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【資格マスター】な元社畜の現代ダンジョン攻略記  作者: SUN_RISE
第2章:朱き飃風は母を想いて舞い踊る
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2−4:恩田さんは変わった人(朱音視点)

 少し短いですが、朱音視点です。なぜ、彼女がダンジョン探索者になろうとしたのか……その理由を、ちゃんと書いておくべきだと思いましたので。

 何となく探索者になった恩田とは違い、彼女には明確な目標があります。



(朱音視点)



 正直、最初は男の人かと警戒していました。いくら誠実そうな方といえど、いつ豹変するか分からないからです。

 ダンジョン内は無法地帯……そう、父から聞いていましたので。実際に、死亡事故とやらの大半は事件の可能性が高いそうですし、それ以外の()()もかなりの件数発生しているそうです。父もだいぶ頭を悩ませているようでした。


 あともう一つ、私が男性を警戒する理由があります。

 私のコンプレックス……大きな胸。何もしていないのに、男性からは卑猥な目で見られる。別に欲しくなかったのに、と言ったら下品な罵声を浴びせられたこともあります。

 だから、私は私の体が嫌いになりました。普段もなるべく小さく見えるよう胸を押さえ付けていますが、それでもよく男性からの視線を感じます。

 この男性も、無遠慮に私の胸を見てくるような、そんな方なのではないかと考えていました。


 ……ですが、私の懸念は良い意味で裏切られました。

 この恩田高良さんという方、会ってから一度も私の胸に目線が行きません。意識的に視線を向けないようにしている様子ではありましたが、それはそれで理性が非常に強い方なのでしょう。

 私は、女にしてはやや身長が高いです。175センチはあるでしょうか。恩田さんも同じくらいですから、普通に前を向いたら普通に目が合う……それを徹底しているように、私には見えました。

 それに、年齢を笠に着ない方でもありました。私より明らかに恩田さんの方が年上なのですが、敬語はいらないと言われたので砕けた口調でお話してみたところ、満足そうに頷いておられました。私が知る年上の方に、このような方は今までいませんでした。

 成り行きで一緒にダンジョンを探索することとなりましたが、恩田さんからは嫌な感じが全くしませんでした。本当に不思議な方です。


 ……それはそれとして、ダンジョンゲートをくぐる時のあの感覚、どうにかならないのでしょうか? 体の芯を揺さぶられるような、得も言えぬあの不快感にとても慣れられるとは思えません。まあ、だからこそ気持ちを切り替えてダンジョン探索に臨めるのかもしれませんが。


 さて、恩田さんはダンジョンに入ってからも紳士的でした。私が少し先走ってしまい、ブルースライムの酸で武器をダメにしかけた時も早く教えてくださったお陰で、あまり武器を損耗させずに済みましたし。第2層に入った直後、ホーンラビットに遭遇した時は恩田さんがお手本を見せるように先に戦ってくれました。まだギフト込みの動きに慣れていない私への気遣いを感じました。

 私に前を歩かせるのを躊躇う場面もありました。そこが一番危険なポジションだということはおそらくお互い分かっていたので、恩田さんは自らが前に行くべきか、重装備の私に任せるか少し迷っているようでした。最終的に私が押し切りましたが、そうでなければ恩田さんが確実に前を歩いていたでしょう。

 この時点で、恩田さんとはまだ会って1時間しか経っていませんでした。それでも、私が抱く恩田さんに対する第一印象は非常に良いものがありました。


「げふっ!?」


 だから、そんな苦しそうな声が後ろから聞こえた瞬間。私は振り返って駆け出していました。恩田さんがモンスターに襲われていたことに気付く、その前に。

 ブラックバットを倒して【闇魔法】のスキルスクロールがドロップした時も、私に使うかちゃんと聞いてくれました。恩田さんが使うべきだと返すと、今日の取り分を全て渡すとも言ってくれました。売れば値段が億を超える可能性が高いと聞いて驚きましたが、スキルスクロールがそんな品であることを隠さずに打ち明け、真摯に対応しようとする姿に感銘を受けました。


 ……私はチョロい女なのでしょうか。ほんの少し、一緒にダンジョンへ潜っただけの男性を少しずつ信頼し始めているなんて。それでも、これほど誠実さを感じられる男性に今まで会ったことがないのも、また事実です。どこか作り物めいた誠実さモドキを醸す人なら、今までたくさん会ったことはありますが。

 気が付けば、私は正式にパーティを組むことを恩田さんに提案していました。唖然とする恩田さんを見て、つい慌てて撤回しようとして……どうやら恩田さんの中で処理が追い付いていなかっただけのようで、あっさりとOKを貰えました。

 更に、それではフェアではないからと色々な秘密を教えてくださいました。

 【空間魔法】、アイテムボックス、ラッキーバタフライ……特に、ポーションのことには驚きました。致命傷や不治の病すら一瞬で治し、奇跡の秘薬と言われるポーション……それを、恩田さんは持っていると。


 ……それがあれば、母の病気もきっと……。


 ですが、今それを恩田さんに伝えるわけにはいきません。恩田さんのことですから、正直に伝えればポーションを譲ってくれるのでしょう……しかし、それは最後の手段にしたい。

 『自らの手で道を切り拓け』、それが我が家の家訓です。まずは、自身の手でポーションを探す努力をしたい。

 そのために、私はダンジョン探索者になったのですから……!



 まずは、最低限の目標としていた10話目に到達しました。どうにか1ヶ月、遅筆な私ですが3日毎の投稿を続けてこれました。


 皆さん、よろしければ高評価とチャンネル登録……じゃなかった、評価といいねを頂ければありがたいです。


 どうか、よろしくお願いいたします。

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↓新作始めました
魔法に傾倒した大魔法士、転生して王国最強の魔法士となる ~ 僕の大切に手を出したらね、絶対に許さないよ? ~

まだ始めたばかりですが、こちらもよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
後出しになってしまうがスクロール代としてポーション譲ってもらってもいいと思うけどね まあ、緊急時の備えとして今の手持ちはそのままで新たに出たらそれを譲ってもらうでもいい 正直主人公にスクロール使わせた…
[一言] 大きいと辛いよね 走ると痛いし、視線集めるし、こんなに要らないと愚痴れば無い人達はキレるし、汗疹出来るし 一番キツイのは下着がサイズが無い、高い。 嫌だわぁ( ;∀;)。
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