2−10:闇夜に閃く一筋の光が、我に仇なす敵を討つ……なんだよ、厨二病じゃねえぞ
読者の皆様、いつも本小説をご覧くださり誠にありがとうございます。
定期更新日通りであれば、2023年は本日12月30日が最終投稿日となる予定でしたが……それに加えて、大晦日の午前8時にも次話を更新いたします。
まだ自分には、年末年始特別話のようなものは早すぎるかな、と考えておりますので通常の更新となりますが……よろしければ、皆様ご覧ください。
「……お、もう魔力が満タンになったのか。随分と早いな」
休憩を始めてから、およそ50分。予想より遥かに早いペースで魔力が回復し、出発予定時刻より前に魔力が最大まで回復していた。これでゴブリン狩りに向けて、十分な態勢を整えることができた。
しかし、なぜこんなにも早く回復したのだろうか。途中でオートセンシングを切ったのが大きかったのだろうか?
最初こそ、念のためにとオートセンシングでモンスターが来ないか見張っていたのだが……10分ほど様子を見て、階段にモンスターが来ることは無いと確信した段階でオートセンシングを切った。後はひたすら階段に座り、楽な姿勢でボーっと宙を眺めていた。
……そう考えると、座っていると魔力回復が早いとかそういうのも要因としてありそうだ。いずれにせよ回復が早くて損は無い、そろそろ行くとしようか……と、その前に。
「"オートセンシング・クアッド"」
忘れずにオートセンシングを起動しておく。なんとなくの思い付きだったが、もはや手放せない魔法になったな。
そういえば、もう1つ確認しておくことがあったな。
「"アイテムボックス・一覧"」
☆
・ホーンラビットの魔石×5
・ブラックバットの魔石×25
・ゴブリンの魔石×15
・ラッキーバタフライの魔石×2
・装備珠(赤・ランク1)×4
・装備珠(青・ランク1)×2
・装備珠(黄・ランク1)×1
・アイアンアーマー(久我朱音用)×1
・見習い魔法士のローブ(恩田高良用)×1
・ポーション×2
(以下略)
☆
「武器珠ランク2出ないなぁ……」
装備珠はちょくちょくドロップするのだが、武器珠ランク2がなかなか出ない。武器と盾以外は全てランク2以上になったのだが……。
武器珠ランク2と、優先度は低いが装飾珠ランク2。ゴブリン辺りから早めに出てくれればありがたいな。
「よし、今度こそ行くか」
体力も気力も、魔力も十分。カド待ちの奇襲にだけ警戒しながら、先に進むとしよう。
◇
第3層へ降りて先に進む。最初の曲がり角の向こうを影からそっと覗き込むが、どうやらモンスターはいないようだ。
オートセンシングにも反応が無いことを確認し、素早く移動して次の直線通路を覗き込む。今度はモンスターの姿が見えた。
「1、2、3……6組かよ、面倒だな」
50分前の雷撃音で集まってきたのだろうか、手前からゴブリン3体、ゴブリン3体、ブラックバット4体、ゴブリン4体、ホーンラビット2体、ゴブリン4体の、計6組20体が通路にたむろしていた。そのうちライトショットガンの有効射程内に入っているのは、一番手前のゴブリン3体だけ。残り5組は通路のわりと奥の方に固まっている。
……何気に、ブラックバット4体編成とホーンラビット2体編成は初だな。上層に出現するモンスターでも、下層に進むほど一度に出てくる数が多くなるのかもしれないな。
「………」
さて、この状況をどうするか。ここまではライトショットガンだけでほぼ事足りたが、今撃ったら無傷の敵が大量に押し寄せてくることになりそうだ。おそらく倒し切れるとは思うが、極力リスクは少なくしていきたい。
うーん、代替手段か……雷魔法ならライトニング、光魔法ならルビーレーザーあたりが候補か? ただ、ルビーレーザーは射程距離が不明だし、ライトニングは敵を更に呼び寄せてしまう。この場面で使うには、どちらもいささか不安が残る。
他に選択肢は無いだろうか?
……闇魔法? いや待てよ、案外ありかも。魔力も満タンだし、試しにやってみるか。ダメならさっさと逃げればいい。
「………」
昨日試し撃ちした感じからすると、闇魔法は攻撃特化・消費魔力量大なスキルというイメージが強い。
……だが、果たして本当にそうだろうか? たとえ闇魔法でも、攻撃性能の無い魔法があってもいいはずだ。
「"ダークネス"」
イメージしたのは、通路が真っ黒な霧で覆われた光景。一寸先にすら闇の帳を下ろし、モンスターの視界を奪う魔法……!
「「「「ギィッ!?」」」」
「「ギッギイイ!?」」
通路の中程に向けて黒い霧を流し込むと、驚いたような声がいくつも重なる。声からして、ゴブリンとホーンラビットのものだろう。
モンスターの姿が、全て黒い霧の向こうに消えていく。これでは俺もモンスターの姿が見えないと思われるだろうが……心配無用だ。
俺にはオートセンシングがある。そのオートセンシングが、こちらに向けて飛んでくる敵影を4つ検知した。
「キィッ!」
「おっと、やはりか」
---ガキィン!
通路に出て、先頭で暗闇から飛び出してきたブラックバットを光の盾でガッチリ受け止める。暗闇の中でも俺の姿をしっかりと捉えていたようで、後を追って3体のブラックバットが闇から姿を現した。
現実のコウモリはエコーロケーションによる探知を行っているので、ブラックバットも視覚以外の探知方法を持っているのではないか、とは思っていたが……うん、想定通りだ。
そして想定さえできていれば、備えることはそう難しいことではない。
「"ライトショットガン・ダブル"」
「「「「キッキイィッ!?」」」」
「「「ゲガァッ!?」」」
続く3体が突進してくる前に、ライトショットガン・ダブルでブラックバット4体をまとめて葬り去る。そのまま暗闇に飛び込んだ光弾が、闇魔法と相殺されて消える……ということはなぜか一切なく、どうやら直近のゴブリン3体をも散々に撃ち抜いてくれたようだ。
ゴブリン2体の反応がオートセンシングから消え、残り1体は倒れもがいている。あとのモンスターは断末魔の叫びに驚き狼狽えているようだが、有効射程外だからかダメージはほぼ無さそうだ。
それでも、今この場にいる全てのモンスターの動きが、ほぼ止まっている。
「………」
これならじっくり狙えるな。1体ずつ仕留めてやろう。
「"ライトバレット・スナイプ"」
狙いを定めずともモンスターを撃ち抜けるライトショットガンに頼りきりで、あまり使ってこなかったライトバレット。
だが、ライトショットガンよりは確実に射程は長いはず。特にスナイプモードであれば、距離100メートル程度届かないはずはない。
「ギァッ!?」
「……よし、次。"ライトバレット・スナイプ"」
「ギイィッ!?」
「……よし、次。"ライトバレット・スナイプ"---」
淡々と、1体ずつモンスターを撃ち抜いてドロップアイテムに変えていく。真っ暗闇に響くモンスターの悲鳴が、他のモンスターに恐怖を与えて更に身を竦ませる。そうすれば更に狙いやすくなる……という、モンスターにとっては地獄のループが完成した。
6秒に1発のペースでライトバレットを放ち、およそ1分半ほどで14体のモンスター全てを倒すことができた……と同時に、通路を覆っていた暗闇が晴れていく。
効果時間は大体3分くらいか。これで5%くらいの魔力消費量だったから、今後も使う機会はありそうだ。
「……よし、いないな。"アイテムボックス・収納"」
オートセンシングと目視で誰もいないことを確認し、全てのドロップアイテムを指定してアイテムボックスに収めた。
……本当に便利だよな、アイテムボックス。まだ探索を始めて3日目なのに、もうこれ無しの探索なんて考えられないくらいに便利だ。
だが、亀岡ダンジョンに他の探索者がほとんどいないからこそ、今は人目を気にせずアイテムボックスを使えているが……ポーションのこともあるので、人目が増えれば使えない場面も多くなってくるだろう。その時に備えて、ドロップアイテムを集めるための魔法を別途開発した方がいいかもしれない。
アテは無いが、今後風属性魔法が使えるようになれば、そういう魔法を作ることもできるかもしれないな。
「さて……」
あれだけ大量のモンスターを倒したのだから、直線通路の前後は比較的安全になっているはず。魔力残量も9割以上あることだし、せっかくなので通路の先がどうなっているか確かめておこう。
特に何事もなく120メートルを歩ききり、左右に分かれた丁字路のところまでやって来た。
まずは左の通路側の壁に寄りかかりながら、右の通路を覗き込む。予想通りモンスターの姿は無く、緩く左に曲がった通路が奥へと続いていた。
続けて、左の通路をそっと覗き込む。そちらは10メートルほどで行き止まりになっており、奥には木製の箱がポツンと……え?
「……まさかコレ、噂の宝箱ってやつか?」
ご感想を頂いた中で、『プロローグで貰った装備珠の中に、偶然ランク10の装備珠が混ざっている……というのはさすがに展開として無理があるのでは?』とのご意見を頂いておりました。
そのため、活動報告でも周知いたしましたが、プロローグの内容を一部変更しております。小説全体の流れにはほぼ影響しませんので、ご安心ください。
◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇
なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。
読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。
皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。
☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。