旅行前夜②
…ドキドキして寝れん…
今は俺がベッドで有希は床に敷いた布団でそれぞれ寝ているが、手を繋いでいる状況だ。
手を繋いで寝るなんてした事無い…
寝れるだろうか…
明日は長距離運転するから寝不足だとキツいな…等と考えていたら、また特大のカミナリが落ちた。
『ズッガーン!ゴロゴロゴロゴロ…』
有希の手がビクッと反応した後、起き上がった様だ。
どうするのかと思ったら、俺のタオルケットの中に潜り込んで来た!
「おっ、お兄ちゃん、一緒に寝てもいい?」
「あっ、あぁ、いいよ…」
「お兄ちゃん…イヤ?
迷惑…かな…?」
「ちっ、違うんだ、俺、女の子と寝た事無いから、緊張してるだけ!
全然イヤとかじゃ無いから!」
「そっ、そう、なら良かった…。」
俺はどうしたらいいか判らなかったが、有希が俺の左横に寝転んだので、ベッドが狭いから腕枕をしてみようと有希の頭の下に左腕を置いてみた。
有希は俺の方に身体ごと向くと、クンクンと臭いを嗅いでいる。
「くっ、クサイっ!?」
「ううん、お兄ちゃんの匂い…
いい匂い。エヘヘっ。」
クサく無くて良かった、加齢臭が出るにはまだ年齢的に早過ぎる。
それにさっき風呂に入ったばっかりで臭ったら相当だよな。
身体も密着してるし、有希のシャンプーの香りもして、ちょっと色々とマズい事になって来た…
俺のセンターポールがチョモランマしてしまう…有希にバレない様にしないと…
「カミナリいつから怖くなったの?」
「うーん…
あんまり記憶に無いけど、仙石原に引越して来てからかな…多分。」
「そうか…これから俺で良ければいつでもおいで。」
「うん、ありがと。」
有希が俺の首筋の臭いをスンスン嗅いでいる…。
「ちょ、チョット…
本当はクサイんじゃないの?
何か知らんけど、実はそのクサさがたまらないとかいうニオイフェチだったりするの?」
「判らないけど、よくフェロモンがどうとか言うよね、本当なのかなと思って…。」
「そんな女の子を惹き付けるフェロモンが今までちゃんと出てたら俺はモテてたハズ。」
「お兄ちゃんのフェロモンは私しか感じられないとか…。」
「うーん…それなら仕方ないな、俺のフェロモン、グッジョブ。」
「あー、でも菅野さんもそうなのかな…」
「アイツはB専だから、顔じゃないの?
俺の顔が好きとかどうかしてる。」
「どうかしてるって自分で言っちゃうのw
お兄ちゃんの顔はカワイイよ、笑った顔がカワイイ、ニヘラっとして。」
「…それってホメられてるとは思えない…
有希はいいよなー、超美形だし…
見惚れちゃうよなー、最初逢った時から美人だとは思ってたけど、本当に羨ましい…」
「お兄ちゃんに美人って言われるのはスゴく嬉しい。
でもお兄ちゃんは最初、私に連絡先とか聞いて来なかったよね。」
「最初逢った時はそれどころじゃ無かったし、再会出来るとは思ってないしなー。
有希が手紙を出して来なかったら、そこで終了だったと思うよ。」
「…私には興味無かった…?」
「そんな事は無いよ!
でも有希が生きるか死ぬかの時に、しかも襲われるんじゃないかと思って怖かったって言ってる時に、連絡先教えてくれ、って迫って来るヤツ信用出来る?」
「出来ないかも。」
「まぁどちらかと言えばワザと聞かなかったんじゃなくて、あの時の状態の有希を家の近くまで送ってやらないと心配だったから、そっちばっかり気になって聞き忘れたっていう方が正しいけどさ…。」
「じゃあ、もしあの時私が自殺するつもりじゃ無くてあの後帰ろうとしたら私に声を掛けた?」
「掛けなかったと思う。
俺は自分の顔の事は自分でよく解ってるから。
だから絶対声は掛けないかな。
有希だって、最初俺の顔、怖いって言ってただろ?」
「あは、あはははは…
そしたら、本当に凄い確率で私達は付き合う事になったんだね…。」
「そうだな…。」
まだ外はゴロゴロ鳴っているが、今のところは気にならない程度だ。
「さぁ、明日早いから寝よう。
目を瞑って。」
俺は有希の頭を暫く撫でていると、有希から寝息が聞こえ始めた。
可愛いなぁ…。




