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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第3章:流星閃き、道は拓く
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3−75:【闇魔法】の力


 ヘラクレスビートルを倒しきり、ホッと一息つく……には、まだ少し早いか。

 ヘラクレスビートルと取り巻きは倒したものの、他のモンスターが乱入してこないとも限らない。特にここは、ラッシュビートル共の巣窟と化していた巨木の真下……いつ、リポップしたラッシュビートルが下りてくるか分からない。


「"アイテムボックス・収納"、"アイテムボックス・収納"……2回か、やっぱり3桁いってたのかな?」

「………」


 最初に倒したラッシュビートルの分も合わせて、地面に散らばった大量のドロップ品は収納2回でアイテムボックスに納まりきった。この時点で、100個以上のドロップアイテムがあったことは確定している。

 ……目算で3桁、ラッシュビートルが100体は居ると大雑把に判断したけど、本当に100体以上がこの場に居たのかもしれない。それらの魔石の売値だけでも、ざっと9万円。朱音さんとの取り決めで75%が俺の取り分になるが、それでも6万7500円だ。ここに、道中で戦った他のモンスターからのドロップ益が入ってくるから……スキルスクロールを売らない場合は、俺の取り分は10万円ちょっとくらいになるかな?

 一昨日もそうだったが、1日でコレだと金銭感覚がバグりそうだ。お金がたくさんあっても、所詮は一般ピープルでしかない俺には手に余るぞ……。


「………」


 まあ、ラッシュビートル討伐に関しては完全にアキとヒナタの功績なので、魔石はなるべく2人にあげるとしよう。


「"アイテムボックス・一覧"」


 さて、どれだけアイテムが増えたのやら。



 ☆


・ラッシュビートルの魔石×3→104

・超重殻甲虫の大魔石×0→1


・装備珠(赤・ランク1)×11→18

・装備珠(赤・ランク2)×8→10

・装備珠(赤・ランク4)×0→1


・装備珠(青・ランク1)×13→18

・装備珠(青・ランク2)×5→8

・装備珠(青・ランク4)×0→1


・装備珠(黄・ランク1)×13→19

・装備珠(黄・ランク2)×7→11

・装備珠(黄・ランク5)×0→1


・スキルスクロール【突撃】×0→1

・スキルスクロール【羽音】×0→2


 ☆



「超重殻甲虫……」


 ヘラクレスビートルの正式名称か。確かに的確だとは思うが、ヘラクレスビートルの方が覚えやすいし、俺が正式名称で呼ぶことはほぼ無いだろうな。

 で、ヘラクレスビートルが落としたと思しきアイテムだが……しまったな、ラッシュビートルのドロップ品とごちゃ混ぜになってしまった。これだと、どれがヘラクレスビートルのドロップ品が分かりづらいな。


「………」


 ヘラクレスビートルのドロップ品は……確か、魔石・3色装備珠・スキルスクロール2つだったか。それを基に考えると……。


・超重殻甲虫の大魔石×1

・装備珠(赤・ランク4)×1

・装備珠(青・ランク4)×1

・装備珠(黄・ランク5)×1

・スキルスクロール【突撃】×1

・スキルスクロール【羽音】×1


 これが、ヘラクレスビートルのドロップ品になるだろうか。

 かなり豪華だが、あの強さを考えれば納得だ。たかが1体のモンスター討伐に全力を傾けて、それでもファイナルアタックを防げなくなって、朱音さんから使わない魔力を分けてもらってようやく勝てた相手……下手なボスモンスターより強いんじゃなかろうか。できればもう相手にしたくないな。


 ちなみに、【羽音】のスキルスクロールはもう1つあった。こちらはラッシュビートルのドロップ品だと思うが、さすがにラッシュビートルを103体も倒せば、スキルスクロールの1つくらいは落とすらしい。

 ……まあ、運が良かったと思っておこう。そんなことより、ずっと気になっていることがある。


「ふぁ……」

「………」


 ファイナルアタックの途中から、朱音さんがなぜかボーッとしている。心なしか顔を赤くして、焦点の合わない視線をぽけ〜っと宙空に彷徨わせていた。

 ……あ、青い線がまだ繋がってた。そういえば外すのを忘れてたな。


「"リリース・マジックスティール"」


 青い線を朱音さんから外し、魔法を止める。僅かずつ流れ込んでいた魔力が止まり、魔力回復速度がほんの少しだけ落ちた。


「あっ……」

「???」

「えっ、あっ、いっ、いえ、な、なんでもありませんわ、オホ、オホホホホホホ!?」


 青い線を外した瞬間、朱音さんが一瞬名残惜しそうな表情をしたかと思えば……次の瞬間には我に返り、顔を真っ赤にして悪役令嬢のような高笑いをし始めた。

 ……まあ、見て分かる通りの照れ隠しだろう。なんだか藪蛇になりそうだから、これ以上の詮索はやめておくことにしようかな。


「……さて、アキが寂しがってるかもしれないからな。アキを迎えに行ってから、下り階段のところで少し休憩しようか」

「え、ええ、賛成よ」

「きぃ」


 何事も無かったかのようにあえて振る舞い、アキを預けた木のオブジェクトの方へと戻っていく。ヘラクレスビートル戦に入る前に水と日光を用意しておいたのだが、アキの調子は戻ったのだろうか?


 木のオブジェクトまで戻り、()()の中を覗き込む。


「ぱぁ……♪」


 お椀の水をたっぷりと吸い上げ、日光を浴びて元気を取り戻したアキがのんびりくつろいでいた。すっかり空になったお椀の中で、たらんと(とろ)けたように脱力している。


「アキ、戦いは終わったわよ」

「ぱぁ? ぱぁぁ!」

――フワリ


 朱音さんがそっと右手を伸ばすと、アキは嬉しそうに朱音さんの右手へ跳び移る。


「"アイテムボックス・収納"っと。さて、少し階段で休憩を取ろうか」

「賛成、何もしてないのになんだか疲れたわ……」


 お椀をしまい、再び4人で来た道を戻っていく。モンスターの影は周囲に無く、下り階段はもうすぐそこだ。




「……はぁ、なんとか勝てたなぁ」

「……ホント、びっくりだったわよね」


 階段に座り、一息つく。心の準備はできていたとはいえ、強モンスターとの突然の遭遇は地味に神経を擦り減らしてくる。


「でも私、何の役にも立てなかったわ……試練の間でも、あまりモンスターにダメージを与えられなかったし」

「単に相性の問題じゃないか? 魔法攻撃に強くて、物理攻撃に弱い強敵がここまで居なかっただけだと思うけどな」


 インプの特殊個体とかは、物理攻撃に弱い感じのモンスターになりそうだけどな。強力な火魔法を扱い、魔法攻撃には滅法強いが物理攻撃にはあまり打たれ強くない敵……インプの特殊個体が想像通りの相手であれば、まさに朱音さん向きのモンスターだ。そうしたら、今度は俺が役に立たなくなるな。


「それに、最後のヘラクレスビートルの攻撃……朱音さんから魔力を貰わなかったら、あそこで俺たちは全滅してた。本当に助かったよ、ありがとな」

「……ねえ恩田さん、そのことなんだけど」

「ん?」


 チラ、チラとこちらを見つつも、視線をあちこちに彷徨わせる朱音さん。

 ……誤魔化せたかと思ったのだが、どうやらそうではなかったらしい。


「たまにでいいから、その、えっと、ね……」

「………」

「あの……その……」


 彷徨わせていた視線を俺の方に向けて、朱音さんが何かを言おうとする。だが踏ん切りが付かないのか、また視線を逸らしてあちこちに彷徨わせている。

 それを何度か繰り返していたが、俺は決して急かさず、焦らず……やんわりと朱音さんを見ていた。こういう時にジッと見つめてしまうと、強いプレッシャへと変貌してしまう。

 ゆえに俺は、朱音さんが次の言葉を紡ぐまでそっと待ち続けた。


 やがて、意を決したのだろう。朱音さんが、とても真剣な表情で俺と向き合った。


「……私の魔力をね、たまにでいいから吸ってくれないかしら?」

「……うぉう」


 顔をほんのり赤くしながら、そんなことを朱音さんが(のたま)った。

 ……いやまさか、朱音さんからそれを頼まれるとは、思ってもみなかった。あれ、あまり人に見せたい姿ではないんじゃないか、と思ったからな。それを全く(いと)わないということは……これは、朱音さんからの信頼の証と受け取ってもいいのだろうか?

 朱音さんとは、まだ出会って1週間も経っていないのだが……なんというか、もう1年以上は一緒に行動してるみたいに、お互い馴染んでる感じがするんだよな。不思議なものだ。


「あ、へ、変な意味じゃないのよ!? えっと……そう、デトックス的な!? そうそう、そんな感じなのよ! ええ!」

「いや、まあ……朱音さんが望むなら、俺は全然構わないが?」


 悪い気は全くしないが、かなり照れくさい気分だな。


「……で、どうする?」


 話の流れを変えようと、何気なくその一言を発した後に。


「………!」


 しまった、と後悔した時にはもう遅かった。

 ……俺は"この後の探索はどうする?"という意味で聞いたのだが、言葉が足りなかった上にタイミングも良くなかった。この場面で俺にそう問われれば、朱音さんは当然そういう解釈をするに決まっている。


「…… (こくん)」


 だから、朱音さんがそっと頷いて、首筋の服そっとずらしてきたのなら……。


「……"マジック・スティール"」


 応じなければ、恥をかかせてしまうじゃないか。




「ぱぁぁ♪」

「きぃっ!」


 ちなみに、その辺の機微が全く分かっていない様子のヒナタとアキ。2人は『仲良いね』『そうだね』と、楽しげにこちらを見ていた。



◇□◇□◇読者の皆様へ◇□◇□◇


 なろうに数多ある小説の中から、私の小説を読んで頂きまして誠にありがとうございます。


 読者の皆様へ、作者よりお願いがございます。


 皆様の率直な判定を頂きたいので、ページ下部より☆評価をお願いいたします。

 ☆1でも構いませんので、どうかよろしくお願いいたします。

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魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
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これは言わざるを得ない 実セ
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