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黄金崎⑥初めての…

 撮影はそれ程重要なシーンでは無かったのか、2時間程で終わった。

 「オマワリ、給料よ。

 迷惑料込みで多めにしておいたわ、有難く受け取りなさい。」


 「へへーっ、有難う御座い…。」


 俺は渡された封筒の中身を確認すると、5千円入っていた。


 「ちぇーっ、ケチ。」


 「アンタ何言ってるの、2時間の給料としちゃー、いい方でしょ!

 要らないなら返してもらうわよっ!」


 オネェ様が封筒を奪い取ろうとするので、俺は封筒を有希に渡し、


 「有希1人分だとしたら高い報酬だ。

 色々あったが、楽しくやらせてもらいました、オネェ様、ありがとう。」


 「あー、悪かったわね、2人の邪魔をして。

 それじゃ、いい旅を。」


 「「さよならー。」」


 俺達はオネェ様に手を振ってお見送りすると、夕方近かったので、海水浴場出入口付近の水シャワーを浴びてからレジャーシートのテントの中で1人ずつ着替え、必要の無くなった水着やシュノーケルセット、レジャーシート等を車に載せて、黄金崎の名前の由来である岩場までの散歩コースを手を繋いで2人で歩いた。

 恋人繋ぎってヤツだ。


 マジかぁー、手を繋ぐだけで緊張するー、俺から手汗が凄く出てると思うんだが、有希はイヤじゃ無いだろうか…

 こういう時は一旦手を離して拭いた方がいいのだろうか…

 階段を降りて歩きながらそんな事を考えていると、夕陽が当たって金色に輝く岩場を上から見下ろす形の踊り場に出た。

 

 綺麗だ…綺麗ではあるが…

 断崖絶壁のため手すりが付いており安全性に問題は無いが自殺の名所の様な印象も受ける…

 ちょっと怖い、緊張する。


 有希はどう思ったかな…と有希の顔を見つめると、有希も


 「…綺麗だね…。」


と俺を見つめ返して来た。


 俺はふと、有希とキスしたいな…

 こんな所で出来たらいい思い出になるよな…

 と考えたら、物凄く緊張して心臓がバクバク音を立て始めた。

 なんかこの心音が有希に聞こえてそうな気がする。

 心臓が口から出そう、等と例えた人は的確な表現だな、と思った。

 

 時間が凄く経った気がする。  

 俺は思った事を口に出した。


 「…ゆっ…有希の方が、綺麗だよ…。

 あの…こんな事を言葉に出すのは本当はダメなんだろうけど…許して欲しい…。

 俺は有希とキッ…キスをしたい…

 いい…かな…?」


 有希は頷いた後、俺を見つめながら、ゆっくりと目を閉じた。


 こっ、これは…

 キスの合図…!

 俺がヘタレだから、有希も初めてなのに勇気を出して目を閉じてくれている…!

 有希、ゴメンな…

 そして、ありがとう。




 俺は有希と初めてのキスをした…。


 

 

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