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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第4章:そして始まる、現代ダンジョン探索元年
151/205

4−2:爆速踏破、恩田パーティ


 既に18回ほど往復踏破し、本日で19回目の挑戦となる道を6人で突き進む。毎回ちょっとずつルートを改良しているものの、大枠は同じなのでもはや完全に行き慣れた道となった。

 ……だからなのだろうか。毎回似たような位置で、同じモンスターと遭遇する。第5層まではモンスターが弱いので、雑に戦っても問題は無いのだが……さすがに、第6層以降も同じ心持ちでは危険だろう。


 ただ、それでも以前よりは楽に戦えるようになった。


――ブブブ「てやぁっ!!」ブッ……!?


 ダンジョン第2の壁と呼ばれ、第9層までに出現する通常モンスターの中では一番の脅威となるラッシュビートルは……羽音から接近を察知して待ち伏せし、出会い頭に朱音さんの一撃で斬り伏せてもらう。武器を最近ランク5のものに替え()()たので、更に簡単に一刀両断できるようになった。

 あの重装甲が、まるでバターのようにスルリと斬れていくさまは圧巻の一言だろう。俺たちにとっては、その壁はもはや薄紙となんら変わりないものとなった。


「キキ「"パラライザー"」ギッ!?」

「はあっ!!」

――ズバッ!

「ギッ……!?」


 【仲間呼び】をしてくるインプは、速攻で麻痺させればスキル発動を阻止できることが分かった。ただ、アキの麻痺霧だと少し速さが足りなかったので……麻痺効果のある新しい【雷魔法】で動きを止めてから、帯刀さんに斬り捨ててもらう戦法を採ることにした。

 このパラライザーだが、浸透力の高い微弱な電撃を放つ魔法だ。ダメージこそ与えられないものの、非常に低燃費かつ高確率で相手を麻痺させることができる。速効性があるうえに麻痺が効く相手にはほぼ100%通るが、複数体を同時に麻痺させるのは難しいのでその辺でアキの麻痺霧とは差別化が図られている。

 ……まあ、言ってしまえばまんまポケ◯ンのでん◯はだ。それをイメージして作ったので、さもありなんといったところだが。


「「「ギョギョギョ!!」」」

「"ラーヴァステップ"なのです!」

――グゴゴゴゴゴ……!

「「「ギョォォォォォッ!?!?」」」


 サハギンについては、残念ながら戦闘訓練の相手としては既に不足している。高速接近→モリごと相手を叩き切る、という一連の動作だけで簡単に勝てるのでは、訓練も何もあったものではない。

 なので、最近は九十九さんにこんがりと焼いてもらっている。新魔法の実験台として最適なようで、今日は足元が一面溶岩に変化する魔法を試し撃ちしていた。これではサハギンも逃げられまい。

 案の定、溶岩に落ちたサハギン共が断末魔の悲鳴をあげる。あっという間にサハギン共の生命力が尽き、魔石やら装備珠やらに変化していくが……魔法で作り出された溶岩がそれらを焼くことは、不思議となかった。


「「「「ギャギャ「きぃぃぃぃっ!!」」」」」

――ゴウッ!!

「「「「ギャァァァッ!?!?」」」」


 ちなみに、アーミーとアーチャーはヒナタがブレスを吐いて終了だ。ヒナタは一息でブレスを吐き続けられる時間が長くなり、12体の編成も1発で全滅させられるようになった。


「ほい、第10層に到着っと」


 そうこうしているうちに、全員無傷のまま目的の第10層へと到着した。さて、肝心のタイムは……?


「……時刻は、午前11時ちょうどか」

「最速タイムは更新ね。目標には少し届かなかったけど……」

「まあ、今回のルート改良が功を奏してるのは確認できたからな。十分に成功だったと言えるんじゃないか?」


 そろそろ、1分を詰めるのも大変になってきたからな。そんな中で2分も短縮できたというのは、相当な成果だと俺は思う。




 ……本来、危険が満載なダンジョン探索において、踏破スピードを追求するのは輪をかけて危険な行為なのだが。それを安全に実施可能としているのには、ちゃんとした理由がある。


「それにしても、やっぱり防具を更新するのって大事ね。安心感が段違いだわ」


 ゴブリンキングと戦った時は、まだ全員の装備にランク2の物がいくつか混ざっていた。それらもこの3週間ほどで全て更新し、最低でもランク3のものに切り替えている。そのせいか、モンスターの攻撃が全然痛くなくなったのだ。

 俺でさえそうなのだから、高ランク防具を装備している朱音さんや【オートプロテクト】を取得した帯刀さんは更に実感できていることだろう。確かな技量を持った2人が敵に怯まず突っ込んでいけるので討伐タイムが短くなり、危険に晒される時間も短くなるのでむしろ安全度が増すのだ。


 ……ちなみに、切り替える予定が無かったホーリィバングル (ランク2)もホーリィブレスレット (ランク3)に更新している。俺が装飾珠ランク3を手に取った時に誤って使ってしまい、せっかくだからとホーリィバングルの上位版を希望したら普通に叶ってしまったのだ。


「私は【オートプロテクト】が強すぎますね……サハギンはおろか、ラッシュビートルの突進攻撃でさえまともに受けても無傷とは。さすが、階層ボスの特殊個体がドロップしたスキルスクロールだけはある、ということでしょうか……?」

「……今更だけどさ、帯刀さんがランク4の武器珠を使った方が良かったんじゃないか? 俺が使うよりも、確実に戦力アップになったような気がするんだが……」

「それは、私の信条として大変受け入れにくかったので……貴重な【オートプロテクト】のスキルスクロールを貰っておいて、それ以上は求めたくなかったんです」

「うむむ、そうか……」


 装備関連で少し気になるのは、帯刀さんの武器が未だにランク3であることだ。これまでの探索で【オートプロテクト】の有用性が異様に高いことが分かり、引け目を感じてしまったのか帯刀さんが武器珠ランク4・5を受け取ってくれなかったのだ。俺としては、気にせず受け取ってくれても良かったんだけどな……。

 でもまあ、帯刀さんの気持ちはよく分かる。貰いっ放しってのはなんか嫌なんだよな、だからいつも先頭を切ってモンスターに向かっていくのだろう。帯刀さんは引き際をちゃんと分かってる人だから、そこまで不安視はしていないけどな。




「………」


 第10層は、森の中の崩れた砦が戦いの舞台となる。その中心部に仁王立ちする、大柄なモンスターの姿を遠目に眺めた。

 ……ゴブリンジェネラル。本来なら第10層に初到達した時点で、俺たちが戦うべき相手はコイツだった。だが何の因果か、特殊個体であるゴブリンキングと先に戦うことになってしまい……その第一印象もあってか、ジェネラルがそこまで強敵には思えなくなってしまった。

 魔法が使えず、魔法耐性も無く、強敵には付きもののファイナルアタックも無い。【仲間呼び】で出てくるのは最悪でもホブゴブリン1体のみで、それすら低確率と聞く。仮にホブゴブリンが出てきたところで、俺たちからすれば大した脅威でもないしな。

 俺や九十九さんの魔法で焼くもよし、朱音さんと帯刀さんに斬ってもらうもよし、ヒナタのブレスで倒すもよし、アキの魔法霧で処理するもよし。ホブゴブリンなら、いかようにも対処できる。


 一方のジェネラルは、さすがに状態異常は通じないし九十九さんの魔法でも一撃では落とせないが……ただそれだけだ。大槍投げ攻撃のような要警戒の行動パターンこそあれど、それさえ気を付けていれば集中砲火で簡単に倒せる。




 さて。ジェネラル戦に入る前に、やるべきことをやってしまおうか。砦の中に入るまでは、ここは完全なる安全地帯だからな。


「"起動"」


 ここまでずっとオフにしていた、第二級陸上特殊無線技士の効果をオンにする。それからスマートフォンを見てみると、さっきまで圏外だったのが嘘のように"5G"という表記が見事復活していた。


「お、スマホが繋がったぞ。皆も見てみな?」

「あら、ホントね」

「……まさか、ダンジョンでスマートフォンを使える日が来るとは思いませんでした」

「ですです」


 事前に皆へ話はしていたのだが、どうやら好評なようだ。ランニングコスト(消耗していく魔力量)についても、自然回復量の方が上回っている。問題は無さそうだな。

 よし、試しに権藤さんへ電話を掛けてみるか。うまく繋がればいいが……。


――ピポパ……

――プルルル……プルルル……

――ピッ!


『おう、恩田探索者か。()()()()()?』

「第10層からです。どうですか、俺の声は聞こえてますか?」

『おう、よく聞こえてるよ。

 ……やるな、2時間程度で第10層へ行けるようになったのか。しかし、それだけ余裕がありながらなぜ第12層を目指さないんだい?』

「まあ、焦りは禁物かと思いましてね」


 当初は色々な要因が重なって、第10層までかなり駆け足で進んでいってしまった。その影響で特に装備品が貧弱なまま、ゴブリンキングに遭遇してしまっている。

 結果として、朱音さんが瀕死の重傷を負ってしまったことを考えると……ここで一旦立ち止まり、装備の充実と能力アップにじっくりと励む必要があると感じたのだ。

 それに、第11層からはモンスターの強さも跳ね上がるみたいだからな。ラッシュビートル以上に手強いモンスターがゾロゾロと出てくる以上、まずは第11層のモンスターとの戦いにしっかりと慣れておき、余裕ができてから先に進もうと考えていたのだ。


「ですが、今日はもう少し奥まで行ってみようと思います」


 そう、今日から新年度だ。装備もランク3以上で全て固め終わり、現時点ではこれ以上求めるべくもないほどに充実している。今回もラッキーバタフライは見つけられなかったが、ちょうど良いタイミングだしもう少し先まで足を伸ばしてもいいかもしれないな。


『そうか。着実に歩を進めてくれているようで、俺としてはなによりだ。その調子で、今後も無理せず頑張ってくれな』

「了解です」

『では、吉報を待っているよ』

――プツッ……


 権藤さんが電話を切ったのを確認してから、サッと操作して動画撮影モードを起動。レンズを前に向けたまま、スマホを胸ポケットに入れる。

 さあ、更なる深層を目指して出発……と、その前にまずはゴブリンジェネラル戦だな。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
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