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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第3章:流星閃き、道は拓く
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3−94:VSゴブリンキング(1)


『サア、余ノ忠実ナル下僕タチヨ。武器ヲ手ニ取リ、余ノ前ニ集結セヨ!』

――ドンッ!

――ゴゴゴゴゴゴ……


 ゴブリンキングが、再度錫杖を地面に打ち付ける。すると、奥の壁の一部が音を立てながら小さくせり上がっていき……。


「「「「ギャギャギャ〜!!」」」」


 その奥から、大量のゴブリン共がワラワラと飛び出てきた。ざっと50体は居るだろうか、第4層ほどではないがすごい数だ。

 ……まさかこれ、ヤツのスキルか? モンスター名がゴブリンキングらしいし、配下呼びや【仲間呼び】みたいなスキルを持っていてもおかしくはない。


――ゴゴゴゴゴゴ……


 そして、ゴブリンが出きった後の通路は壁が下り、しっかりと閉じ直された。

 ……あそこから逃げられないかな、とも一瞬思ったのだが。もしあの先に通路が続いていたとして、そこで待ち受けているのはゴブリンキングに呼ばれるのを待っているモンスター共だろう。リスクが高い以上は、進むべきではない。

 そういう意味では、通路がずっと開きっ放しじゃないのは正直ありがたいところだ。開いた場所からいつまでもモンスターが出続けるような状態だと、いつかジリ貧に陥りかねないからな。


『サア行ケ! 下僕共ヨ!』

――ドンッ!

「「「「ギャギャギャギャ〜〜〜!!!」」」」


 錫杖を地面に打ち鳴らすと、ゴブリン共が棍棒を掲げて雄叫びをあげた。

 ……今、一瞬だけ魔力のような流れを感じたな。仲間を少し強化するスキル、【鼓舞】とか応援とかそういう名前のやつを持っているのかもしれない。


「"ライトニング・サークル・ダブル"!」

――ゴロゴロゴロ……

――カッ!


 さて、まずは出てきたゴブリンを速攻で処理しよう。こういうのは先制攻撃で、どれだけ敵の数を減らせるかが重要になるからな。

 そして、これは推測になるが……【仲間呼び】には、それなりのクールタイムがあるだろうと俺はみている。もしクールタイムが無かったら、【仲間呼び】スキルを連発されて部屋中敵モンスターだらけになってしまうからな……さすがにそんな狂った仕様にはしていないはずだ。


――ドゴォォォォン!!

――バヂバヂバヂバヂ……

「「「「ギャァァァッッ!?」」」」


 2筋の雷撃が迫りくるゴブリンの集団目掛けて落ち、そこから円状に電撃が2つ広がっていく。広がった電撃でさえゴブリンを仕留めるには十分な威力で、電撃を浴びたゴブリン共が次々と魔石に変化していった。


――バチバチッ!

『グムッ!?』


 ん? 広がった電撃がゴブリンキングにも少し当たったか。致命傷には程遠いが、それなりには効いているみたいだな……。




 ……よし、電撃が消えたか。討ち漏らしは10体ほどか、思ったよりはたくさん倒せたな。


『余ニ危害ヲ加エタナ! ソノ不敬、万死ニ値スル!

 業炎ヨ、反逆者ヲ骨ノ髄マデコトゴトク焼キ尽クセ! "フレイムボール"!』

――ゴゥ……ゴゥゥ……ゴゥゥゥ!


 そう思っていたら、ゴブリンキングが錫杖を掲げて【火魔法】を唱えてきた。俺の魔法攻撃に激怒しているので、いわゆるカウンター行動というやつだろうか。

 そして、錫杖の上でグングン大きくなっていく火の玉。俺の身長の5割増しくらいに大きな直径を持つ、巨大な火球へと成長して……って、おいおいちょっと待て!?


「デカすぎるだろ!?」


 階層ボスの特殊個体だから、当然強いとは思っていた。思っていたが、ただのカウンター魔法であの大火球を撃ってくるのかよ!?


『アノ世デ後悔スルガヨイ!』

――ビュゴウッ!


 錫杖を無造作に一振りし、大火球をこちらに投げてきた。大火球は風を焼くような音を発しながら、こちらに向けて迫ってくる。


「恩田さん、アキをお願い! アレは私が止めるから!

 ……さあ来い、炎よ!」


 火に弱いアキを俺に預けて、待ってましたとばかりに朱音さんが大きく前へと躍り出る。朱音さん自身は火属性完全耐性持ちだが、後ろに攻撃を通さないためか朱い大盾をしっかりと構えた。


――ボウッ!!

「「「ギャッ……!?」」」

――バゴゥゥゥゥゥッッ!!

「くっ……!!」

――ズザザザザ……


 軌道上にいたゴブリンを焼き尽くしながら、巨大な火球が朱音さんの盾にぶち当たる。その圧力は相当なもので、朱音さんは大火球に押されて10メートルほど後退したが……侵攻はそこまでだった。


「……気合い、いっぱぁぁぁぁぁぁつ!!! とりゃぁぁぁぁぁ!!」

――ボゴォゥォッ!


 朱音さんが大盾を力一杯押し込みながら、気迫の籠もった声と共に横なぎに振るう。すると、なんと大火球が明後日の方向に弾き飛ばされていった。


――バゴォゥ!!


 標的を失ったフレイムボールが、遠くの壁に当たって弾ける。倒したのは術者にとっての味方だけという、残念極まりない結果に終わってしまった。

 それを見たゴブリンキングの表情が、怒りで満ちていく。


『火属性耐性ノ盾ダト、小癪ナッ!』

「ふふーん、【火魔法】敗れたり! 私がここにいる限り、あなたの炎は絶対に通さないわよ!」

「図ニ乗ルナ、小娘ガ!」


 朱音さんが大盾を掲げて胸を張る。その挙動に、ゴブリンキングの怒りのボルテージが更に上がっていく。


 ……これまでに遭ったモンスターの中で、ゴブリンキングは最も賢いモンスターだ。人の言葉を喋るモンスターは初めてなので、そのことに関して間違いは無い。

 だが、誰が見ても分かるくらいに煽り耐性が低い。知能もプライドも高すぎるがゆえの弊害だろう。ヘイトコントロールがしやすいのはありがたいけどな。

 総じて、ゴブリンキングはテクニカルに戦うタイプの強敵と見た。魔法攻撃が特に強力ゆえ、ヘイトをわざと偏らせてダメージ管理を徹底し、隙を見て大技を当てていく必要があるだろう。【仲間呼び】や【鼓舞】が厄介なので、短期決戦を目指すのがいいかもしれないな。

 後で状態異常攻撃なんかも試してもらうつもりだが、多分効かないだろう。効いたらちょっとは楽なんだけどなぁ。


 そして、今はヘイトが朱音さんに集まっている。ゴブリンキングの視線はほとんどこちらに向いておらず、俺たちから完全に意識を外しているのだろう。せっかく呼んだゴブリン軍団もほとんど倒れてしまい、今ゴブリンキングの周りには3体しか取り巻きがいない。


「……帯刀さん、九十九さん、ちょっと相談」

「……なんでしょうか?」

「……です?」


 ゆえにこちらは、次なる一手に備えて準備を進める。【火魔法】(フレイムボール)を放ってきたということは、ゴブリンキングは火に強い代わりに水か氷に弱いはずだ。

 俺にはどちらも使えないが、【氷騎士】である帯刀さんならゴブリンキングに大ダメージを与えられるかもしれない。


「"エンチャント・アイス"、"プロテクション"」

――キンッ


 帯刀さんに防御魔法を付与し、更に氷属性のエンチャントを行う。これで、帯刀さんの攻撃力が底上げされるはずだ。


「俺たちで何とか隙を作るから、帯刀さんはあいつに死角から攻撃を仕掛けてくれるか?

 ……ただ、あいつがどんな攻撃をしてくるのかあまり分かっていない。危ないと思ったらすぐ退避、あとはヒットアンドアウェイでお願いな」

「……お任せください」


 帯刀さんは小さく頷くと、部屋沿いに大きく迂回するような感じで、ゴブリンキングの後ろに向けて動き出す。しかし、ゴブリンキングは朱音さんに目線が釘付けで、帯刀さんの動きに一切気が付いていないようだ。


「ぱぁ……」

「きぃ……」

「……ああ、そうだ。2人にもやって欲しいことがあるんだ」


 アキとヒナタにも、やって欲しいことを言い含めておく。


「きぃ」

「ぱぁ」

――バサリ……


 そうして、2人を空に送り出した。よし、仕込みは上々だな。


――ゴゴゴゴゴゴゴゥッ!

――バシュシュシュシュッ!

「あらあら、もう攻撃は終わりなのかしら? ザコの王も所詮ザコ、大したことはないのねぇ」

『グガァァァァァァ!! 余ヲ舐メ腐ルナ、小娘ガァァァッ!』


 ファイアボールの連射を防ぎ切った朱音さんが、ゴブリンキングを煽りに煽る。ノリノリで舌好調すぎるが、ゴブリンキングは煽りに対する反応がいちいち大きいので、ついからかいたくなるのかもしれないな。

 ……あれ、そういえばゴブリンがいつの間にか居なくなってるな? ファイアボール乱射に巻き込まれて倒されたか、ゴブリンキングってフレンドリーファイアを気にしないのな……。


『小娘、貴様ハ必ズ◯シテヤルッ!

 ……洗練サレシ魔法ノ鋼鉄ヨ、余ノ矛トナリテ敵ヲ穿テェェッ!!』


 ゴブリンキングが錫杖を掲げ、怒鳴るように詠唱文句を唱え始める。新しいパターンだが、鋼鉄、矛……なるほど、さすがは特殊ボス。攻撃パターンが実に多彩だな。


「朱音さん、多分だが【地魔法】だ! 鋼鉄の槍が飛んでくるぞ!」


 魔法で金属を作るということなら、俺のイメージ的には【地魔法】がピッタリくる。


「分かったわ!」


 俺の声掛けに、ソードスピアを上げて朱音さんが応える。地属性は誰も耐性を持っていないので、自力で防がなければならない。

 ……よし、ここは俺も!


「"プロテクション・ツイン"、そして盾展開!」

――ブォン

「"アイアンランス"!」

――ガガガガガガッ!


 俺と朱音さんに防御魔法を付与し、更に俺が防壁を展開したタイミングで……ゴブリンキングの前に魔法で作られた鉄が集まり、多数の槍が生成されていく。


 ……魔鉄の槍1本1本が丸太のように太く、俺の身長くらいに長い。先端は鋭く尖っていて、1本でも胴体に刺されば致命傷は免れないだろう。

 そんな魔鉄槍が50本ほど、穂先をこちらに向けて空中に静止している。凄まじい威圧感だ。


『サア、行ケ!! 余ニ逆ラウ愚カ者共ヲ蜂ノ巣にセヨ!!』

――ヒュッ!!

――ヒュヒュヒュヒュヒュッ!!


 風斬り音と共に、魔鉄槍が殺到する。大半は朱音さんの方に向かっていったが、一部は俺の方に飛翔してきた。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
本業?のダンジョン探索に注力すると新たな能力(資格)取得に割く時間がないのがネックですね。 ここは仲間を増やしてパワーアップかな。 税理士さんを仲間にすると、確定申告もバッチリで一石二鳥。
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