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宴会①

 夕食のバイキングの割当て時間になった。

 宿泊客全員を同じ時間に食べさせる訳ではなく、セルフサービスである事から混雑防止のため、客の食事時間が違うらしい。

 

 有希の服装は、白いダボっとした長袖シャツに、水色のデニムジーンズだ。

 何を着ても可愛い。

 これで安心して酒が飲める。

 

 俺達は席に着くと、早速それぞれ好きな物を取りに向かった。

 中でも1番食べたかったのはローストビーフだ。

 海が目の前であるから、寿司や刺身も勿論食べたいが、安いビュッフェとかバイキングにはローストビーフはあまり出て来ないからだ。

 うん、ここのローストビーフは中々イケる。

 いつか帝国ホテ○のローストビーフを食べてみたいなぁ…高いけど。

 飲み放題でもあるため、ビールをジョッキで飲む。

 うむ、美味い!

 有希も美味しそうに食べている、良かった。

 

 「有希はお酒飲んだ事あるの?」


 「ううん、無いよ。

 あ、でもお婆ちゃんがあんまり美味しそうに飲んでるから、ビールを1度ひと口もらって飲んでみたけど、美味しいと思わなかった。」


 「まぁ、もし飲んでみたいと思っても、外では絶対に飲まないでね。

 ヘンな男に酔わされて襲われたり、急性アルコール中毒になったりするかもしれないし。

 特にこの後宴会場に行っても飲ませられない様にね。」


 「はーい、気を付けます。」


 俺達は夕食を満足するまで食べた後、宴会場に向かった。   


 ホテルの従業員にSBTの宴会場の場所を聞き出し向かったところ、襖が閉まっていたが結構盛り上がっている様で、ガヤガヤと騒がしい声が中から聞こえる。


 俺はコッソリ襖を開けて中を覗き込むと、誰もコチラには気付かない様だ。

 オッサ…オネェ様は何処に居てもすぐ判る。

 俺達はコソコソとオネェ様に近付くと声を掛けた。


 「アラ、よく来たわね、まぁ飲みなさいよ。

 好きな物頼んで。」


 俺達はサイドテーブルにあったビールや焼酎や日本酒やジュースを勝手に漁りジョッキに入れるとオネェ様の元に戻ってカンパイする。


 「早速だけど、貴方達結構年齢差があるわよね、どうやって出会ったのよ。」


 有希と話し合った結果、悪い人じゃ無さそうなので、全て正直に話す事にした。

 するとオネェ様は、


 「エーッ!!スゴイじゃないの、事実は小説より奇なりって、ホントよねー!

 有希ちゃん、大変だったわねー。

 オネェさん泣けてきたわ…

 それに、真之もいい男ね…

 アンタはホント、顔じゃ無いわ…魂がいい男なのよ…。

 アタシ、惚れちゃうかも…。」

 

 クッ…名前を覚えられてしまった…。


 「チョット、前田さーん!」


 オネェ様は40代くらいのぽっちゃりした女性を呼び付けた。


 「コチラはね、シナリオライターの前田さん。

 ドラマって原作が元々あったモノを作る時もあるけど、プロデューサーとシナリオライターが話し合ってオリジナルストーリーを作る時もあるの。

 1度作った脚本をロケ現場の状況等で突然シナリオを変える場合があるから、今回のロケにも前田さんに来てもらってたの、ホント丁度良かった。

 アタシは貴方達の話を聞いて、スゴく感動したわ!

 是非、貴方達の実話を元にドラマを作らせて欲しい。

 モチロン、会社内で上手く話が纏まればだけど、アタシは必ずプロデューサーを口説き落としてみせるわ!

 先ずはもう1度前田さんにも今の話をしてあげてくれる?

 あっ、飲み物足りてる?

 料理も何でも頼みなさいよ。」


 そこに俺達の居る場所が軽く騒ぎになっているのを見つけた女優の高坂さんが近寄って来た。


 「なになに?面白い話?

 私にも聞かせてよ、有希ちゃん。」


 「あれ…何で高坂さんが有希の名前を知ってるの?

 知り合いだったの?」


 「ううん、真由ちゃんとはさっきお風呂場で『エキストラの人でしょ?』って声を掛けられて、同い年だから仲良くなったの。

 真由ちゃんの実家とうちが凄く近いんだって。

 連絡先も交換したんだよ。」


 「へーっ、そうなんだ。

 もう下の名前で呼び合ってるんだね。

 ウチの有希をよろしくお願いします。」

 

 それから前田さんと高坂さんを交えてもう一度同じ話をした。

 

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