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「……。」

「今日もすごく綺麗だった!僕はラッキーだな~!こんなに上手い人の踊りを毎日見られて、いろんなところに行けて!」

「……。」

「朝できなかった分、夜もやる?それとももうキャンプの場所探しにいくー?」

「……あのさ」




あれから、お昼すぎと夕方、2回踊った。

いつもの通り、いやいつも以上に観客は多かった。もちろん今日の稼ぎも。

そしてさすがに、頭の良くない私でも気づく。


「おんなじ紙袋持ってる人がすごくたくさんいた」

「あ、見た見た!ピンクのロゴのやつ!」

「どこか沿線で、大きな市があったんだよね、きっと」

「そんな気がする!」

「知ってたんだよね?」

「んー?市があるのはどっかで広告見たかも!」



思い返せば、この青年がパフォーマンス場所の誘導をしてくれることが多かった。例えば同じ広場内でも今日なら右の角より左の角。この日はこっちの広場より隣の公園。

今回ほどあからさまなことはなかったけれど、きっと毎日全部、彼は集客により良い場所を考えてくれていたのだ。


「言ってよもう……ありがと」

「えー?」


とぼける彼に、肩の力が抜けていく。

もうずいぶん長いこと、ひとりで進んできたこの旅路。なんだかんだ、肩肘はって生きてきていたらしい。


「今日はもう終わりにする。君のおかげでたくさん稼げたし。おいしいもの、食べに行こ」

「何言ってんの!踊りが綺麗だったから、の対価でしょ!おいしいの食べるのは賛成だけど!」



うきうきという音が聞こえてきそうなほど、楽しそうに笑う彼が眩しく見えた。

王子って、なんだっけ。とりあえず、この人はすごくいい人。そんな気がした。



















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