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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第3章:流星閃き、道は拓く
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3−96:VSゴブリンキング(3)


『オヨビデ、ショウカ? ワガ、オウヨ』


 ゴブリンキングの【仲間呼び】により、全身を金属鎧で包んだ巨漢ゴブリンが現れた。若干たどたどしいながらも、ホブゴブリンよりよほどしっかりとした言葉を喋っている。

 ……なるほど、コイツはもしかして?


『余ニ逆ラウ愚カ者共ヲ血祭リニ上ゲヨ、()()()()()!』

『ショウチ、イタシマシタ』


 ゴブリンキングに一礼すると、身長3メートルを超える巨漢――ゴブリンジェネラルがどこからともなく大槍を取り出し、こちらへ振り向きながら構えた。その構えは堂に入っており、隙が全く見当たらない。


 ……最初にこの部屋へ立ち入った直後、ゴブリンキングがどこからともなく言い放ってきた恨み節。その中に、ゴブリンジェネラルがどうとかいう内容があった気がするが……そこから察するに、このゴブリンジェネラルこそが本来の階層ボスなのだろう。将軍(ジェネラル)というわりには筋骨隆々で、体力も腕力も技量もありそうだ。

 まあ、そんなボス級モンスターがゴブリンキングの【仲間呼び】で普通に出てくるとは、さすがに予想してなかったけどな。


「大きいゴブリン……」

「中々の威容ですね」

「強そうなのです。でもでも、私の魔法で倒してやるのです!」

「きぃっ!」

「ぱぁ」


 だが、俺の隣に並ぶ朱音さんと帯刀さん、後ろで元気な声をあげる九十九さん、そしてアキとヒナタも……全員が自然体だった。誰も、この唐突な強敵の登場に全く臆していない。

 いいな、やっぱり最高のパーティメンバーだよ、みんな。


――ゴゴゴゴゴゴ……

『グォォォォォォォ!!』


 壁が閉じられるのと同時に、ゴブリンジェネラルが雄叫びをあげる。中々の威圧感だ、これはグリズリーベアに並ぶか? さすがは階層ボスだ……うん?


――ゴゴゴゴゴゴ……


 再び、壁が小さくせり上がっていく。ゴブリンキングは【仲間呼び】でゴブリンジェネラルを呼んだばかりだから、まだクールタイムの最中なはずだが……いや、もしかして。


 ゴブリンジェネラルも、【仲間呼び】をするのか?


「「「「ギャギャ!」」」」

「「「「ギャッギャッ!」」」」


 通路の奥から出てきたのは、槍装備のゴブリンと弓装備のゴブリン……ゴブリンアーミーとアーチャーが5体ずつだった。数は少ないが、おそらくコイツらはゴブリンジェネラルに呼ばれて出てきたのだろう。

 それが、ゴブリンジェネラルの前にズラリと並ぶ。王に将軍に槍兵と弓兵……なかなか壮観な光景だな。


『サア、ユクゾ! グォォォォォォォ!!』

「「「「ギャギャギャギャギャ!!」」」」

「うおっと!?」


 そんなことを考えていたら、ゴブリンジェネラルの雄叫びに合わせてアーミーとアーチャーが騒ぎ始めた。まさか【鼓舞】も使えるのか!?


「………」


 これは、色々とマズイな。【仲間呼び】使用者が2体いるのも厄介だし、これは短期決戦に持ち込まないとマズイ。

 ……とにかく、まずはゴブリンジェネラルを早めに処理しなければ。アイツは一体、何が弱点なんだ……?


『オウノ、ゴメイレイダ。キサマラヲ、タオス!』


 ゴブリンジェネラルが大槍を右手1本で掴みながら、体を捻って思い切り振りかぶる。まさか、あの大槍を投げてくるつもりか!?


『……ヌォォォォォッ!!』

――ブンッッ!!


 その予想通り、ゴブリンジェネラルがムカつくくらいに綺麗なフォームで大槍を投げ付けてきた。風を切り、唸りをあげて迫りくる大槍には、ゴブリンキングのアイアンランスを数本束ねてぶつけたくらいの威力がありそうだ。


「盾展開!」

――ブォン


 あれをまともに受け止めては、凄まじい圧力が手元に掛かるのは間違いない。だからここは、防壁を斜めに展開して受け流す。


――ガッッ!!

――ドドドドドド……


 防壁に大槍がぶち当たり、防壁に沿って誰もいない方角へと受け流されていく。大槍はガリガリと地面を削りながら、最後は壁に当たって停止したようだ。


 中々の威力だったが、武器を失ってはさしものゴブリンジェネラルも戦闘力半減だろうと、そう思っていたのだが。ゴブリンジェネラルを見てみると、投げたはずの大槍を再び右手に携えていた。

 気になって振り向くと、壁際を転がっていた大槍が消えている……一体、いつの間に回収したんだ?


『ワガヤリハ、ナンドデモ、テモトニモドルノダ。ザンネンダッタナ、ニンゲンドモヨ』

「ああ、そうかよ!」


 ゴブリンジェネラルのニタリ顔がなんかすごくムカついた。その顔、すぐ泣き顔に変えてやるからな!


「食らえ、"ライ……」

『ッ!』

「「「「ギャッ!!」」」」

――ビュッ!!


 とりあえず、ゴブリンジェネラルの顔に雷撃でも叩き込んでやろうかと思ったところで……ゴブリンアーチャーが山なりに一斉射してきた。5体しかいないとはいえ、厄介なことに変わりはない。

 上から放たれる攻撃は、人間という生き物の特性上非常に避けにくいのだ。戦いは高い場所を取った方が有利、と言われるが納得だな。


「盾展開!」

――ブォン!

――カンカンッ!


「はっ!」

――トスッ!

「やぁっ!」

――パキッ!


 俺が防壁を頭上に広げて、亀のように矢を防ぐ一方で……降ってくる矢を事も無げに回避し、あるいは武器で払い落とす朱音さんと帯刀さんは間違いなく近接戦闘のセンスがあるのだろう。俺は決して持ち得ないものだ。

 ちなみに九十九さんはもっと距離を開けていて、完全に矢の射程範囲外にいる。【鼓舞】の影響か射程は少し長くなっているが、それでも届く距離ではないようだ。


――バサッ……


 ゴブリンアーチャーが次なる矢を番え直している一方で、アーミーが突撃の準備を始めていた。見れば、なぜかゴブリンジェネラルも槍を構えて突撃の体勢に入っている。

 アーミーはどうでもいいが、問題はジェネラルだ。あれに接近されて乱戦になるのが一番怖い。さて、どうするか……ん?


 そうか。俺、ちょうど今一番ゴブリン共に近い位置に立っているな。ならば、あれが使える!


「「「「ギャッ!」」」」

「今度はこっちの番だ、【ファイアブレスⅡ】!」

――ゴォォォォォォ!!


 右手を前に突き出し、炎を放つ。アーミーは突撃のため一歩踏み出し、アーチャーは次なる矢を番え終えたところに、俺が放った炎が直撃した。


「「「「ギャァァァァッ!?」」」」

『グッ……!?』

『ムッ……』


 燃え盛る火炎に包まれ、アーミーとアーチャーの断末魔が響き渡る。更にその後ろにいたジェネラルとキングにもファイアブレスは届き、まとめて炎で焼いた。




『グッ、コノ……!!』

『……フン、コノ程度カ』


 ……炎が消えたので、戦果を確認する。アーミーとアーチャーは全員光の粒子へと還り、ジェネラルは痛そう顔を歪めながらその足を止めた。どうやら、ジェネラルの魔法耐性はあまり高くないようだ。

 一方のキングはビクともしていないので、やはりと言うべきか耐性は相当高そうである。本体も【火魔法】を使うし、火属性は効かないと見た方がいいかな?


 ちなみに、さっきジェネラルにライトニングを撃とうとした時、びくっと一瞬身構えるような挙動を見せていた。アーチャーの射撃で中断させられたが、俺はちゃんと見ていた。

 そして、ジェネラルは金属製の全身鎧を着ている……それならば、弱点はやはり。


「"マジカルブースト"、"エンチャント・ボルト"。

 ……よし、いくぞ。"ライトニング・コンセントレーション"」

――ゴロゴロゴロゴロ……

『……ッ!?』


 雷属性付与魔法に加え、おそらくは初の魔法となる、魔法の威力を底上げする付与魔法を自身に掛ける。

 そうしてから、手持ちの中で比較的強力な【雷魔法】を唱えると……ゴブリンジェネラルの表情が、一瞬強張ったのが見えた。


 いや、ダメだろう。それじゃあ、こちらに弱点を教えているようなものじゃないか。ちょっと迂闊じゃないですかね。


――カッ!

――ドドドドドドドドドド!!!

『ガガガガガガガガガガッ!?!?』


 エンチャントと能力ブーストで威力を増した雷撃が、ゴブリンジェネラルの脳天を何度も直撃する。その度に、ゴブリンジェネラルの体が大きく跳ね……。


『ガフッ……』


 最後、25発目の雷撃で遂にゴブリンジェネラルが白い粒子へと還り、ドロップアイテムがその場に落ちる。だがゴブリンキングがいる手前、拾っている暇は無い。

 ……雷エンチャントを全て使い切って放ったのだが、空振った雷撃は0発だった。弱点を突き、魔法の威力を二重で強化し、手持ちの中では上位にあたる魔法を放ってもなおこれとは……ゴブリンジェネラルのタフさは、見た目通り相当なものがあるらしい。

 速攻で倒せたんだからいいじゃないか、と思われるかもしれないが……この一連の攻撃だけで、大体8%くらい魔力を消耗している。ゴブリンキングの【仲間呼び】でまたゴブリンジェネラルが出てくるかもしれない以上、あまり無視できる消耗量ではない。ゴブリンキングも未だ健在だしな。


『貴様、ジェネラルヲ一撃デ……!』


 おっと、ゴブリンキングのヘイトが俺に移ったか。射抜かんばかりの視線をこちらに向けてきている。

 ジェネラルには雷撃を複数発食らわせているし、その前にファイアブレスも撃ってるから厳密には一撃ではないんだが……まあ、そこは言葉の綾というやつか。


「ふん、ならばお前も、アイツと同じ場所に送ってやるよ!」

『抜カセ、小僧ガ!』


 おぉう、小僧と呼ばれたのは一体何十年振りのことだろうか。今年は俺も35歳、もうそんな歳ではないのだが……。

 そんなゴブリンキングのヘイトを一身に受けて、相対する。いい緊張感だ……さて、次はどう動くべきだろうか?



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
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