旅行前夜①
旅行に必要な買い物を全て済ませて家に戻った。
有希の作った夕食を食べて風呂に入り、髪を乾かしてあげて、明日の旅行の準備をそれぞれ済ませて後は寝る事になったが、夕方からは雨が降っていた。
明日の天気は晴れの予報なのだが、こんなに派手に降られると本当に晴れるのか心配になる。
俺は行き当たりばったりでは無く、結構ガッツリ予定を立てる派だから、雨だとちょっとキツい。
そこで外が光ったかと思ったら突然、
『ドーン!ゴロゴロ…』
カミナリだな…光ってから音が早く聞こえたから結構近いかも。
すると間もなくドアがノックされ、パジャマを着た有希が枕を抱えて俺の部屋を覗き込む。
「お兄ちゃん…起きてる?」
「あぁ、起きてるよ、どうしたの?」
「あ…あのね…私ちょっと…カミナリがね…」
「あー、ニガテなのか?
いいよ、おいで。」
俺は部屋に有希を招き入れた。
「涼しいー。
お兄ちゃんは寝る時はエアコン付ける派?」
「あぁ、俺は仕事中はいっつも暑い思いをしてるから、家に居る時は快適に過ごしたいんだ。」
暑い中、身体中に鉄板を巻いて重い物を腰回りにぶら下げて、時には24時間以上入口を開けた交番に居て着替えも出来ずに仕事をしなければならない。
チョット汚い話になるが、夏場は仕事の時間が経つに連れて自分から臭い立つ汗のニオイが気になって仕方無い。
一応デオドラントスプレーやボディペーパーを使ってはいるものの、何処まで効果があるのか…
中でも1番臭いのは足だ。
靴も仕事中はずっと履いている…
24時間以上、ずーっとだ。
仕事が終わり、靴を脱いだ時には自分の足のニオイが鼻先にまで臭って来るのが耐えられない。
長い間消臭グッズを色々と試してみた結果、最後に行き着いたのが指股に塗る消臭クリームだ。
このタイプの物が1番効果がある事に気付いた。
後は仕事帰りに靴の中敷きに消臭スプレーを掛けて帰るとカンペキ。
この足のニオイのエピソードで1番笑えるのは、ある日後輩が俺に駆け寄って来て、
「先輩、俺、凄い消臭スプレー発見しました!
今までの中で1番効果があるんですよ、先輩も使ってみますか?」
と言いながら俺に見せて来たのが、
『生ゴミ用消臭スプレー』
だった。
俺は爆笑してマジで涙がちょちょぎれた。
…イカンな、話が逸れると止まらなくなる。
「お兄ちゃん…もし暫くしてもカミナリ鳴り止まなかったら、一緒に寝てもいい…?」
「あっ、あぁ、いいよ…。
布団持って来ようか?」
「あっ、うん、お願いします。」
むー、女の子と同じ部屋で寝るなんて初めてだ…寝れるかな…。
俺は有希の布団を俺の部屋に持って来るとベッドの横に敷いた。
「あっ、明日出発早いから、早めに寝ようか。」
「そっ、そうだね、おやすみなさい。」
「おやすみー。」




