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セブン・リングス  作者: しおばな
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不法乗船

ガレは海の上に立っていた。


アメンボみたいに足の裏が海の水を弾いてその場に立っている。波の影響を受けるようで体が上下にゆらゆらと揺れているが海に立っていた。


「嘘だろ……」

「どうよ?これがリングスの秘技、海渡り!ってもリングスだけじゃなくてジェムスにもできる!つまりお前も出来る!はずだ!」

「…はず?」

「とにかく来てみろって」


ガレはルーに手を差し出した。


「さぁ」


ルーは緊張しながらも海へと飛び込んだ。すると、ガレと同じように海に立てた。波で揺れてひどく不安定だが立てる。


「すごい」


こんなことが出来るなんて知らなかった。足を上げて足の裏をみると靴底が真っ黒だった。ただ黒いだけじゃない、すべてブラックオパールの原石になっている。


「これが原石の力…ブラックオパールの力なのか」

「いや別にお前固有の力じゃないぞ。ブラックオパールの力じゃない。ジェムスやリングスなら誰だって出来る。やろうと思えばな」


ガレはそう言うと海の上を歩きだした。ルーは急いでそれについていこうとしたが、波がくるたび足場が揺れて上手く進めない。たいして高い波じゃないのに。


「ぜ、全然歩けない」

「最初は波の揺れでまともに歩けないよな。けど溺れないし慣れれば走れる」


遠くで船の汽笛が聞こえる。船がでるのだろう。ガレはルーの手をとり強引に走りだした。


「急ぐぞ!」

「えっ!?」

「船がでる!」

「船がでるからなんなんだよ」

「乗船すんだよ!海を走って!」

「はあ!?」

「海の上を歩いてたら何日かかるかわかんねえからな。海上から強引に乗船する!」

「いやいやいや普通にチケット買って船に乗れば良かったじゃん!!!」

「だーかーら!俺は14だから渡航できないんだよ!これしかない!」

「お前まさかこの方法でロストダリアに来たのか!?」

「意外とバレないぜ不法乗船」


ガレは思いきり走りだした。水上バイクのようなすごいスピードで。ルーは小さい子がもってる人形みたいにブンブンと振り回された。


ガレが走るとそこから新たな波がたち、サーフィンを楽しむ地元のサーファーたちが喜んでこちらに手を振っていた。


ルーはそれどころではなく手をふり返す余裕もなかった。


やがて船に近付くとさらに猛スピードをだし大きな波を発生させた。船が転覆しないレベルの波。


ガレは波が船に被るタイミングでどさくさに紛れてうまいこと乗船した。


他の乗客は急な波にはしゃいだり驚いたりしていて二人が乗り込んできたことには気がついていなかった。


「はぁはぁ、ははっ!な?うまくいったろ?」

「な、何考えてんだ、ぉ、おまえ…。強引にもほどが…うっぉえ」


全身ビチャビチャの状態で船上に横たわるガレは豪快に笑っていた。ルーはいきなりすごいスピードでぶん回された影響で酷い船酔いのような状態になっていた。船に乗ってないのに。


そんなこんなでジーランド行きの船に無事乗船した二人。ロストダリアからジーランドまでは船で24時間。


そこにいるセブン・リングスはどんなペアなのだろか?



‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡



ジーランド諸島/南西部エストコースト


「ねえリリー」


濃い褐色肌に淡緑色の髪をした少女が波止場に腰かけて海を眺めていた。


「ロストダリアってどんなとこかな?」

「さぁね。乾燥してて岩ばっかだって聞くけど。行ったことないからわかんない」


隣には同じく褐色肌で金髪の少女が立っていた。かなり背が高くガタイもいい。


「宝石商のやつらが言ってたでしょ。シルバーのリングスがロストダリアへ向かったって。ペアを見つけるため?」

「そーかもね。それか私達と同じかも」


金髪の少女はニヤリと笑った。薄緑色の髪の少女は笑い返した。


「7つの輪が揃ったとき、この世を覆す力を手にするだろう」


少女はセブン・リングス伝説の一説を口にした。


「それを手にするのは私達よね?リリー」


金髪の女はさらに笑った。


「そう。この世界を覆すのは私達だ」


2人の少女の薬指には指輪が光っていた。

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