黄金崎④オネェ様
海水浴場に戻ると、大規模な撮影隊がロケの準備をしている。
雰囲気からしてドラマの撮影の様だ…ってオイオイ、俺達のレジャーシートを設置した場所にレジャーシートが無い…
マジか!コイツ等…
俺達のレジャーシート何処にやりやがった…!
俺はレジャーシートを設置していた場所に行こうとすると、腰回りにガムテープやら何やらを沢山括り付けて無線を持っている若い男に呼び止められた。
「これからドラマの撮影をするので、立入禁止です。」
俺はメチャメチャ腹が立ち、
「オイ!俺達のレジャーシート何処にやった!
勝手に動かしやがって!
普通は断りを入れてから動かすモンだろうが!
それに立入禁止だと!?
わざわざ遠くから遊びに来てんのに、後から来て何をほざいてんだ!
勝手な事言ってんじゃねーよ!」
と怒鳴ると、男は
「管理者の許可は取ってありますので。」
と謝罪も無く事務的に答えたため、俺は更に
「午前中ずっと遊んでたけど、その管理者様から俺は何も聞いてませんが?
そんな事なら今日は最初っから海水浴場を閉鎖してればよかったんじゃねーか?
取り敢えず俺達の荷物とレジャーシート何処だよ、何か失くなってたら訴えるぞ!」
と怒鳴ると俺の大きな声が聞こえたのか、無線から声が聞こえた。
『どーしたの?何か問題?
そのヤクザ。』
「俺はヤクザじゃねぇ!」
『…聞こえちゃったみたいね、いいわ、アタシが行きます。』
…どう聞いても男の声だ…
オネェか?
俺達が暫く待っていると、背丈は俺より高くヒョロっとしており、髪型はオカッパで、化粧はしてないっぽいが何故か肌は白く、唇の血色が異常にいい赤色で、青ヒゲが目立つ、ラフな格好をした40代くらいのオッサンが近付いて来た。
「アンタが責任者か?
俺達は午前中からこの海水浴場でレジャーシートを設置して遊んでいたが、有料駐車場に車を止めた時には撮影があるなんて管理者からは聞いていない。
なのに昼飯食って帰って来たらレジャーシートは勝手に撤去されてるわ、立入禁止だわ、どうなってるんだ。
コッチだってわざわざ休暇取って遠くからココに来てるのに、午後の予定が丸潰れだ!
しかも謝罪は一切無いし、レジャーシートも何処にあるのか判らない。
アンタ、余りにも部下の躾がなってないんじゃないか?」
「それは失礼したわ、ごめんなさいねー。
アタシはSBTテレビのディレクターの田島っていうの。
貴方達の荷物はカメラに映らないアッチの岩場に置いてあるわ。
コチラも色々と時間の都合があって迷惑を掛けるけど、カンベンしてちょうだい。」
俺は納得がいかないのでまだ文句を言おうとしたら、田島が有希を見ながら、
「アラ…貴女綺麗ね、何処か事務所に所属してるの?」
「いいえ…一般人です。」
「…フム…そうね…そうしようかしら…
ちょっと貴方達に提案があるんだけど。
そのまま遊んでていいから、大きな声は出さないでちょうだい、あとテントは畳んでてくれれば助かるわ。
その代わり、もしドラマに映り込んでても文句は言わない。
これでどうかしら?
ウィンウィンの関係になると思うけど。」
「エキストラに使っちまおうって事か…
有希、どうする?」
「私は構わないけど…
お兄ちゃんは大丈夫なの?」
「俺は映らない様にカメラの方は向かない。
組織にもバレなければ大丈夫。」
「貴方…やっぱりヤクザ…
うちはヤクザはNGよ…?」
「だから、俺はヤクザじゃねーって!
真逆の存在だ、俺は捕まえる方だからテレビには上司の許可が無いと出れないの!」
「アラ、残念ね、エキストラ代出そうと思ったのに。」
「さっきそんな事一言も言って無かったよね、俺が公務員で報酬受け取れないの知ってから言い出したよね、今。
絶対貰うから。
俺の彼女が絶対に貰うから。」
「チッ…バレたか…
扱き使ってやるわ…」
「このオカマ怖えー…」
「オカマじゃねぇ!
田島オネェ様ってお呼び!」
「…有希…婆さんにドラマにエキストラで出ていいか電話して確認してくれ。
あと、報酬貰ってもいいか。
それ次第だな。」
「おいオマワリ、無視すんじゃねーよ!!」
「田島オネェ様、コワー。」




