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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第4章:そして始まる、現代ダンジョン探索元年

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4−70:【空間魔法】の防御魔法


 あれから1時間ほど、適当に第2層・第3層を見て回った。ただ、それだけだと撮れ高が全く足りないので、"一流探索者の華麗なる技紹介コーナー"と題して祭さんに司会をしてもらい、皆にカメラの前でモンスターと戦ってもらったりした。

 ここで映えたのが、意外でもなんでもないが三条さんだった。もともとの三条さんの可憐な容姿に、華麗な剣捌きが加わって視聴者さんが感嘆の息を漏らしてしまうほど2美しかった。

 そして岩守総理も、最初こそホーンラビットやブラックバット、ゴブリンを見て興奮を隠せない様子だったが……何度も遭遇すればさすがに落ち着いたようだ。俺もその気持ちは分かるよ、最初は何もかもが物珍しいんだけど、だんだんとダンジョンの恐ろしさが分かってきて冷静になるんだよな。


 そうして、岩守総理がモンスターに慣れてきた頃を見計らって本題の第4層手前までやってきた。


「さて、第3層もここで終わりです。この階段を下りれば、魔の第4層ですね」

「おお、遂に到着か」


 階段の下を興味深そうに覗き込みながらも、岩守総理の表情は真剣そのものだ。

 ……まあ、それも無理は無い。誰もが情報を伝えたいのに、誰も情報を伝えられない危険な階層……第4層はそんな階層だということを、岩守総理も薄々感じておられるのだろう。だからなのか、岩守総理の探索者としての成長速度は凄まじいものだった。

 ブルースライムを倒した"空間転移"に加えて"亜空断裂"と"虚空圧潰"という攻撃魔法を岩守総理は編み出したが、そのどれもが異様に長い射程距離を誇っていた。加えて岩守総理は細かく狙いをつけるのが得意なようで、発動までに時間はかかるものの遠くのモンスターにも正確に魔法を当てていた。不規則に飛ぶブラックバットにさえ初見で命中させてみせたのだから、その命中精度は本物だろう。それらの特長を活かしたスナイパースタイルが岩守総理には合っていて、本人もそれを自覚しつつ動いていたように俺には見えた。

 ただ、各攻撃魔法の威力がどれほどのものかは現時点で不明だ。ここまで相手にしたのはブルースライム・ホーンラビット・ブラックバット・ゴブリンの4種類だけで、こいつらは揃って耐久力が低い。ス◯イムにメ◯ゾーマを撃っても効果のほどがイマイチ実感できないのと同様に、ラッシュビートルやゴブリンジェネラルのようなタフな相手でないと魔法の威力の判断が付かないのだ。

 ついでに、各攻撃魔法は魔力消費量が相当多いらしい。今の岩守総理で言えば3回使うと攻撃魔法が撃てなくなり、30分ほど経ってからようやく追加で1回撃てるくらいだ。攻撃魔法の燃費がかなり悪く、練習するにしても回数が非常に限られている。その辺は俺と全く同じ状況だ。

 そんな中でも相応の結果を出す辺り、さすがは海千山千の政治家とでもいうべきだろうか。


 ちなみに、俺が使っているアイテムボックス系魔法やマッピング系魔法、あとはワープ系魔法も岩守総理には教えておいた。ワープは魔力が足りなくて使えなかったが、マッピングとアイテムボックスについてはすぐに使えるようになっていた。


『すげぇ、【空間魔法】ってマジでオールラウンドなんだな。攻撃よし、支援よしってスキルとして優秀すぎるだろ』

「まあ、実用的な攻撃魔法は私には使えませんよ。それは岩守総理の専売特許ですから」

『ロマン砲でもなんでも、強力な攻撃を撃てるってのがデカいんだよな。ってか、使い方によっては守ってよしにもなるんじゃね?』


 守ってよし、か……。


「私もそう思って試しましたけど、消費魔力量が多くてわりに合いませんでした」

『ということは、もう魔法は完成してるんだな?』

「ええ、まあそうですね」


 ワームホール的な感じで敵の遠距離攻撃をお返ししたり、空間を固定して防壁を作り出したり……そんなイメージで試したところ、防御魔法の発動にはちゃんと成功した。消費魔力量が多いというのも、今の俺なら連続50回以上は使えるので、攻撃魔法と違ってそこまで多いわけではない。なら、どうしてわりに合わないのか。

 ……結局、この盾が高性能すぎるんだよな。遠距離攻撃を跳ね返すのも、単に防ぐのも、この盾で防壁を出してしまえば低燃費で実現できてしまう。発動までのタイムラグもほとんど無いので、余計に盾の方に軍配が上がってしまうのだ。

 まさか、【空間魔法】をも上回る有用さを示してしまうとは。試製マジックシールドだったっけか、一体どれくらいの性能を持った装備……あ。


 そうか、俺もう【鑑定】スキルを持ってるんだから、それで試製マジックシールドを調べてしまえばいいのか。なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだろう……ダンジョン探索を終えて部屋でくつろぐタイミングでは、装備品が手元に無いからか? だからピンと来なかったのかもしれない。

 よし、思い立ったが吉日と言うし、今日早速全装備を持って帰って【鑑定】で調べてみよう。あれだけ魔力消費量がどうとか悩んでた【鑑定】が定量消費型のスキルで、実は俺にとって大した消費量じゃない (魔力全快なら、休憩を挟まず連続で10回は使える)ことがポーションやらの【鑑定】をした時に判明してるからな。


「………」


 そういえば、岩守総理に防御魔法を教えてなかったな。むしろ総理にとって一番必要なやつな気もするが、見た目が地味なので後回しにしていたのだ。


「そうだ、岩守総理には私が編み出した守備魔法の使い方をお教えしておきますね。攻撃魔法よりは遥かに少ない消費で使えるはずです」

「おお、ぜひ聞かせてもらえるかな?」

「えっと、空間の状態を固定して防壁の代わりにする魔法と、片方の穴から吸い込んだ攻撃をもう片方の穴から吐き出す魔法になります」


 空間固定型とワームホール型の魔法のイメージを、岩守総理にそっと伝える。


「なるほど、分かった」


 すると、岩守総理はすぐに目を閉じて集中し始め……おもむろに、右手を前にかざした。


「……ここはシンプルな名前でいこうかね。"インビジブルウォール"」

――ギュゥン……


 不思議な音が辺りに響く。魔法名からして、岩守総理の前に透明な壁ができたのだと思われるが……うん、全く視認できないな。そこは俺と同じだ。


「どんな壁をお作りになられたので?」

「おおよそ2メートル四方の壁を作り出すイメージで魔法を行使した。この形なら魔力消費はかなり少なくて済むようでな。私のイメージ力さえ追い付けば、もっと複雑な形の防壁を作り出すこともできるようだが……その場合、魔力消費量は跳ね上がるだろうな」

「壁は動かすことができるのですか?」

「む、やってみよう。"ムーブ"」


 右手を前にかざしながら、岩守総理がゆっくりと歩き始める。透明な壁があるはずだが、特につっかえているような様子は無い。岩守総理と一緒に、透明な壁も動いているようだ。


「……うむ、いけるようだ。魔力消費量も非常に少ない」

「それは重畳です」


 第4層をより安全に通り抜けるのであれば防御魔法は必須だからね。習得が無理なら俺の盾で守りつつ抜けるつもりだったけど、この分だと必要無さそうだ。


「さあ、第4層に行く……とその前に、ちょっと待ってください」

「「「「……?」」」」


 ……そうだよな、俺の第4層攻略法を知らない人が多いからな。首を傾げるのも無理は無いだろう。


「ここは私が先行します。皆さんは、合図があれば下まで下りてきてください。

 ……三条さん、ハートリーさん、ちょっと手伝ってくれるか?」

「はい、了解です」


 先にモンスターを全滅させてしまえば、魔の第4層といえど危険度は大幅に下がる。SPの人たちに啖呵を切った以上、きっちり成果は上げないとな。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
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