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セブン・リングス  作者: しおばな
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ノア

岩盤が壁となった不思議な空間。


一見洞窟のように見えるが、岩壁には精密機械が埋め込まれており空調も効いている。


そこに一人の青年がいた。


男は艶のある黒髪に冷たい銀の瞳をしている。とても美しい青年だ。上等なスーツを着ていて、革靴を履いている。


男の左の薬指には指輪が嵌められている。


椅子に腰掛け足を組み、指輪を触りながら何かを考えている。


「失礼します」


岩壁が動き自動ドアのように開くとメガネをかけた白衣姿の中年の男性が資料を手に青年に話しかけた。


「ビルダー様。セブン・リングスの件について新たなご報告があります」


ビルダーと呼ばれた青年はゆっくりと振り返り微笑んだ。


「うん。聞かせて」


中年の男性はその笑顔に思わず顔を赤くした。同性であっても見惚れるほどの美しさが青年にはあった。


「ジーランド諸島に滞在していたリリー/メア、ガレ/ルーのふたつのペアがニウ・カレトリア向かっています。今朝出港の船に乗船したので明日にはカレトリアに到着するかと。そこで旧大陸のセブン・リングス、フレッド・リングバードと接触すると思われます」


青年は穏やかな表情で報告を聞いていた。


「4人が予測通りの行動をとればすぐにロストダリアへ向かうでしょう。あくまで予測ですので正確な時期はわかりませんが…」

「別にいいさ。正確な時期なんて知る必要がない。いつ来ようが同じことだ」

「…左様でございますか。…それともうひとつ。旧大陸からこちらへ向かっていた船でトラブルがあったらしく…ナオマサとユエが船を降りそれぞれ単独でロストダリアを目指しているようです」

「そう」


青年は穏やかな表情を崩さない。


「心配しなくても彼らはここへ来るよ。1人も欠けることなくね。遅かれ早かれ彼らは結末を知る。ここに来るしかないんだと」


中年の男性は悲しげな表情で青年を見つめると答えた。


「その通りでございます」

「これからも観測をお願いね、ロジ」

「はい。ビルダー様」


青年は苦笑した。


「ねえ、またビルダー様呼びになってるよ?その呼び方やめてよ。ノアでいい。呼び捨てが気になるならノア様でいいよ」

「失礼致しました。長年の癖になっておりまして。ではノア様。私は観測に戻らせてきただきます」

「うん」


ロジ去ったあと。岩で出来た空間は不自然なほど静まり返っていた。


ここはロストダリア中央にあるエアル山。


見事な台形をした岩山は古くから聖地とされ、立入禁止区域となっている。


その実態を知るものはいない。

今は、まだ。


ノアは視線を上げそれを見た。


そこには宝石で形成された女性の身体があった。青とも黒ともとれる不思議な色合いの宝石。それは岩壁と一体化していて、腕や足は岩壁に埋め込まれている。


一見すると宝石を切り出して掘られた美しい女性の石像。単なる壁の装飾に見える。


しかし、それは彫刻ではない。

石像でもない。

装飾品でもない。


それは…


「ねえダリア」


ノアは女性に話しかけた。


女性の名前は、ダリア。


「ロストダリアの呪いはいつまで続くんだろう」


ノアは指輪を触りながら足を組み直した。


「セブン・リングスさえ揃えば」


指輪には黒い宝石。


「石を宿す全ての者が解放される」


ノアは何かに想いを馳せていた。


「君も、僕もね」

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