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決戦④告白

 俺達は会計を済ませて外に出ると、店の比較的近くにある、遊具の無いどちらかというと大人向けの広い公園のけやきの木の下にあるベンチに腰掛けた。


 大きめのベンチには俺が真ん中、右横には菅野、左横には有希が座っている。


 昼を過ぎてそんなに経っていない時間で、公園内には人は見当たらない。


 何だろう…周りから客観的に見たら、修羅場ってる様に見えるのだろうか…

 イヤ、実際に修羅場か…?

 

 でも本当は、付き合ってもいない婚約をしたフリをしているエセカップルとストーカーが1人並んで座っているだけなんだが…

 よくよく考えるとおかしな関係だな。


 場所を移してから最初に切り出したのは菅野だ。


 「片山さん、貴女はまだ10代なんだから、これから社会経験を積んでいく過程で沢山イイ男と巡り会えるわ、だから結婚なんて早まるのはやめなさい。」

 

 「何人も取っ替え引っ替えしなくても…

 たった1人をずっと愛することの何がいけないんですか?

 私はこの初恋を貫きます!」


 「あら初恋だったの、初恋は実らないものよ。

 それなら男の経験も無いんでしょ?

 身体の相性だってあるんだから。

 ね、先輩?」


 「知らんがな。」


 魔法使い見習いの俺に聞くな。


 「あぁ、先輩は童貞だったっけ。

 それなら私の虜にしてあげる。」


と言いながら俺の右横から抱き付いて、胸を押し付けて来る。


 「私無しには居られなくしてあげるわ、先輩、私を選びなさい。」


 菅野が当てつけの様に俺にキスをしようとした。


 俺がそれを避けて有希に目を向けると、両目には大粒の涙が溢れていた。

 

 俺はそれを見た瞬間、頭を殴られた様な衝撃を受けた。

 あぁ、そうだったな、こんな大事な事も忘れていたなんて…

 

 更に菅野が、


 「あら、泣いてるの?

 悔しかったら、貴女もキスの1つや2つしてみせたら?」


と有希を挑発する。


 俺は有希の涙を指で拭い、有希をベンチから引っ張って、近くにあった欅の木の下で手を繋いで並び立った。


 あぁ、予定より早いが仕方ない…

 有希の涙を見たら、告白するのは大学に合格したら…なんて言っていられなくなった。

 本当は告白の仕方を色々考えてたのに…

 でも当たって砕けたらイヤだな…。


 「有希…彼女は過酷な環境に生まれ育ちながら、自殺すら考える原因を作った相手をも許す慈悲深さを持ち、優しく、聡明で、大変美しい女性だ。

 正直、俺には不釣り合い過ぎる。

 あんな出逢いが無ければ絶対に話すら出来るハズの無い、高嶺の存在だ。

 でも、あの日…泣いている有希と偶然出逢ったあの時、俺は思ってしまったんだ、彼女に泣き顔は似合わない、彼女の笑顔を守りたい、と。

 最初は嫌われている、相手にされるハズがない、と自分からは連絡しなかった。

 だが彼女から俺に連絡をしてくれて、手料理を食べさせてくれたり、デートの様な事も何度もした。

 でも俺は自分に自信が無いから、彼女に相応しい男が現れるまで、側にいて見守っていられれば、と思う事にした。

 しかし俺は彼女の側にいさせてもらえる事により、欲が出て来てしまったんだ…。

 もしも彼女がこんなブサイクな俺でもいいと思ってくれるのなら…

 俺が彼女と並び立ち、今後の人生を共に歩んでもいいと思ってくれるのなら、俺は彼女とずっと一緒にいたい。」

 

 俺は菅野の視線を遮る様に有希の前に立ち、


 「有希…俺は有希が好きだ。

 結婚を前提に、改めて、俺と付き合って欲しい。」

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