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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第4章:そして始まる、現代ダンジョン探索元年
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4−27:再会と不思議な縁


 あの時助けた女性と、まさかこんな場所で再会するとはな。不思議な縁もあるものだ。俺もそうだし、女性の方も話したいことはたくさんあるだろうが……話は後にして、まずは自己紹介も兼ねて持永局長に挨拶しなければな。

 互いに顔を見合わせていると、鶴舞ダンジョンから来た女性が1歩前に出た。まずは彼女から挨拶してくれるようだ。


「持永局長、皆さま、はじめまして。私は鶴舞ダンジョンより参りました、三条(さんじょう)美咲(みさき)と申します。ギフトは【風刀士】です、どうぞよろしくお願いいたします」


 とても綺麗な所作で、鶴舞ダンジョンから来た女性――三条美咲さんがお辞儀をする。朱音さんも育ちの良さを感じるような所作はよく見かけるが、どうやら三条さんも()()であるようだ。

 ちなみに、三条さんの方がやや所作が洗練されているように見えるが……これは現状、三条さんが俺たち初対面の人を相手に、ことさら気を使っているからだろうな。初対面の頃の朱音さんも、まさにこんな感じだったし……。


「……ふむ、よろしく、三条殿。さて、隣の方は……えー……」


 そして、次は海外から来たであろう女性が1歩前に出てくれたが……いや、大丈夫だろうか? 俺、全く英語とかできないんだが。

 持永局長も自信が無いらしく、声色が少し不安げなものに変わっていた。さすがの強者も、言葉の壁は簡単には越えられないんだな……。


「あ、私、ダイジョウブ。日本語、ちょっとできるヨ」


 不安に思いながら見ていると、なんと海外の女性のほうから日本語を話し始めた。やや片言な部分はあるものの、ちゃんと伝わるレベルの日本語だ。

 ……これは、少し驚いたな。海外の人からすると、日本語は特殊すぎてすごく覚えづらい言語だと聞くんだが……。


「ハジメマシテ。私、ステイツでやって来タ、リンダ・ハートリーでス。ギフトは、【アクアランサー】でス。ヨロシクお願いシマス」


 ペコリ、とリンダさん――ああ、ステイツ(アメリカ)なら名字(ファミリーネーム)が後ろか――ハートリーさんが、軽く頭を下げた。助詞が少し間違っていたくらいで、日常会話をこなせる程度には日本語を使いこなしているようだ。英語がてんでダメな俺からしたら、もはや驚くべきことでしかない。

 ……とりあえず、意思疎通を図れるのかという最大の問題は解決した。


「……よろしく頼む、ハートリー殿」


 心なしか、持永局長もホッとしているように見える。持永局長もやはり人の子、誠に勝手ながらなんだか親近感を覚えてしまうな。


「……さて、改めて恩田殿、自己紹介を頼む」

「はい、持永局長。俺は京都の亀岡ダンジョンから来ました、恩田高良といいます。ギフトは【資格マスター】です、よろしくお願いします」


 深く頭を下げる。そして、頭を上げた――




「「――恩田さん(ミスター・オンダ)!」」

「うおっと!?」


 なんと、女子2人がものすごく近距離に居た。足音1つしなかったが、2人とも古武術か何かを修めているのか?

 まあ、三条さんはなんとなく迫ってきた理由は分かるのだが……ハートリーさんの方はまるで分からん。なんでだろうか?


「恩田さん、改めてお礼を。あの時は助けてくださり、ありがとうございます」


 まず、三条さんが深く深く頭を下げてきた。確かに、あの時は命がかかった場面だったからな……偶然とは言え、通りかかって良かったよ。

 そういえば酷い怪我をしていた人は助かったのだろうか? ちょっと気になるし、後で聞いてみるか。


「……む? 2人は知り合いなのか?」

「ええ、まあ。ご存知の通り、所属しているダンジョンは違いますが、色々ありまして……」


 とりあえず、この場にいる人には事情を説明しておく。俺が三条さんパーティを助けるに至るまでの流れは、三条さんも知らないだろうからな。

 ……まあ、第5層の藪を掻き分けて進むと別ダンジョンに到達する、というくだりの部分では全員が驚いていたが。


「そんなことが……」

「スゴい情報、貰っちゃっタでス。でモ、タダで貰うはワタシがプライドを許さないから、何かで必ずお返しするデス」

「おいおい、パッとしない人だと思ってたら、中々どうしてチャレンジャー (ゲシッ!)あいだっ!?」

「尚毅! 恩田さんに失礼でしょ!」


 嘉納さんの言葉に、すかさず菅沼さんがツッコミを入れる。結構痛そうな音がしていたが、大丈夫だろうか……?


「んだよ〜、冗談じゃねえかよ〜」


 強めのツッコミを食らった嘉納さんが、笑顔を浮かべている。わりと慣れたやり取りだというのは見ていて分かったので、それ以上は俺も何も言わないことにした。


「ところで、三条さん。あの時倒れていた人は、その後大丈夫だったのか?」

「あ、はい。何とか地上まで連れて行くことができましたので……」

「……ふむ、ならば大丈夫だな。鶴舞ダンジョン局長の猪崎氏は、かつての自衛隊・迷宮探索部隊員で最高の回復魔法の使い手と評判だったからな」


 なるほど、鶴舞ダンジョンの局長はそんなにもスゴい方なのか。機会があれば、猪崎局長には回復魔法についてぜひ教えを請いたいものだ。


「本当に良かったです。あの人は許嫁なんです、久我萱人(かやと)という名前なんですけど……」

「……んん?」


 ……久我? え、ちょっと待って?


「……もしかして、その人も京都から来てたりしませんか?」

「あ、はいそうです。もしかして、萱人さんとはお知り合いでしたか?」

「いや、萱人さんとは面識は無いが……もしかしたら、ね」

「ちなみに、萱人さんのお父様のお名前は、団十郎さんというそうです」


 ビンゴじゃねえか!

 えっ、怖っ、世間って思ったより狭いんだな。


「……あのナイスミドルですか」

「団十郎さんとお知り合いなんですか?」

「ええ、一緒にライブ配信した仲ですよ」

「ライブストリーミング! キタ、オレのターン!」


 そしてここで、ずっと話したくてうずうずしていたハートリーさんが話に割り込んできた。

 ……てかおい、どこの決闘者だよそのセリフ。もしかして、ハートリーさんもアニメから日本にハマったクチか? そのわりには、変な口癖とかそういうのが無かったけど……。


「ワタシ、ミスターオンダヲ、動画ニ知りましタ。ダンジョンライブストリーミング、とっても刺激的でしタ!」

「ああ、もしかしてあの配信のこと……って、えっ? あの配信、海外の人も見てたのか!?」

「見たノ、アーカイブの方だネ。でモ、ステイツのフレンドも結構見てたヨ」


 亀岡ダンジョンを一躍有名にした、あのライブ配信……伝説の配信になるかもしれないと視聴者さんは言っていたが、後に動画を公開したところ本当に恐ろしい勢いで再生数が伸びていった。今では視聴回数200万を超えており、しかも動画再生数の伸び率はまだまだ高いままらしい。

 その影響が亀岡ダンジョンの運営にも出ており、亀岡ダンジョンの探索者数は大きく増えたのだが……あまりに人が増えすぎたことで、営業時間中は常に第3層までのモンスターが狩り尽くされてしまっている状況が続くようになった。今では、第3層まででモンスターと戦うこと自体が非常に難しい。

 それをどうにかするため、権藤さんは亀岡ダンジョンを24時間営業化することも検討しているが……元々亀岡ダンジョンは職員数が少ないのと、近隣が住宅街なので夜間騒音の懸念がある (というより、現時点で既に昼間の過剰な騒音問題などが発生してしまっている)ことなどから、残念ながら検討段階で止まっているようだ。第4層を突破できる探索者が増えていけば、一部の問題は自然と解消されていくと思われるが……果たして、どうなるんだろうな。


 閑話休題。


 ああそうそう、ライブ配信と言えば……少し提案してみるか。


「ライブ配信内では、あえて明言しませんでしたが……あれは、俺の【資格マスター】のギフト効果により実現させたものです。俺がいる今なら横浜ダンジョンでもライブ配信ができますが、試しにやってみますか?」

「「「……なにっ(えっ)!?」」」

「オウ、面白そうデスネ〜♪」

「えっ? ライブ配信……えっ?」


 驚きの質が、三条さんとそれ以外の人で明らかに違っている。このやり取りから察するに、三条さんだけが亀岡ダンジョンライブ配信を見てないっぽいな。

 ……まあ、三条さんは俺と団十郎さんの顔を知っていて、ライブ配信には俺と団十郎さんが並んで映っている場面がある。それでいて、俺と団十郎が知り合いであることを知らなかったのだから……当然といえば当然か。


 さて、どう返答がくるかな?



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
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