表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第2章:朱き飃風は母を想いて舞い踊る
18/202

2−11:探索者と冒険者……両者は似て非なる存在だと思う


 読者の皆様、2023年の大晦日はいかがお過ごしでしょうか?


 読者の皆様に応援して頂き、拙作"【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記"は日間ローファンタジー1位、週間ローファンタジー1位、月間ローファンタジー4位に輝くことができました。

 この場を借りまして、皆様にお礼申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。


 なお、年明けの初投稿は予定通り1月3日の水曜日を予定しております。2024年も、引き続きよろしくお願いいたします。


「……まさかコレ、噂の宝箱ってやつか?」


 予兆も前触れもなにも無く、唐突に宝箱を発見した。第3層以降にランダムに出るとパンフレットには書いてあったが、まさかこんなにも早く相まみえられるとは思わなかったな。

 ちなみに、宝箱は見た目で中身のランクが分かるらしい。木製、石製、鉄製、銀製、金製、ダイヤモンド製の順に見た目も中身も豪華になっていくが、銀製以上の宝箱にはトラップが仕掛けられていることもあるそうだ。また、宝箱は中身を取り出すと消えてしまうので、残った金やダイヤモンドを売り捌くことはできないそうだ。


 ……で、目の前の宝箱は木製なので、トラップが無い代わりに中身はそれなりということが見て分かる。浅い層なので当然と言えば当然なのだが、これが深い層に行くほど高ランクの宝箱が出やすいらしい。


「早速、開けてみるか」


 トラップが無いという前情報を信じ、宝箱を開けてみることにした。

 上蓋をゆっくりと持ち上げていく。木製だからか案外軽いな、さて中身は……。


「……紙?」


 宝箱の中には、A4サイズくらいの古ぼけた紙が入っていた。それをそっと取り出す……と同時に、木製の宝箱がフッと消える。まるで宝箱など最初から無かったかのように、あとには手元の紙だけが残った。

 その紙を見ると、平面地図らしきものが描かれている。その中に赤く×印が打たれているが、どことなく宝の地図っぽいな。


 宝の地図と思しき紙をクルクルと回しながら、脳内マップと比較してみる……が、既知の範囲内で地図と一致する場所は無さそうだ。第2層のまだ行っていない場所か、あるいはこの第3層以降のどこかか……もしかしたら、別のダンジョンという可能性もあるだろう。

 まあ、この宝の地図そのものに大きな価値は無い。すぐに役立つわけではないので、木製の宝箱から出てもおかしくはないだろう。とりあえず、アイテムボックスに入れておこうかな。


「"アイテ"……"ライトショットガン"!」


 オートセンシングの反応が、背後にいきなりモンスターが現れたことを示す。振り返りざま盾を構え、同時にライトショットガンを放った。


「キィッ!?」


 予想通り、3メートルほど先にブラックバット1体がいた。散弾で撃ち抜かれて魔石に変化したが、ほんの一瞬前までは影も形も無かったはず……ブラックバットの素早さを考えても、あり得ない場所にあり得ないタイミングでモンスターが現れた。


「……もしかして、モンスターがポップしたのか?」


 そうとしか考えられない。ダンジョンモンスターがどこから来ているのか、ずっと疑問だったのだが……思わぬところで知ることができたな。


「さて、気を取り直して……今度こそ"アイテムボックス・収納"」


 宝の地図と、ブラックバットの魔石を収納する。さっきの戦闘で大量のドロップアイテムを取得したので、ついでにアイテムボックスの中身を確認しておきたいところだが……それは安全な場所に着いてからにしよう。


「"ビューマッピング"っと。よし、先に進んでみよう」


 オートセンシングの範囲内にモンスターがいないことを確認し、もう1つの道へと入っていく。緩やかに左へカーブしていたので、適宜(てきぎ)ビューマッピングを使いながら10分ほど歩いた。


 道中でブラックバット3体組を2回、ゴブリン3体組を2回、ホーンラビット1体を1回、流れ弾でそこら辺をうろついていたブルースライムを1体倒したところで。

 ゲート前広場よりも、少しだけ広い部屋に辿り着いた。その部屋には地面から突き出た岩がいくつもあり、オートセンシングでも検知できない死角を作り出していた。

 その死角に隠れつつ、チラチラとこちらの様子を伺う何者かの影。人っぽいのでおそらくゴブリンだろう、それがパッと見で6体ほど居るが、見えていないだけで実際はもっといる可能性が高い。


「………」


 あの岩がダンジョンの壁と同じ材質のものなら、魔法を貫通させることはおそらくできない。ゆえに攻撃が直線的なライトバレットなんかでは、岩が邪魔でゴブリンを攻撃できないだろう。魔法の発射点を岩の向こうまで動かせばいけるが、魔力消費が多くなってしまうのでできれば避けたいところ。

 なんだかんだでビューマッピングを4回ほど使用し、魔力残量も6割くらいまで減っている。あまり無駄撃ちはしたくない。


 ……ならば、ここはライトニングしかないか。他のモンスターを呼び寄せてしまう可能性はあるが、この場面では致し方ないだろう。

 で、だ。どうせやるなら派手にいこう。全ての岩の死角……いや、部屋の全てを蹂躙するように攻撃を加えてしまえばいい。


「………」


 この大部屋に、無数の雷が落ちる様をイメージする……よし、少し溜めは必要だが発動できそうだ。

 右手を大きく上に掲げ、15秒ほど魔力集中を行い……そして、魔法名を唱える。


「"ライトニング・ボルテクス"!」


 某カードゲームの魔法カード名っぽくなったのは偶然だ。サンダーボルトから換算して2回目だが、偶然と言ったら偶然だ。


---ダァァァァァァン!!

---ドドドドドドドドドドドド!!

「「「「ギャアァァァ!?」」」」

「「「ガアァァァァァ!?」」」


 魔力を少々持っていかれたが、大量の雷撃が部屋中に向けてくまなく落ちていく。そこかしこで汚い悲鳴が上がり、魔石が岩陰から転がり出てきて……そのうち、雷撃音しか聞こえなくなった。




「……おっ、ようやく止んだか」


 5分ほど続いた雷撃が止む。岩陰からこちらを覗いていたゴブリンは見える範囲内では居なくなり、とても静かになった。

 ドロップアイテムを集めるのが面倒だが仕方ない。アイテムボックス・収納は"そこに物が確実にある"ということを俺が認識できていなければ収納対象に指定できないので、今のままだと必ずドロップする魔石しか拾うことができない。

 岩陰を丁寧に見て回るしかないか。




 岩陰を確認してアイテムをリュックに集めつつ、岩の数を勘定してみた。大部屋には全部で21個の岩があり、ドロップアイテムの散乱具合からそのうち12個の岩陰にゴブリンが潜んでいたようだ。

 ……どうだろう、狩り場にはちょっと向かないか? ライトニング・ボルテクスで1割くらい魔力を持っていかれたので、効率を考えればダークネス+ライトバレット・スナイプ×12の方が消耗は少ない。さっきの直線通路で戦えるなら、そちらの方が魔力効率はいいだろう。

 時間効率を加味すると、更に直線通路の方に軍配が上がりそうだ。なにせ、直線通路はアイテムボックス・収納でドロップアイテムをまとめて集められるからな。アイテムの存在を認識しているか否かが重要なので、岩陰の多い大部屋ではドロップアイテム収集にも時間がかかってしまう。

 今も、不意打ちを警戒しながらの岩陰確認だったので全部見るのに15分はかかってしまっている。仮にアイテムボックスが使えないとしても、やはり直線通路の方が効率は良さそうだ。


 もっとも、モンスターのリポップ速度次第なところもあるので断定はできないがな。


「さて、"ビューマッピング"」


 岩陰が多く、ビューマッピング1回では大部屋全体を地図化することはできない。配置から考えて、あと2〜3回は使う必要がありそうだ。

 しかし、今のビューマッピングで魔力総量が4割を切ってしまった。第3層はまだ先が続いており、大部屋から下り階段が見えないことを考えれば、ここは上り階段まで一旦退くのが安全か。

 車の運転もそうだが、"すぐに階段があるだろう"、"4割もあればいけるだろう"という"だろう行動"が一番危険だ。俺は探索者であって冒険者ではないのだから、安全マージンは十分すぎるほどにとった方がいい。


「………」


 派手に雷撃音を轟かせたが、ドロップアイテムを集める間についぞモンスターがつられてくることは無かった。今この瞬間、第3層のモンスター数が少なくなっているのは間違いない。

 それでも、余力がある内に引き返すことにした。死んだり怪我したら終わりだからな、慎重に行くとしよう。



 ◇



「……ふう」


 第2層への上り階段まで辿り着き、階段の中ほどまで上って一息つく。結局、帰り道は一度もモンスターに出くわさなかったが、それならそれで無事に戻れたのだからよしだ。


「さて……"アイテムボックス・一覧"」



 ☆


・ブルースライムの魔石×1

・ホーンラビットの魔石×9

・ブラックバットの魔石×36

・ゴブリンの魔石×47

・ラッキーバタフライの魔石×2


・装備珠(赤・ランク1)×5

・装備珠(青・ランク1)×4

・装備珠(青・ランク2)×2

・装備珠(黄・ランク1)×3


・アイアンアーマー(久我朱音用)×1

・見習い魔法士のローブ(恩田高良用)×1

・ポーション×2

・宝の地図(No.335524)


(以下略)


 ☆



 普通に戦っていたつもりだが、それでもゴブリンの魔石とブラックバットの魔石が飛び抜けて多い。1回の戦闘で同時に出てくる数が多いからだろう。これに関しては、収入が増えるので素直に嬉しいことだ。

 ……ただ、手放しで喜べるかと言えばそういう状況ではないことも残念ながら事実だ。なにせ……。


「……武器珠が出ない。装飾珠すらランク1しか出ない。防具珠ランク2は2つも出たのに」


 装備珠はちょくちょくドロップしていたが、一番欲しい武器珠ランク2が出ない。俺も朱音さんも、ランク2の武器珠が今一番欲しい物なのになぁ……。

 あと、装飾珠ランク2も出なかった。出たらいいな、くらいにしか考えていなかったのだが……もしや、これが巷で噂の物欲センサーってやつか。"◯◯が出ない〜"というのはモン◯ンあるあるだが、まさかダンジョンでも同じ現象が発生していたとは。


 ならば、出るまでモンスターを倒し続けるのみだ。よし、休憩して魔力が回復したらまたモンスターを倒しに---


---グゥ~


「………」


 ……うん、まずは昼飯にするか。時間的にも12時を回ってるし、ちょうどいい。

 アイテムボックスにポータブル電源と電気ポット、ミネラルウォーター、カップ麺を入れてきたから、お湯を沸かしてサクっと食べてしまおうかな。



 2ー8話にて、アイテムボックス・一覧を確認した際に食べ物を持ち込んでいる描写がありますが、肝心の水が無かったので追記しています。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 車の運転もそうだが =免許持ってる? 運転免許って国家資格じゃなかったけ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ