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片山家②

 ダイニングに移ると彼女は3人分の夕食を準備していた。

 いつもの食卓は知らんが、おかずが沢山ある。

 

 サラダ、豚バラ大根、角煮、カジキの煮付、ほうれん草と人参の白和え、豆腐となめこの赤だしの味噌汁にご飯。


 「わー、凄いね、全部片山さんが作ったの!?

 美味そう。」


 「…ワシらは2人とも片山じゃからな、孫の事は名前で呼ぶがえぇ。」


 意味ありげに笑うババァ…

 サムズアップすんじゃねえ!


 「…では、有希ちゃんでいいかな?」


 「呼び捨てでいいよ、好きに呼んで。」


 若干顔を赤らめて言うから、コチラも意識してまうやないか…ポッ…


 「キモいな、オッサン。」


 「年老いたババァが使う言葉じゃないよね、それ!」


 「いや、年頃の娘と暮らしていると、言葉が移ってしまってな。」


 「お婆ちゃん、私あんまりキモいって使わないけど…」


 「ゴホン、ゴホン、ふぃー、折角の夕飯が冷めてしまうぞ、はよ座らんか。」


 咳払いで誤魔化すなよ、どこでそんな言葉遣いとか学習してんだババァ…


 「「「いただきます。」」」


 俺は箸を左手で掴むと彼女が、


 「遠山さんは左利きなの?」


 と聞いてきたので、


 「そうだよ、書いたり投げたり蹴ったり、利き目も全部左。」


 「えっ、利き目ってあるの?」


 「あるよ、有希ちゃんの目がどちらが利き目なのか知りたければ後で教えてあげる。」


 と言いながら角煮を食べる。


 「美味い…!

 こんな家庭料理、久しぶりだ、最高!」


 何を食っても美味い、ナンダこりゃ、これが女子高生の腕前か、スゲぇな女子高生!


 「…全部お婆ちゃんに教わったんだ。」


 「なんかさっき自分で老い先短いって言ってたから、早めに色々と習っておいた方がいいよ。

 後20年は生きると思うけど。」


 「オイぃ、随分と遠慮が無くなって来たな、小童こわっぱ。」


 「こわっぱって(笑)」


 「こんな短い時間で随分と仲良くなったんだね。」


 にこやかな彼女。


 「有希、遠山は明日学校に行ってくれる事になったから、酒を飲ませていいぞ、今夜は泊まらせるから後で客間の用意をしておくれ。」


 「あぁ、一緒に行ってくれるんだ、何から何まで本当にありがとう。」


 「あんまり力になれないかもだけどね。」


 彼女は冷蔵庫からビールとコップをこちらに持って来て、お酌をしてくれた。

 女子高生からお酌って…何だコレ、アリなのか…?

 うめぇー、角煮と豚バラ大根とよく合う!


 彼女はババァにもお酌していた。


 「プハァーッ、この一杯のために生きてる様なもんじゃ!」


 「婆さん、酒は強いんか?」


 「昔は蟒蛇うわばみと畏れられたものよ…」


 「うわばみって…(笑)

 明日があるんだから、程々に。」


 「わかっとるわぃ、ケチンボ。」


 うわー、ババァが言っても可愛く無いなぁー。


 

 

 

 

 

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