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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第4章:そして始まる、現代ダンジョン探索元年
157/205

4−8:大空の支配者、ダイブイーグル……だけが相手なら楽だったのになぁ


 第13層の階段前広場にて、戦いの火蓋が切って落とされる。第4層以来の、陸と空の両面に敵がいる展開……しかも、敵の強さもあの時とは段違いだ。気を引き締めて臨まねば。


「「シャァッ!」」


 緊張感が漂う中で、最初に仕掛けてきたのはリザードマンだった。前の方に立っていた2体が機敏に飛び出てきて、絶妙な時間差で距離を詰めてくる。


「「!!」」

「ぱぁっ!」


 狙いはどうやら俺だったみたいだが、リザードマンの動きを察知した朱音さんと帯刀さんが素早く迎撃に出てくれたので、リザードマン2体の注意もそちらを向く。

 また、相手が炎を吐きつけてくるリザードマンということもあるのだろう。アキが素早く朱音さんの肩から離脱して、俺の肩へと飛び乗ってきた。

 ……2人と2体が交錯し、それぞれの刃が白く閃く。


「はぁっ!」

――ガギィンッ!

「シャァッ!?」


 リザードマン2体が上段から振り下ろしてきた剣を、朱音さんと帯刀さんは揃って下から打ち合わせた。体勢的には少し不利だったものの、帯刀さんは余裕で受け止めて鍔ぜり合いへと移行し……。


「しっ!」

――スパッ!

「シャッ!?」


 朱音さんの方はというと、なんとリザードマンの剣を半ばから斬り飛ばしてしまった。技の冴えもさることながら、ソードスピアの斬れ味も凄まじすぎる。


――キンッ!

「くっ!?」

「シャッ、シャアッ!?」


 ただ、斬り飛ばした剣先が勢い余って朱音さん自身の方へと飛んできてしまう。その対処をしている隙に、リザードマンに距離を取られてしまった。

 その隣では、帯刀さんとリザードマンが何合か打ち合いを続けていたが……最終的に鍔ぜり合いで押し負けたリザードマンが、その押された勢いのままバックステップで距離を取る。


 ……やはり、リザードマンの動きが明らかに違うな。ここまでの道中で戦ってきたリザードマン共とは、ひと味もふた味も違う動きのキレ……よりにもよって、このタイミングで出てきてしまったのか。


「敵にハイリザードマンが混ざってるぞ、気を付けろ! 今までのリザードマンと同じだと思うな!」

「「「!!」」」


 大声で全員に注意を促すと、特に帯刀さんの表情がグッと引き締まる。帯刀さんは最前線で戦ううえに、爬人隊長(ハイリザードマン)とは初遭遇だからな……装備の兼ね合いもあって炎攻撃が少し苦手なので、警戒度合いも他のメンバーより高いのだろう。


 それにしても、まさかハイリザードマンとこのタイミングで遭遇するとは。初見モンスターが敵編成に含まれている中でのコレは、中々に厳しすぎやしませんかね?

 でもまあ、最近は安全マージンを十分過ぎるほどに取った、ヌルい戦いが続いていたからな。ゴブリンキング戦までいくとさすがにギリギリ過ぎるが、これくらいの緊張感ある戦いはむしろ定期的に欲しいくらいだ。


「ガァァァァ!」

――ゴゥッ!


 ハイリザードマンにばかり目が行くが、今回は空にも脅威がいる。その脅威たるダイブイーグルが、俺に向けてウインドブレスを放ってきた。


「! 爆炎よ!」

――ゴォォォォッ!!


 撃ち下ろされる風のブレスにぶつけるようにして、【ファイアブレスⅡ】を上空に放つ。

 風と炎は空中で正面衝突し、一瞬だけ拮抗した後……風のブレスを退けるようにして、俺が放った炎のブレスが押し勝った。そのまま、炎はダイブイーグル目掛けてまっすぐ飛んでいく。


「ガァッ!」

――バサッ!

――ゴォォォォ……


 もちろん、ダイブイーグルもさるものだ。羽ばたき1つで体勢を変えられ、炎をヒョイと避けられてしまう。あれほどに恵まれた体格を持っていながら、ずいぶんと小回りが利くようだ。

 しかし、ファイアブレスは発射方向を変えることができる。1度避けられたとて、後は当たるまで追尾し続ければ――






「――シャアッ!」

「「あっ!?」」


 俺がそう考えた直後、後ろで様子を伺っていたリザードマンが急に動き出した。

 リザードマンとサシで戦う前衛2人の間をすり抜けて、3体目のリザードマンが俺に向けて飛び掛かってきた。そのことに朱音さんも帯刀さんも気付いたが、目前のリザードマンが思ったよりも粘るせいで手が離せないようだ。


「っ! 盾展開!」


 リザードマンが腰だめに剣を構えるのを見て、急いで防壁を展開する。


――ヒュッ!!

――ヂヂヂヂヂッ!!

「シャアッ!!」

――ヒュッ!!

――ヂヂッヂヂヂヂッ!!


 そのまま放たれた鋭い突きを、前面に広く展開した防壁で受け流す。続けて、リザードマンが袈裟斬りを連続で繰り出してくるが……それも、防壁で冷静に受け流した。

 ただ、動きが他のリザードマンよりも明らかに機敏だ。邪魔してくるタイミングの厄介さと言い、おそらくコイツがハイリザードマンだろう。


――プシュゥゥゥン……


 ……ハイリザードマンから身を守ることには成功したものの、そちらに気を取られて肝心のファイアブレスが止まってしまった。上空にいるダイブイーグルに向けて狙いを定めながら攻撃し、同時にハイリザードマンの攻撃を的確に防ぐ……そんな器用な真似をすることは、今の俺には難しかったようだ。


「くっ、ごめん恩田さん!」

「すぐ、加勢します、から!」

「「シャァァァッ!!」」

「こっちは大丈夫だ、心配するな!」


 チラッと見た感じ、朱音さん・帯刀さんとリザードマン共とのサシ勝負は明らかに2人の方が優勢だ。リザードマンの動きが多少良くなったとて、実力差は歴然なのだから。

 それでも2人が攻め切れていない理由は、リザードマン共が時間稼ぎに徹しているからだろう。力では決して勝てないと悟り、唯一互角の能力を持つスピードを活かして、武器攻撃がギリ届かない距離を維持しようと立ち回っているのだ。大きな隙を生むファイアブレス攻撃が1度も飛んできていないことからも、その辺はかなり徹底されている。


「ガァァァァ!」

――バサッ! バサッ!


 加えて、ダイブイーグルの存在もあるだろう。アイツのせいで目の前の戦いに集中できず、常に一定割合の注意を空へと持っていかれてしまうのだ。

 ゆえに、さっさとダイブイーグルを倒してしまいたいところなのだが……それを、ハイリザードマンが邪魔してくる。ハイリザードマンは、ダイブイーグルをうまく使って戦いを有利に進めようとしているのだ。


「"サンダーボ「シャァァッ!」おっと!」

――バヂヂッ!


 その証拠に、俺がダイブイーグルに向けて魔法を放とうとすると、ハイリザードマンは必ず攻撃を差し挟んでくる。俺の挙動を見て魔法攻撃か否かを判断しているみたいだが、撃ち際を邪魔してくるのは本当に鬱陶しいな……。

 別に、ここで多少強引に魔法を放ってもいい。防壁を広く展開して固定し、ハイリザードマンの攻撃をいなしつつ魔法の発動に集中するわけだ。魔力消費量は確かに増えるが、どうせ今日の探索はここまでなのだからそこを考える必要は無い。

 だが、ここはもっとスマートにいこう。なにせここには、出番を今か今かと待ち侘びている我がパーティの対空要員がいるのだから。


「きぃっ!」

「待たせたな、出番だヒナタ! あのガァガァうるさいデカブツを任せてもいいか?」

「きぃっ! きぃっ!」


 そのヒナタだが、相当に意気込んでいる。ヘラクレスビートルやゴブリンキングといった、地上型の強いモンスターとは戦ったことがあっても……飛行型の強いモンスターとは、これが初めての遭遇だからな。同じ土俵での強敵との戦いは、ヒナタにとって未知の体験だろう。

 ここで1つ、ヒナタには壁を打ち破ってもらいたいところだ。


「よしっ、行ってこい!」

「きぃぃぃぃっ!!」

――バサバサッ!!


 空を悠々と旋回するダイブイーグルに向けて、ヒナタが力強く羽ばたいていく。頼んだぞ、ヒナタ!


「シャアッ!」

――ヂヂヂヂッ! ヂヂヂヂッ!

「シャ……シャァァァァッ!」

――ゴォォォォッ!

――バヂヂヂヂッ!


 そうしている間にも、ハイリザードマンとおぼしき個体は絶え間無く攻撃を仕掛けてくる。ヒナタが飛んでいく姿はコイツも見ていたはずだが、なぜかそちらには一切目もくれなかったようだ。是が非でも、俺をこの場へ釘付けにするつもりらしい。


 ……よし。ならば、俺もお前を釘付けにしてやろう。


「"ドッペルシャドウ"」

――ウォォォン……

「シャァッ!?」


 久し振りに、【闇魔法】の出番だ。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
こんにちは。 うーん、だいぶ鬱陶しい連携ですね。ダイブイーグルだけに(激寒ギャグ
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