2−14:良いアイデア、閃いた!
いつも本小説をお読み頂きまして、ありがとうございます。
作者より、読者の皆様にお知らせいたします。
作者の資格試験日が迫っておりますため、1月20日以降の投稿が遅れる可能性があります。
1月17日(水)投稿予定分までの2話は予約済ですが、その後の投稿が遅れる可能性がありますことを、先にお詫び申し上げます。
遅れる場合は、活動報告並びに17日投稿予定話の前書きにて追記させて頂きますので、どうかご了承ください。
また、1月9日をもちまして、5000名を超える方に本小説をブックマークして頂きました。皆様、本当にありがとうございます。
今後とも、本小説をよろしくお願いいたします。
---ピピピッ、ピピピッ、ピピピッ!
「ん、ちょうど時間か」
第1層まで戻ってきたところで、午後3時を知らせるアラームがスマホから鳴り響く。最短距離でここまで撤退してきたが、それでも第3層でゴブリン10体、ブラックバット8体、ホーンラビット3体、第2層ではブラックバット10体、ホーンラビット4体との戦闘になった。もちろん全て無傷で倒し、魔石の他に武器珠が1つ、防具珠が1つ、装飾珠が1つドロップしている。
第4層のあの大群と戦った後だと、散発的に出てくるモンスターとの戦闘が生温く感じてしまう。なるべく油断しないように気を付けてはいるのだが、どうにも気が抜けてしまうのだ。
……まあ、無駄に肩肘張らなくなったと捉えればプラスとも言えるか。ともかく、ここが危険な場所だという認識だけは常に持っておかなければ。
魔力残量は、なんだかんだで3割ほど。余裕を持って今日の探索を終えられそうだ。
「……ではこ……んで、みな…んさ……ら」
「……ん?」
ゲートに向けて歩いていると、何やらゲート前広場の方から声がする。他の探索者だろうか?
そっと広場を覗いてみると、茶髪の男二人組がいる。背が低い方はカメラのようなものをもう一人に向けて構え、背の高い方がカメラに向けて手を振っているようだ。
「……もしかして、動画配信者か?」
その姿にピンときた。おそらく彼らは、ダンジョン探索の様子を動画にして配信しているのだろう。
今は個人がチャンネルを持ち、誰もが気軽に動画を配信できる時代だ。競争相手が多くなり、レッドオーシャンとなった界隈では常に新しい何かを皆が求めている。配信者も、視聴者も。
そういう意味で、日本では一般開放されて3ヶ月も経っていないダンジョンは、両者の目にはさぞ魅力的に映るのだろう。そのうち、彼らのような配信者はダンチューバーとか呼ばれるようになるのかもしれない。
「ん? そう言えば、普通はダンジョン内って電波届かないよな?」
だからこそ、録画したものを編集して配信しているのだろう。電波が届かず、生放送が実現不可能なのだから仕方な……あれ、ちょっと待てよ?
「……!!」
それ、【資格マスター】で解決できるんじゃないか?
☆
資格名:第二級陸上特殊無線技士
効果:頭頂を中心とした半径5メートル以内にある無線機について、ダンジョン第15層まで電波が届くようになる
☆
今の状態ではさすがに無理だが、資格を取得した後は魔力の消耗度合いは確実に減る。一考の余地はあるのではないだろうか。
動画配信の経験は皆無だが、腹案として持っておこう。
「………」
名も知らぬ動画配信者の2人には、心からの感謝を申し上げておく。どうもありがとう。
ゲートから退出していく2人を見届けた後、広場を通って脇道に入る。さすがに他の探索者を見たあとで、堂々と広場で荷物整理する度胸は俺には無かった。
……最初からこうするべきだったかもな。反省せねば。
「"アイテムボックス・一覧"」
☆
・ブルースライムの魔石×1
・ホーンラビットの魔石×59
・ブラックバットの魔石×99
・ゴブリンの魔石×124
・ラッキーバタフライの魔石×2
・装備珠(赤・ランク1)×9
・装備珠(赤・ランク2)×2
・装備珠(青・ランク1)×8
・装備珠(青・ランク2)×3
・装備珠(黄・ランク1)×7
・装備珠(黄・ランク2)×1
・ホーンラビットの角×6
(以下略)
☆
「……見間違いじゃなかったか」
大変気になる物が1つあるが、売却額が不明なので後回しにしておく。
今日1日、ずっと探し求めていた武器珠ランク2と装飾珠ランク2。それが出たのは普通に嬉しい。武器珠ランク2はまた明日1つ使い、武器珠ランク2と装飾珠ランク2は朱音さんのために取っておこう。
あとは、武器珠ランク1が2個、防具珠ランク2が2個を予備として取っておいて、残りは全て売却しよう。ランク1の装備珠が1個1000円、ランク2は3000円で売れるので、ランク1が22個とランク2が1個で、これだけで売却額は2万5000円になる。
魔石は……数が多すぎて暗算ムリだなこれ。えっと、電卓、電卓っと。
ブルースライム、10円。ホーンラビット、5900円。ブラックバット、9900円。ゴブリン、1万4880円。装備珠の売却額と合わせて、合計は……。
「ご、5万5690円……」
……嘘やろ、昨日の12倍を超えたぞ。
今日は第4層まで行けたが、あの危険に見合うだけのリターンはあるってことか。2度と戦いたくはないのだが……まあ、そうもいかないよな。
さて、最後はこれか。
「ホーンラビットの角……」
ホーンラビットの角とはなんぞや?
……いやまあ、文字通り"ホーンラビットの角"以外の何物でもないんだろうけど、俺が言いたいのはそういうことではなく。なぜ急に、これだけの数の角がドロップしたのかが分からないのだ。
これまで俺が見てきたドロップパターンは、"確定"・"確率"・"メモリアル"の3種類になる。だが、角のドロップパターンはそのどれとも違う気がするのだ。
ドロップに何かしらの条件がある、ということだろうか? 特定の条件を満たしていればドロップする……いわゆる"特殊"とでも言うべきドロップパターンがあるのかもしれない。
……やっぱり、角を失ったホーンラビットを倒すと手に入るのかなあ。角を折った記憶は無いが、あの時は必死だったので細かい記憶があやふやだ。もしかしたら、何かしらの攻撃で角を折ったのかもしれない。
まあ、それは明日ホーンラビットと遭遇した時にでも試してみるか。
それで、角を換金に出すかどうかだが。魔石や装備珠と違い、ホーンラビットの角はパンフレットに値段が書かれていなかった。少なくとも初心者向けの内容ではないということだ。
であれば、それなりのお値段となることが予想される。まずは1本出してみて、様子を見てみるか。
「"アイテムボックス・取d"……ん?」
視界の端にブルースライムの姿が映る。それを見て無性に気になった。
特殊ドロップ……もしかして、ブルースライムにも?
「………」
ふと、ブルースライムの体内に浮かぶ丸い物体に目が留まる。ブルースライムの核とでもいうべきか、それが強酸性の体に守られるようにブルースライムの中心で浮いている。
「……おりゃっ」
スタスタと近付き、意を決してブルースライムに左手を突っ込む。
「いだっ!? いだだだだだ!?」
ジュウジュウという音と共に凄まじい痛みが手に走るが、構わず奥に進める。
そして、核をしっかりと掴んだ。そこでさすがに限界が来たので、核ごと勢い良く手を引っこ抜く。
「っっっつぁ〜〜、ヒ、"ヒール"」
焼け爛れた手にヒールをかけつつ、ブルースライムを見る。核を奪われたブルースライムは、苦しそうに体をグネグネさせた後……地面へ溶けるようにして消えていった。
後には、魔石と手の中の核が残った。これで売却額は5万5700円になった。
「………」
しばらく左手にヒールをかけ続けていたが、治療が終わったようなので魔法を止める。
自分で治した左手を開いて、閉じて……突っ張るような感じも無いし、もう大丈夫そうだ。ついでに、ブルースライムの核自体が酸性を帯びているわけではないらしく、持っていても手は痛くならないようだ。
ただ、左手をヒールで治すのに1割くらい魔力を消費した。昨日使った時に比べて5倍近く魔力を使ったが、ダメージの大きさに比例して魔力消費量も増えるらしい。
【資格マスター】の消耗度合い軽減効果をもってしてもこの魔力消費量……即効で怪我を治すのには、それなり以上の対価が必要ってことなんだな。しっかりと肝に銘じておこう。
それにしても、なんとなく思い付きでやってみたが……やはりブルースライムにも、特殊ドロップ的なものがあったのか。こうなるとブラックバットやゴブリンにも……?
「……"アイテムボックス・収納"」
とりあえず、ブルースライムの核は売りには出さない。何か面白い使い道があるかもしれないので、今はアイテムボックスの中に収めておく。ついでに整頓のため、ブルースライムの魔石も一旦アイテムボックスに収めた。
「"アイテムボックス・取出"」
そうして、改めて売却品を取り出す。収納と同じく一度に取り出せる個数に上限があるようで、ピッタリ50個だけリュックの中に出てきた。
「……むっ」
リュックが少し重くなった。残りの個数的に……多分、あと5回くらいは唱えないといけないか。
「……まあ、なかなかの重さだな」
全ての売却品をアイテムボックスから取り出した頃には、リュックの重みはかなりのものになっていた。どれくらいだろう、20キロくらいだろうか? もう少し重いかもしれない。
その割にあまりキツくないのは、モンスターと戦って成長したおかげだろうか。あるいは、運動不足が解消されて筋肉が付いてきたってことか。
……後者は無いな、うん。たかが3日で筋肉が付くなら、探索者は今頃みんなムキムキだろう。ここはダンジョンの恩恵ということにしておくべきだな。
さて、ゲートをくぐって退ダンだ。今日は換金所のおっちゃん、驚くだろうなぁ。
いつこの設定を出そうか悩みつつ、早めにここで"特殊ドロップ"を出しました。
特殊ドロップとは、モンスターを特定の状態で倒した時にのみドロップするアイテムです。例えば、今回のホーンラビットの角は"角が切り離された状態でホーンラビットを倒す"と入手できます。折っても切ってもオッケーで、とにかく角がホーンラビット本体から完全に分離していれば、確定でドロップします。ブルースライムはお読みの通りですね。
本小説は基本的に恩田視点なので描写はしていません(つまり、本人はその場面を見ていません)が、ルビーレーザーで偶然にも角だけを切り飛ばされたホーンラビットからドロップしています。高低差のある場所で乱戦となったがゆえの、偶然の産物というわけですね。
ちなみに、特殊ドロップは全モンスターに設定されています。ブルースライムにも、ブラックバットにも、ゴブリンにも……もちろん、ラッキーバタフライにも。今後出てくるモンスターにも、必ず1つは設定する予定です。
◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇
なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。
読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。
皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。
☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。




