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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第2章:朱き飃風は母を想いて舞い踊る
16/203

2−9:無限ゴブリン狩りって、なんだか良い響きだよね……え、そんなことない?


「……いいな、オートセンシング」


 小部屋から下り階段前までの、およそ20分程度の道中。その間にブラックバットの集団と3回、ホーンラビット単体と2回遭遇し、しかし全て無傷で倒すことができた。あっという間にブラックバットの魔石8つ、ホーンラビットの魔石2つ、武器珠ランク1が1つ手に入った。

 かなり調子が良いが、それというのもやはりオートセンシングによるところが大きい。昨日あれだけ警戒していたブラックバットの奇襲が、今日は近付かれるより先に全て気付くことができた。消費魔力量もそんなに多くないし、まさに発想の勝利というやつだな。


 あ、そうだ。装備の確認やら何やらで忘れていたが、どうやらラッキーバタフライを倒したタイミングで【資格マスター】が成長したようだ。同時に3枠まで付けられるようになった……が、今は朱音さんが近くにいないので、着付け士を付けてもギフトの恩恵は受けられないらしい。ここはおとなしく第二種電気工事士を付けておこう。

 ちなみに、昨日付けた陸特三はまだ24時間のクールタイム中なので外すことができない。確か午後3時くらいに付けたはずなので、あと5時間は外せないな……。


 あとは、そう。遂に、基本情報技術者の効果がパワーアップしたようだ。



 ☆


資格名:基本情報技術者

効果:光属性魔法を使用可能 光属性攻撃のダメージを無効化 光属性魔法使用時の威力が1割増


 ☆



 ステータスウィンドウっぽく表現すれば、こんな感じになるだろうか。光魔法の威力が1割増しになった。地味な追加効果だが、塵も積もれば山となる、というやつだな。今後強いモンスターと戦う時に、この僅かな差が勝敗を分けることになる……かもしれない。まあ強くなって損はないのだから、素直に喜ぶべきだろう。

 ……もしかしたら、ラッキーバタフライはギフト経験値というか、そんな感じのものを大量に持っているのかもしれない。純粋な能力値はサ◯シリーズ方式で伸び、ギフトやスキルはド◯クエ方式で伸びる、ということなのかもしれないな。まあ、全て俺の仮説に過ぎないのだが。


「……おっと、"ライトショットガン・ダブル"」

「「キィッ!?」」


 そんなふうによそ事を考えていても、オートセンシングは背後から迫る敵影を確実に捉えてくれる。振り向きざまにブラックバット2体を魔法で撃ち抜き、魔石2つを手早く回収した。

 さて、いつまでも階段前でボーっとしててもしょうがない。さっさと第3層に移動して、ゴブリンを探すとしようか。



 ◇



「……さて」


---キヒャヒャヒャヒャ

---ケハハハハ


 第3層に降りてきたが、昨日と同じく耳障りな嗤い声が曲がり角のすぐ向こうから聞こえてくる。第2層のホーンラビットもそうだったが、固定湧きポイント的な感じなのだろうか?

 それならそれでありがたい、探す手間が省けるからな。


 そっと壁の影から向こうを覗き込むと、やはりというべきかゴブリン3体が談笑していた。そちらに向けて右手を……いや、待てよ?

 試しに、壁の影に隠れたまま魔法を唱える。このままだと射線が遮られてしまうので、魔法の発射地点のみ壁の向こうに動かすイメージで……。


「……"ライトショットガン・ダブル"」


 攻撃力が足りるか不安だったので、念のためダブルにしておいた。

 光の散弾はイメージ通り、俺より少し離れた位置から壁の向こうに向けて発射された。


「「「ゲブッ!?」」」


 断末魔の叫びがいくつか重なって聞こえてきた。それからは完全に静かになったので、おそらくは3体とも倒せたのだろう。

 自然回復分と合わせて、さっきから魔力残量半分の前後を行ったり来たりしているが……今の魔法発動で、半分より少し下まで魔力残量が減った。発射点を自分から離すと、どうやら魔力消費量が増えてしまうらしい。


「……よし、全部倒せてるな」


 そっと曲がり角の向こうを覗き込むと、魔石が3つと防具珠が1つ落ちていた。オートセンシングにモンスターの反応は無い。

 手早く魔石を拾ってリュックに収め、防具珠を持って再びカドに身を隠す。防具珠はランク2だった。


(俺に身を守る力を)


 防具珠にそう念じると、いつもの通り防具珠が光に姿を変え、俺の体を包み込む。

 光が晴れた後には、元々着ていたものより少し灰色っぽいローブを身に纏っていた。なお、元々着ていたローブは地面に落ちていたので、アイテムボックスに放り込んでおく。


「……ふむ」


 ペタペタと触ってみるが、布の肌触りにしてはやや固い。多分だが、金属を糸状にして織り込んであるとか、そういう品なのではないだろうか……とすると、グリーブのそれと同じ金属かもしれない。

 強度はそこそこありそうなのに、動きを阻害するほどの重さや固さはない。端的に言えばとても良い感じだ。


「………」


 装備交換を終えて、そっと壁の向こう側を覗く。


---ケハ……ハ……

---ギャ……ギャ……


 曲がり角の先、30メートルぐらいの所に更に右曲がり角があり、その先くらいからゴブリンの嗤い声が聞こえる。オートセンシングに反応は無く、見える範囲にモンスターはいないようだ。

 先に進むか、ここで待つか。残り魔力は半分くらいだが、装備はかなり充実してきている。


「……よし、行くか」


 リスクはあるが、ここは前に進むことにした。ただし、オートセンシングを過信して慎重さを置き去りにしたりはしない。

 次の曲がり角までの20メートルほどを移動し、影から向こう側をそっと覗き込む。珍しくまっすぐな道の向こうに、ゴブリン4体の集団が3つほど点在しているのが見えた。

 一番近いゴブリンまでの距離は、おおよそ40メートルくらい。そこから約30メートル間隔でゴブリン4体の集団がいる。あと、一番近いゴブリンと俺とのちょうど中間地点くらいに、ブラックバット3体がいるのも見えた。


「とりあえず"ビューマッピング"……っと。結構奥まで地図ができたな」


 縮尺が分からないが、このまっすぐな通路は大体120メートルくらいあるらしい。その向こうは、左右に分かれる丁字路になっているようだ。

 ……どうでもいい余談だが、"T"字路ではなく"丁"字路の方が、日本語という意味では正しいのだとか。まあ、現代用語という観点ならどちらも正しいと個人的には思うし、使いやすい方を使えば良いとも思うが。


 閑話休題。


 せっかく長い通路に敵が散在しているのだから、試してみたいことがある。


「光魔法の射程ってどうなんだろうな? "ライトショットガン・トリプル"」


 身を隠したまま通路に向けて左手を伸ばし、3倍増しの光の散弾を発射する。初日にラッキーバタフライを仕留めた時のことを考えれば、光魔法の射程は相当長いと推測できるが……さあ、どうなるか。

 仮にうまくいかなくても、対応できるだけの距離はある。さて、結果は---


「「「キイィッ!?」」」

「「ゲハッ!?」」「グゲッ!?」

「ギャッ!?」「「「ギャギャッ!?」」」

「「「「ギャッ、ギャッ、ギャッ!」」」」


 まず、20メートルくらいの距離にいたブラックバットは全滅。魔石3つと、赤い武器珠に姿を変えた。これは予想通りだな。

 40メートルくらいの距離にいたゴブリン4体は……2体は消えて、2体は行動不能状態かな。足を撃ち抜かれたのか、地面を転がっていて立ち上がれそうには見えない。これは全員の無力化に成功したと言えるだろう。

 次に、70メートルくらい離れた所のゴブリン4体は……重傷1体に軽傷3体、全員が行動可能か。光弾が複数当たればそれなりにダメージを与えられるようだが、どうも長距離を飛ぶと威力が減衰してしまうらしい。遠い分だけ弾の密度も薄くなるので、ある意味で納得の結果だ。

 で、距離100メートルくらいの場所にいたゴブリン集団は……全員がほぼ無傷だった。この距離のモンスターには、さすがに有効打を与えられないらしい。


 となると、ライトショットガンの有効射程は40メートルくらい、限界射程は70〜80メートルくらいか。結構飛ぶな。


「「「「ギャギャギャ!!」」」」

「「「「ギャッギャッ!」」」」

「おっと」


 ほぼ無傷な4体が、傷だらけの4体よりも先に俺へと近付いてきた。少し遅れて、傷だらけのゴブリン達もやや緩慢な動作で近付いてくる。

 ……前の4体は醜悪な顔付きで嗤っているが、後ろの4体はどこか苦しげだ。前の4体に雷魔法を使うか少し迷ったが、後続がいるのでここは手慣れた光魔法を選択する。


 無傷の4体が、倒れているゴブリン(有効射程内)の辺りまで来た……今だ。


「"ライトショットガン・トリプル"!」

「「「「ギャアァッ!?」」」」

「「「「ゲフゥッ!?」」」」

「「ギィッ……」」


 3倍増しの光弾にたっぷり撃ち据えられた無傷ゴブリン4体が、あっという間に魔石と装備珠に変わっていく。ついでに他のゴブリン達も流れ弾を食らったようで、倒れていたゴブリン達はそのまま魔石に変わり、傷だらけの4体は2体が魔石に変わり、残り2体が倒れもがくゴブリンにそれぞれ変わっていった。

 まだ息のあるゴブリンに、そっと近寄る。痛みに悶えているのか、こちらに意識を割く余裕は無いらしい。なら、新魔法の実験にはちょうど良いな。


「"ライトニング"」

---ダァァァン!!

「「ギガッ……!?」」


 手からではなく、上空からゴブリン目掛けて雷撃を落とすイメージで雷魔法を唱える。目に見える範囲内ならどこにでも落とせるようだ。

 降り注ぐ一筋の雷がゴブリンの直前で二手に分かれ、それぞれを焼き焦がした。その一撃に、満身創痍のゴブリンが耐えられるはずもなく……魔石と装備珠に姿を変えた。


「……よし、"アイテムボックス・収納"」


 周囲に誰もいないことを確認し、ドロップアイテムをまとめてアイテムボックスにぶち込む。そうしてから、急いで階段に向けて撤退した。


---ギャ…ャ

---ギャ…ギャッ…


 階段に一番近い曲がり角を曲がる直前、後ろからゴブリンの声が聞こえた。だいぶ声が遠かったので、おそらくは丁字路のほうから直線通路にゴブリンが入ってきたのだろう。

 昨日のゴブリンの挙動から、ゴブリンが雷撃音に反応して集まってくることは分かっている。ゴブリン狩りをするには便利な性質だが、いかんせん今は魔力量が3割を切っており、いささか心もとない。午前10時半と昼にはさすがに早すぎるが、どこかで少し休憩したいところだ。


 ……さて、階段のところまで戻ってきたのだが。階段前が安全地帯とは到底思えないので、とりあえず階段の途中まで昇ってみる。ちょうど、第2層と第3層の間くらいの場所だ。

 壁際に寄り、階段にゆっくりと腰を下ろす。オートセンシングは、第2層にいるブラックバットの存在を捉えていたが……どうやら、ブラックバットは俺のところまで来れないらしい。こちらに近付こうとしては、見えない壁のようなものに弾かれてバタバタしているようだ。


「なるほど、階段の上は安全地帯なのか」


 また一つ、ダンジョンについての見識を深めることができた。そういうことなら、ここで存分に休憩することとしよう。

 とりあえず、魔力残量を7割ほどまで回復させる。魔力の自然回復速度を鑑みるに、大体1時間くらいはかかるだろうか。今が午前10時40分くらいなので、ギリ昼を回らない頃には目標値まで回復するだろう。

 そこからゴブリン狩りを敢行して、午後1時くらいに昼ご飯という流れになりそうだ。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、著者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
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