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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第3章:流星閃き、道は拓く
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3−84:装備更新は最低限とするか、常に最強装備へと都度更新するか……あなたならどちらを選ぶ?


「……誰もいないな」

「……ええ」


 第1層に入り、まずは辺りを見回す。同時にオートセンシングで探ってみるが、朱音さんとブルースライム以外に動くものはいない。

 それを確認してから、いつもの脇道へと入る。背負っていたリュックサックをそっと下ろし、その口を大きく開けた。


「ヒナタ、アキ、もう出ていいぞ」

「きぃっ!」

「ぱぁっ!」


 そこから、待ってましたとばかりに2人が元気よく飛び出してくる。

 ヒナタが俺の左肩、アキが朱音さんの右肩と、それぞれが定位置にたどり着いたところで……俺と朱音さんが、ほぼ同時に頭を撫で始めた。


「きぃぃ♪」

「お〜、すまんなぁ。大手を振って外を歩けるようにしたいんだけど、まだまだ早いみたいなんだ……」

「ぱぁぁ♪」

「暗かったけど、アキはよく我慢したわねぇ。偉いわ♪」


 頭を撫でられて、ヒナタもアキも満足げだ。ひとしきり撫でて俺たちも満足したので、ほぼ同時に手を止めて顔を見合わせる。


「さて、早速だけど装備の更新だけしとこうか」

「ええ、そうしましょうか」


 昨日のヘラクレスビートル討伐で、高ランクの装備珠を3つも拾うことができた。最近は強敵との遭遇戦が多く、また第10層のボス戦が間近に迫ってきているので、ここで装備を替えて戦力を確実に高めておきたいところだ。

 特に急務なのは、朱音さんの武器だろう。昨日は守りの固い強敵との戦いが続いたが、その戦闘内容を詳しく思い返すと、朱音さんの攻撃が全く通用していない状況が散見された。それはあまりよろしくないので、武器を更新して打開できないかと考えている。


「"アイテムボックス・一覧"」



 ☆


・装備珠(赤・ランク1)×23

・装備珠(赤・ランク2)×12

・装備珠(赤・ランク3)×1

・装備珠(赤・ランク4)×1


・装備珠(青・ランク1)×24

・装備珠(青・ランク2)×11

・装備珠(青・ランク3)×1

・装備珠(青・ランク4)×1


・装備珠(黄・ランク1)×22

・装備珠(黄・ランク2)×12

・装備珠(黄・ランク3)×2

・装備珠(黄・ランク5)×1


 ☆



 ……こうやって見てみると、随分とまあ貯まったもんだ。第4層の台座にもなかなか立ち寄れなかったし、今日のうちに低ランクの装備珠は変換しておこうかな。


「使えそうなのが、ランク4の武器珠、ランク4の防具珠、ランク5の装飾珠か……ああ、ランク3の装飾珠2つもいけるな。台座を使えばもう1個増やせそうだ」

「装飾品だけは4つ装備できるから、装飾珠はたくさんあっても腐りにくいのよね。

 ……でも、それで武器珠・防具珠と同じ扱いなのって、なにか違和感があるのよね」

「あ〜、確かにな」


 1人あたり1個で済む武器珠・防具珠に比べて、装飾珠は4個必要になる。いくら武器や防具の破損リスクが高いといえど、武器珠や防具珠はどうしても余りがちになるし、逆に装飾珠は不足しがちになる。3種の装備珠は全てドロップ率が均等なので、必然的にそうなってしまうのだ。


「ま、こればかりは俺たちにはどうしようもない。ダンジョンの仕様として受け入れるしかないな」

「そうね……」


 今は武器珠・防具珠・装飾珠と全て同じ価格で売れるけど、そのうち価格改定とかが入りそうだな。


 ……まあ、それはともかくとして、だ。


 手持ちの装備珠のうち、朱音さんにランク4の防具珠は不要だ。なにせ、朱音さんの防具は"朱魔銀の重鎧"、ランク5の防具だからな。俺はランク3の防具を使っているので、防具珠ランク4は自分で使おうと考えている。

 代わりに、朱音さんにはランク4の武器珠を使ってもらう。これは確定事項だ。


 装飾珠については、俺はランク5の帽子(ウォーターベレー)多分高ランクな盾(試製マジックシールド)を装備しているので、優先度が大きく下がる。朱音さんは盾がランク1のまま更新できていないので、穴埋めのためにも装飾珠ランク5は朱音さんに譲るつもりだ。

 で、朱音さんには装飾珠ランク3をもう1つくらい使って欲しいところなのだが……さすがにそれでは、公平感が損なわれてしまう。俺は気にしないが、朱音さんが気にするのだ。よって、使用個数を揃えるために装飾珠ランク3は俺が使う。

 以上をまとめると……。


「とりあえず、防具珠ランク4と装飾珠ランク3を1つは俺が使おう。朱音さんには、武器珠ランク4と装飾珠ランク5を使ってもらおうかな」

「え? でも、それだと私の方がランク高いし、貰いすぎじゃないかしら?」

「俺は朱音さんの活躍に期待してるから、未来への投資と思って使って欲しいな。朱音さんが頑張れば頑張るほど、俺の稼ぎの方が勢い良く増えてくわけだし……十分以上にペイできると俺は思ってるわけだ」

「………」


 またうまいこと言って……という、朱音さんの心の声がジト目に乗って飛んでくる。しかし返す言葉が見つからなかったのか、朱音さんは小さく溜め息をついた。


「……はぁ、これ絶対に断れないわよ。要は仲間の装備が充実すれば、自分にも十分な恩恵があるってことでしょ?」

「"信頼する"が抜けてるが、おおむねその通りだ」

「……そ、そう。なら、ありがたく頂戴するわ。このお礼は、戦いの働きでもって絶対に返すからね」

「無理だけは絶対にするなよ、ケガしたら元も子もないんだからな。そうなったら俺も悲しいし……」

「……わ、分かったわよ」


 しっかり釘を刺しておかないと、わりと勢いで無茶な行動をする時もあるからな、朱音さんは。ケガなんてされたら俺も辛いし、慎重かつ確実に成果を上げて欲しいところだ。


「"アイテムボックス・取出"っと。はい、朱音さん」

「ありがとう」


 アイテムボックスから取り出した装備珠をそれぞれ手に持つ。


 俺の場合、防具は普通にローブタイプのものになるよう念じるつもりだが……装飾品については、レガースを頭に思い浮かべつつ念じるつもりだ。

 装飾品の中でも盾と帽子は高ランク品で、ランク2のホーリィバングルはその効果が唯一無二のものゆえに替えにくい。そうなると、残ったフィアリルレガース (ランク2)を高性能なものに替えていくしかないわけだ。


(己が身を、引いては朱音さんを守る力を、俺にどうか貸してくれ)


 装備珠に強く念を送ると、2つがそれぞれ輝き始める。防具珠から生じた青い光は俺の胴体を、装飾珠から生じた黄色の光は足全体を包み込んだ。


――パサリ

――ガチャン


 元々纏っていたマジックダマスカスローブとフィアリルレガースが、装備から外れて地面に落ちる。代わって俺は、やや青みの強い色合いをしたローブと、薄く発光する白いレガースを身に着けていた。


「……おっ?」


 なんだか、体が少し軽くなったような気がする。敏捷性関連ならレガースの効果だろうか? ランク3ともなれば、何かしら特殊効果が付いていても不思議じゃない。

 さて、朱音さんの方はどうだろう?


「ソードスピア、軽くていいわね。手に馴染むし、やっぱり高ランクの装備ってすごいわ」


 ランク4の武器珠からは、更に青みが強くなった金属製のソードスピアが生成されたようだ。俺の新ローブと色合いが同じなのは、ランクが同じで材質が一緒だからだろう。どちらもフィアリル装備に色合いが似ているので、その強化版金属が材料として使われているのかもしれない。

 その辺りはまた、今日の帰り道にでも調べてみようかな。


「盾もすごく軽いわ。アイアンシールドより大きいのに……」


 ランク5の装飾品については、鎧と同じ深い朱色をした大盾となった。これまではアイアンシールド (ランク1)を使っていたわけだが、そこから一気に4ランクも上の装備へと様変わりしたわけだ。

 見たところ、大きさはアイアンシールドより二回り以上大きいにも関わらず、朱音さんは軽々と持ち上げている。盾自体が軽いのか、腕力増強効果があるのか、あるいは朱音さん自身が探索者として成長したからなのか。

 その全てが理由な気もするが、とにかくこれで朱音さんの攻撃力・守備力は飛躍的に高まった。今なら、ラッシュビートルが相手でも圧倒できるかもしれないな。


「おお、朱音さんすごく似合ってるな。なんでか分からないんだけど、やっぱり朱音さんにはその色(朱色)がしっくりくるんだよなぁ」


 そのうち、魔力やら何やらの影響で朱音さんの髪色が赤くなったりしてな。それなら朱色ももっと映えそうだ。

 ……いや、それだと九十九さんの髪が先に赤くなってるか。彼女にそんな気配は全く無いので、さすがの魔力も髪色にまで影響を及ぼすことは無いのかもしれないな。


「……むぅ」

「? どうした、朱音さん?」


 ふと、朱音さんが不満顔になっていることに気付く。急にどうしたんだろうか?


「ねえ、恩田さん。今、私じゃない誰か別の女性のことを考えてなかった?」

「うん? ああ、確かに。魔力で髪色が赤くなったりしたら映えるよなぁ、でもそれなら九十九さんの方が先に赤くなるはずだし……みたいなことは考えてた」

「彩夏ちゃんならオッケーよ」


 お、おう……なんか食い気味に許されたみたいだが。


「何度も言うけど、許可なく彩夏ちゃんは止めた方がいいと思うぞ」

「ゔっ、そ、そうよね……気を付けるわ」


 どうだかな。


「さて、"アイテムボックス・収納"っと。そろそろ行こうか、みんな」

「ええ」

「きぃっ!」

「ぱぁっ!」


 旧装備をアイテムボックスに仕舞う。装備を替える間、ヒナタとアキは頭の上に移っていたが、再び定位置に戻ってきた。

 そうして4人連れ立って、ダンジョンゲート前広場へと戻る。




「……あ、恩田さんなのです!」

「お久し振りです、恩田さん、久我さん」


 噂をすれば、なんとやら。

 前回、なんだかんだ成り行きで一緒に探索をした九十九さんと帯刀さんが、ちょうどダンジョンゲートを潜って入ってきたところだった。


 一旦ここで、恩田高良と久我朱音の更新後装備をまとめておきます。随分と間が空いてしまいましたが、ご参考に……。


※恩田高良

武器:マジックダマスカスワンド (ランク3)

防具:テンリルローブ (ランク4)

装飾品1:試製マジックシールド (ランク10)

装飾品2:ホーリィバングル (ランク2)

装飾品3:雷魔鉄のレガース (ランク3)

装飾品4:ウォーターベレー (ランク5)


※久我朱音

武器:テンリルソードスピア (ランク4)

防具:朱魔銀の重鎧 (ランク5)

装飾品1:朱魔銀の大盾 (ランク5)

装飾品2:フィアリルグリーブ (ランク2)

装飾品3:フィアリルアームガード (ランク2)

装飾品4:朱魔鉄の兜 (ランク3)



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
ここまで読んで、冒険パートと主人公たちの成長感はたのしかったですが、仲間パーティで親しくするのは見目の良い女性ばかり、相棒はすぐに主人公に好感を待つ美女。結局男性向けのご都合主義なんだなと思いました。…
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