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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第2章:朱き飃風は母を想いて舞い踊る
19/202

2−12:一気に抜けろ、第3層!


 読者の皆様、明けましておめでとうございます。


 ……そして日本海沿岸、特に北陸地方にお住まいの皆様はご無事でしょうか。

 2024年元日という日に発生した、最大震度7のあまりにも大きな地震。大津波警報が出され、幾度となく余震も続き、不安で眠れない夜を過ごされていることと存じます。

 私自身、被災した方々のために何かできないかと考えては、土地勘のない私が勝手に行っては邪魔にしかならないと二の足を踏み……結局、僅かばかりの募金という形で支援させて頂くこととしました。

 こんな情けない作者ではございますが、自身にできる形での支援は継続していこうと考えております。


 寒い日が続きますが、皆様どうかご自愛ください。



「……ふう」


 湯沸かしから片付けまでを15分ほどでこなし、階段にゆったりと座り込む。カップ麺のゴミは、ちょうど第2層の方にブルースライムが来ていたので溶解処理してもらった。

 そこら辺に捨てても、そのうちブルースライムが処理してくれたとは思うが……まあ、そこは良心の呵責というやつだ。結局はダンジョンにゴミを捨てているわけで、行動の差にあまり意味は無いのだけどな。


 閑話休題。


 それで今更だが、午前中の探索を思い返して気付いたことがある。

 これだけ魔法攻撃を使っているのに、魔力量が増えた感覚が一切無いのだ。サ◯シリーズのような成長方式であれば、戦闘終了の度に能力アップの判定が行われるはずなのだが……。

 もしかして、能力アップするタイミングが違うとか? 例えば睡眠中とか、真夜中の午前0時を回ったタイミングで、とか……。


「……さすがにダンジョンでは寝れないな」


 検証できるならしてみたいところだが、ダンジョンで昼寝などいくらなんでも怖すぎる。ダンジョン外に出てからか、せめて朱音さんがいる時でないとさすがに無理だ。その件はとりあえず保留としておく。


 さて、本格的に休憩……に入る前に、午後からの探索プランを整理しておこう。

 まず、第4層への階段を見つける。最初は努力目標のつもりだったが、午前2回目のアタックでだいぶ奥まで探索することができた。あれぐらいのモンスター密度なら、かなり余裕をもって大部屋まで突破できるだろう。モンスター数が5割増しになってもなお余裕がありそうだ。

 ビューマッピングの消費魔力量の多さがネックだが、同じ箇所に2度使う必要は無い。午後の探索で階段まで見つけられれば◎、そうでなくとも明日の朱音さんとの探索で見つけられるだろう。第4層に降りるかどうかの判断は、階段を見つけてから考えることにする。

 次に、今度こそ武器珠ランク2を手に入れる。物欲センサーとやらが邪魔をするなら、それが破綻するくらいにモンスターを倒しまくる。出る出ないはどうせ確率論でしかないので、いつかは出てくれることだろう。狙い目はやはりゴブリンだろうか。

 あとは……まあ、宝箱が出てくれたらいいな。この初心者用パンフレットによれば木製の宝箱は"それなり"の頻度で出るらしいが、その()()()()が具体的にどれぐらいなのかまでは書いていなかった。1日に2〜3個見つけられる頻度なのか、あるいは1日1個しか同階層には出ないのか。午後からの探索で、少しでも検証を進めたいところだ。


 で、手元の腕時計で今は12時27分。魔力回復の休憩を挟めば、おそらく午後1時過ぎから探索再開になるだろう。

 この時計が午後3時になったら、どれだけ探索が順調でも撤収を開始する。これだけは絶対に守ることにする。

 ……今日は初の1日探索だからな。閉場時間ギリギリを攻めたりはしないで、少し早めに上がるとしよう。



 ☆



「……よし、魔力満タンになったな」


 スマホを見ると、今の時刻は午後1時3分。ほぼ想定通りの時間だ。


「"オートセンシング・クアッド"……っと、忘れないうちにアラームもセットしておくか」


 魔力回復のために切っていたオートセンシングを、再度使用する。あと、スマホで午後3時にアラームをセットした。これが鳴った瞬間に俺の今日の探索は終了となる。

 さて、第3層の攻略に赴くとしようか。




 階段前の通路と、角を1つ曲がった先の短い通路にモンスターはいなかったが……長い直線通路をそっと覗くと、そこそこモンスターが湧き直していた。


「……4組、14体か」


 近くから順にゴブリン4体、ブラックバット4体、ゴブリン4体、ホーンラビット2体の編成。そして全組が通路のやや丁字路側に寄っており、ライトショットガンの有効射程内にいる組は1組もいなさそうだ。

 これならこれで、割り切って戦えるな。


「"ダークネス"」


 先ほどと同じように、まずは直線通路に黒い霧を流し込む。あっという間に通路が暗闇へと包まれた。


「「「「ギャギャ!?」」」」

「「ギイィ!?」」


 これで、ゴブリンとホーンラビットをほぼ無力化した。次は……。


「「「キイィッ!」」」


 こちらに向かってくるブラックバットの集団を、光の散弾で撃ち落とす。まだ距離があるな、しっかりと引き付けて……よし、今だ。


「"ライトショットガン・ダブル"」

「「「「キイィッ!?」」」」


 暗闇から飛び出てくる直前で、ブラックバットを光の散弾が撃ち抜く。4体の反応がオートセンシングから消え、ドロップアイテムに変化したようだ。

 ブラックバットの悲鳴に恐怖したのか、他のモンスターの動きがピタリと止まる。こうなればもう、あとは単なる作業だ。


「"ライトバレット・スナイプ"、"ライトバレット・スナイプ"、"ライトバレット・スナイプ"---」

「ギャッ!?」

「ギィッ!?」

「ガァッ!?」


 ゴブリンとホーンラビットを、1体ずつ確実に撃ち倒していく。普段は動き回る敵ばかり相手にしているだけに、動かない敵を撃つのは本当に楽だった。

 結局、1分ほどでモンスターは全滅。ダークネスの効果が切れる前に、倒すべきモンスターがいなくなってしまった。


「"アイテムボックス・収納"」


 未だ直線通路を広く覆う暗闇の中に入り込み、アイテムボックスにドロップ品を収納する。倒したモンスター数よりドロップアイテムの数の方が多かったので、装備珠をいくつか落としたのは間違いない。

 気にはなるが、ここはまがりなりにも危険地帯だ。確認したい気持ちをグッと堪えて、ここは先に進むことにする。


 暗闇を抜けて丁字路のところまで辿り着き、そっと両方向を確認する。左の行き止まりに宝箱はもう無く、右の道にモンスターの影は見当たらない。

 しかし、さっきの背後リポップの事もある。オートセンシングの反応に気を付けつつ、慎重に進むとしよう。


 再度、大部屋へと辿り着く。途中の通路ではブラックバット3体、ホーンラビット2体、ゴブリン3体の順で戦い、どれも気付かれる前に不意打ちで仕留めている。卑怯と思うなかれ、モンスターとの戦いにルールなど存在しないのだから。

 大部屋の入り口から見渡すと……いるわいるわゴブリンどもが。ざっと3体ほど、岩陰からこちらをチラチラと覗く姿が見える。さっきよりは明らかに少ないが、確かにいるな。

 ならば、やることはさっきとほぼ一緒だ。ただし、さっきは無駄な魔力を使ってしまったので、今回は少しだけスマートにいこう。

 ビューマッピングで岩の位置を全て把握したからこそできる、無差別ではない落雷攻撃。


「"ライトニング・ボルト"」


 21箇所の岩陰全てに狙いを定め、21発の雷撃を落とすべく魔法を唱える。ライトニング・ボルテクスと比べて、半分以下の魔力消費でそれは発動した。


「「ギァッ!?」」

「「ガフッ!?」」

「「グギャッ!?」」


 雷が岩陰を次々と打ち、時折悲鳴が上がる。

 ……途中の雷で6つ目の悲鳴が上がって以降、落雷の音しか聞こえなくなった。どうやら隠れていたゴブリンは6体だったようだ。

 悲鳴が聞こえた岩陰を回り、ドロップアイテムを回収する。魔石6つと武器珠1つがドロップしたので、とりあえずリュックに放り込んだ。


「……さて、今度こそ先に進もう」


 魔力残量はほぼ9割、十分に安全圏内だ。大部屋を抜けて先に進むとしよう。


「忘れずに"ビューマッピング"っと……よし、行くか」


 死角が多いせいでまだ僅かに大部屋の地図が埋まっていないが、気にしていても仕方ないので先に進む。


 次の通路は、緩やかに左へカーブしていた。オートセンシングと目視で警戒しながら、ゆっくりと進む。

 ……が、1分も歩かないうちに小部屋へと辿り着く。その小部屋のど真ん中に、午後の探索で第一目標としていた対象があった。


「あったな、下り階段」


 第4層に繋がる下り階段を見つけた。これで、結果的にさっきの撤退はかなりもったいないものとなったわけだが……まあ、命懸けの探索だからな。特に今日はソロ探索なので、不測の事態に備えて万全を期した判断に後悔は無い。

 まあ、それはともかく。直線通路と大部屋という危険地帯を挟み、第3層は踏破難易度が大きく上がっていたが……ギフトの応用とオートセンシングの力で、どうにか突破することができた。

 となると、第4層の探索を今日するかどうかの判断をしなければならないが……。


「"ビューマッピング"っと……よし、ここの階段が安全地帯なら第4層も探索してみよう」


 第2層〜第3層の間の階段は安全地帯だったが、ここもそうとは限らない。それを確かめたうえで、進むかどうか決めるとしよう。

 階段に入り、中ほどで座りつつ上下を警戒する。オートセンシングにモンスターの反応は……あ、第3層の方に出たな、これはブラックバットか。俺の存在には気付いているようだが、やはり壁のようなものに阻まれているのか、一定の位置からこちらには近付いてこれないようだ。

 つまり、ここの階段も安全地帯と考えていい、ということだな。


「休憩は……少しだけしていくか」


 せっかくなので、魔力は満タンにしてから第4層に行きたい。ビューマッピングで割と消耗しているが、20分もあれば十分回復できるだろう。

 短時間の休憩なので、オートセンシングは付けたままにしておく。さて、第4層はどんなところだろうな……。


 あとがきの定型文ですが、今回に限っては無しとさせて頂きます。


 また、本話は更新日を1日早めさせて頂きましたが、次話は予定通り1月6日に更新予定です。


 重ねて、寒い日が続きますが皆様どうかご自愛ください。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
【気になる】 誤字報告ではないしそれでは十分伝わらないと思い仮①②を書き込みです。 探索中に敵を発見してタイミングを見計らい「行くぞ!」ってタイミングでアラームが鳴ると事故が起きるのでは? 〉魔力回復…
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