攻撃は最大の防御、というのはそういうことだ。消耗を抑えつつ安全に戦うには、結局のところタフなモンスターを短時間で屠るだけの火力が必要だというわけだ。それは俺には無く、持っている人がいるのだから任せてしまえばいい。

 完璧で無敵な探索者など居ないのだから、チームでカバーし合いながら進んでいく必要があるわけだ。


「よし、そろそろ行こうか」

「「「「了解」」」」


 今のところ、俺たちはいい感じにまとまっている。このまま第20層までたどり着いてしまいたいものだ。



 ◇



 ……とまあ、グリズリーベアの襲撃に3回ほど対応しつつ、俺たちは第18層を抜けて第19層へとたどり着いた。グリズリーベアは確かに手強いが、火属性攻撃に弱いというのがかのモンスターにとっては最大の不幸だったのだろう。


「"フレイムセイバー"なのですっ!」

――ザシュッ!!

――ゴォォォッッ!!

「ギャォォォッ!?!?」


 なにせ、九十九さんの火属性攻撃魔法が刺さる刺さる。ちょっとよそ見させてから顔に撃ち込めば、グリズリーベアでさえ簡単に戦闘不能へと追い込める。力を発揮できる状況は限定されるが、第18層では九十九さんの独壇場と言える状況が続いた。

 そうして、第19層の道も大体中ほどまで進んできた。このまま、何事も無く最後まで行けるかと思ったのだが……どうやら、そうは問屋が卸さないらしい。


「……なんだ、これは?」

「湖、かしらね?」


 生い茂る藪と木々で見通しが悪かったのが、急に視界が開けていく。

 ……そこにあったのは、かなり大きな湖だった。"東京ドーム◯個分の面積"あるいは"東京ドーム◯杯分の体積"という表現で表せそうなくらいの規模の湖が広がり、綺麗で透明な水を湛えている。もちろん、ダンジョンの水なので飲用とすることはできないだろう。


 その湖畔に、平らに(なら)された道がずっと続いており……うん、これで"ああ、この道は歩きやすそうでいいな。風光明媚で目の保養にもなる"などと思えるほど、俺は楽観的にはなれない。


「絶対なんかいるネ〜、というより湖の中からモンスターの気配を感じるヨ〜」

「ハートリーさん、どんなモンスターだ?」

「結構大きいネ、しかもたくさんいるヨ〜。湖の底で全然動いてないケド」

「ざぶぅっ!」

「シズクも同じこと言ってるヨ〜」


 【アクアランサー】のハートリーさんと水妖精のシズクが、そんな情報をもたらしてくれた。地上での索敵は三条さんや俺に一歩譲るが、水が絡む時はハートリーさんの方が遥かに優秀なレーダーと化すわけだ。


 ……水中型モンスターと言えば、真っ先にサハギンの姿が思い浮かぶ。だが第19層にもなってそんな弱いモンスターが出てくるわけがないし、出てくるにしてもサハギンの特殊モンスターとセットで、相当な数が同時に出現してくるだろう。ハートリーさんの情報とはイマイチ合致しない。

 体がかなり大きくて、水の中に居そうで、かつグリズリーベアと同じくらいの強さを持つモンスターと言われると……俺には正直、1体しか思い付かないな。


「恩田さん、やっぱり湖になんかいるのか?」

「サハギンじゃないなら、どんなモンスターなんだろう? 恩田さんは分かる?」

「心当たりはあるな。おそらく……」

「ミスター・オンダ! 大きなモンスターが1体動き出したヨ! こっちに来てル!」

「分かった!」


 ハートリーさんから警告が飛ぶ。水中モンスターはどうやら俺たちの存在に勘付いたようで、真っ直ぐ水中をこちらへと向かってきているようだ。

 ……やがて、水中から1体のモンスターが姿を現す。


――ザブゥゥゥンッ!

「ギィアアアッ!」

――ドスンッ! ドスンッ!


 グリズリーベアに負けないほどの巨体に、頑丈そうな甲羅。4本の脚で地上に立ち、ドスンドスンと踏み鳴らしている。

 試練の間で、グリズリーベアと共に出現した強敵の亀――ヘビータートルが、水中より現れた。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
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