デパートで水着②
「イヤ、水着が気に入ったというか…
有希を見ていたい…。」
俺と有希は2人して顔を赤くしながら見つめ合っている。
そこに先程店内にいた女子高生の集団が有希を見て、
「あー、あの子可愛いー!
超美形!
どこかのアイドルじゃないの?
水着も可愛いー!」
「えー、さっきのブサメンだ、マジで?
なんであの女の子と?
全然釣り合わん、なんなのアレw」
「マネージャーとかじゃないの?
顔が怖いし、カレピとか無理があるっしょw」
女子高生の会話が丸聞こえだったので俺が俯きながら固まっていると、有希は俺の顔を両手の平で挟んで自分の顔の方に向かせ、俺の目をじっと見つめながら、
「お兄ちゃん、他人の声に惑わされないで。
お願い、私だけを見て。
私の声にだけ耳を傾けて。
他人の評価なんて、どうでもいいの。
私だけがお兄ちゃんの素敵な所を沢山知っていれば、それでいい。
私はお兄ちゃんさえ側に居てくれれば、幸せなの。
大好きだよ…。」
有希は俺の頭を自分の胸に抱き寄せた。
男の夢…ぱふぱふだ…
初ぱふぱふ…しかも生ぱふぱふだ…
でも今はイヤラシイ感じはしない、なんか温かい感じがする…。
俺は有希の胸に耳を当てる。
有希の心臓の音が聴こえる。
トクン…トクン…。
自分以外の心音を聴いたのは初めての様な気がする…
不思議な感じだ。
なんか、落ち着く…
みんな生きてるんだな…って実感する。
「俺、有希の体育祭の時、有希がリレーを走り終わった後に俺に手を振ってくれてたのに、俺の周りにいる女の子達が、『何でこんなヤツに手を振るの?』って顔でコチラを見て、会話してるのが聞こえて…
有希の評判が落ちるかと思ったから、手を振り返すのを止めたんだ…。」
「あぁ、だからあの時、手を振り返してくれなかったんだね…
お兄ちゃん…お兄ちゃんは近い将来、私の旦那様になるんだよ。
私はお兄ちゃんのお嫁さんになるの。
だからお兄ちゃんと、これからずーっと一緒なんだよ。
私の評判なんて、気にすることない。
私の側にお兄ちゃんが居る事で文句を言う人がいるなら、そんな人との付き合いは今後一切お断りだよ。」
「ありがとう…俺も有希さえ側に居てくれるのなら、他には何も要らない。」
俺は有希の胸から顔を上げ、有希を見つめた。
有希も俺を見つめている。
「あのー…お客様…。
他のお客様から、如何わしい行為をなさっていると通報が入りまして…
他のお客様のご迷惑となりますので…。」
「スミマセンね、水着を買ったら帰ります。」
アレ…何かデジャブ…
さっきの女子高生達がニヤニヤしていたり羨ましそうにしていたりとそれぞれ遠巻きにコチラを見ていた。




