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セブン・リングス  作者: しおばな
29/30

押し付けられた性

無意識のうちに手を伸ばしていた。気がついたときには掌に銀があった。


冷たくて重い


これがノアの心の金属。ガレと同じ銀なのに全然違う。ゴツゴツとしたガレのと違ってつるりとした楕円形の銀。加工しような形だった。


「ねえ、触ってよ」


ノアはルーの耳元で囁いた。さっきまでの落ち着いた雰囲気とはまるで違う声。息が荒く興奮しているような…。


「あ、でも…」

「大丈夫」

「その、さすがに金属を触わるのは」

「ペアでもない奴の金属を触るのは抵抗がある?」

「…いや、その」

「いいじゃない。触るだけだ。ルーが僕にどう触れるか興味があるだけなんだ」

「拒絶反応があるかもしれないし…」

「あったらもう君の掌は焼け爛れてるよ」


ノアはルーの背後に回り込みバックからバグするように座り込んだ。ノアの足の間に挟まれて身動きがとれない。


「いやなら逃げてもいいよ。本気で抵抗すれば逃げられるだろう?君の力なら」


ノアはルーの耳元で囁き続けた。 両手に握った銀が熱くなってくる。もう掌は汗でグチョグチョだった。ルーはどうしていいかわからずノアの金属を握ったままでいた。


「擦ってみて。それだけでいいから」


ノアの声は低く、欲望を直にぶつけられているような感じがして妙な気分になる。雰囲気に流されてルーはノアの言うことを聞いてしまった。


ルーは汗まみれの掌で控えめにノアの金属を擦った。


「ん、そんな触りかたをするんだね」

「…っ、もういい?」

「いやまだだ。もう少し続けて」


触っていくうちにノアの金属は柔らかくなり変形していった。掌サイズの楕円形から徐々に大きくなり、縦に長い棒のようになっていく。もう両手でしっかりと持たないと落としてまうサイズだ。金属が変形するところなんて始めてみた。ルーはなんだか怖くなってきた。触れるたび変形する金属。何か得たいの知れない恐怖感がある。


「これでいいのか?」

「はぁ、はぁ、イイよ、ルー」

「……っ」

「もっと激しく擦って」

「うっ」

「アッ…イイ…もっと、激しくっ」

「ノアっ、もうやめ…」

「ん、待って、もう少し…ハァハァ」

「…っっ!やっ」


ノアの息はどんどん荒くなり、ノアの銀はどんどん硬くなっていった。ルーが怖くなって手を離そうとすると、上からノアが手を重ねてきて再び肥大した銀を握らせた。


「ノアっ」

「ああっ…イイ、いいよルー、んっ、もう少しだから、ねっ?イイ子だから」

「なに?これっなんでっ…こんなこと」


ルーは半泣きになっていた。ノアはその顔を見下ろして更に息を荒くしていた。ルーの背筋にゾクッと悪寒が走る。


「そんな顔しないでよ…なぁルー…そんな顔されたら俺……我慢できないよ…」

「なんだよ、我慢て、あんた一体」

「せっかく我慢してたのに…」


ルーの掌を無理やり上下に動かし激しく銀を擦る。銀はどんどん熱くなっていく。摩擦熱とはまた違う、その熱さを掌でダイレクトに感じる。


硬い。熱い。


「ハァハァハァハァ」


ノアの息が耳にかかる。ルーはノアに後ろからホールドされたまま無理やり銀をシゴかされていた。そしてルーの手の動きに合わせて臀部に硬いものが擦り付けられた。


異常者だ、こいつ、狂ってる


ここまでくればルーにも事態が飲みの込めた。ノアはルーに自分の金属を触らせて性的に興奮しているのだ。


やっていることは金属を擦っているだけだが無理やり性行為を強要されているような感覚。そして実際こいつにとって、この行為は性行為の一貫なのだろう。


「アッ、イイっ、もっと先っぽ触って」

「うっ」

「はやく、もう、我慢できない」

「うう」

「焦らさないでっ、ルー」


ノアはルーの耳を舐め回しながら更に腰を押し付けてきた。もう遠慮なしにルーの臀部に自分のを押し付け腰を振っている。


ルーは早く終わらせたい一心で涙めのままノアの銀を扱き、先っぽを人差し指でグリグリと触った。


「あああ~、アッ、でるっ、でるよ、ルーの、掌にっ、んぁあ、ぁあア…」


盛大な喘ぎ声と共に銀は一旦ギュっと硬くなりそして柔らかくなった。同時に押し付けられたノアの腰がビクッと跳ねがり彼が絶頂を向かえたことがわかった。


「はぁはぁはぁ…すごく良かったよルー」


ノアは恍惚とした表情で労るようにルーに話しかけてきた。


気持ち悪い、なんだこいつ

なに、なんでこんな


混乱して思考がまとまらない。浜辺で偶然出会って打ち解けた青年に突然こんなことをされるなんて想像してもみなかった。


「ごめんね。僕たまに自分の欲望を抑えられなくなるんだ」


ノアはルーから離れて何事もなかったかのように紳士的な態度で接してきた。そして放心するルーの左手に何かを嵌めた。


「お詫びの印にこれを君にあげる。昨日お土産物屋で買ったんだ」


それは指輪だった。ダリア鉱石の指輪だ。ロストダリアでルーが加工した後、カレトリアに輸出されて、クロエのお店で売られていた高価な指輪…。


ノアは再び耳元で囁いた。


「それを見たら僕のことを思い出してね」


笑いながらそう言い残しノアは去っていった。




ルーはしばらくぼーっとしていた。


その場に座り込みノアが去ったあとの浜辺をずっと見ていた。打ち寄せる波の音しか聞こえない。静かな夜だった。


しばらく時間が経ってから浜辺を見るのをやめ、前を向き海を見た。


遠くに船の明かりが見える。


それを合図にルーは正気を取り戻し、弾かれたように立ち上がり宿へ走った。


「ハァハァハァハァ」


息が切れる。心臓が止まりそうになる。でも走らなければ。逃げなくては。時折振り返って後ろを見る。誰もいない。


誰にも追われていないのに恐怖に追いたてられる。


宿に着くとまず鍵を締めた。それでほんの少しだけ恐怖は和らいだ。一目散にシャワーへ向かい服を脱いで震えながら体を洗った。


いくら洗っても取れないぬめりのようなモノが体にまとわりついている気がする。


シャワーからでて初めて着替えがないことに気がついた。仕方がないので備え付けのバスローブを着て髪も乾かないうちにベットに横になった。


このまま眠って忘れよう。ルーはそう思った。運悪くリングスの変質者に絡まれただけだ。早く忘れよう…


けど、ルーは眠れなかった。そしてふと原石を磨かなければと思った。強烈なストレスがかかったのだから、原石は相当曇っているはずだ。


ルーはふらふらとバックの中から磨き布を取り出し再びベットに横になり原石を磨こうとした。


そして自分の原石が全く汚れていないことに気がついた。曇りひとつない。


「え、なんで…」


ルーは混乱して汚れていないオパールの原石を強く擦って磨いた。


「嘘だ、そんな」


磨いても磨いても変わらない。必死で自分の原石を磨いているとさっきまでの出来事が頭を過った。


ルーは原石を磨きながら性的に興奮している自分に気がついた。これではまるであの変質者と、ノアと同じではないか。


激しい自己嫌悪に陥り原石を磨くのをやめた。だが性的な興奮状態は治まらない。


「うぅ」


その夜ルーは耐えきれずに自慰をした。ルーはもう16だし今までだって何度もしたことはある。けれど今日のは今までとはまるで違った。


何度かシた後で手を洗いにいった。その時、初めてノアに嵌められたダリア鉱石の指輪の存在を思い出した。


ルーは指輪を外し、ゴミ箱に捨てた。

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