決戦③
俺はアイスコーヒーをストローでひと口飲む。
「…本題に入ろうか、オマエのピアスを見つけたのは有希…俺の婚約者だ。
彼女にオマエと浮気してるんじゃないかと疑われてな、オマエに直接ピアスを返しに行った時に話を聴こう、という事になったワケだ。」
「先輩、まやって呼んでくださいって言ってるのに…
改めまして、私は菅野まやといいます。
片山さん、早速だけど、遠山先輩は貴女という存在がありながら、私と浮気しています。
こんな男とは別れた方がいいと思うわよ。」
「…な?こういうヤツだから、兎に角気を付けてくれよ?絶対に口車に乗らない様に。」
「はぁ…最初にスマホの録音聴いておいて良かった…。
菅野さん、嘘はつかなくても大丈夫です。
私は真之さんの事を信頼してますので。」
「信頼してるって言う割には浮気を疑ったのよね?
片山さん歳はいくつ?」
「菅野さんの策にまんまと引っ掛かってしまいましたね…
17です。」
そういえば俺、有希の誕生日聞いてないな…ヤバっ…
こっそり婆さんに聞こう。
「高校生か…その年齢で婚約なんて早過ぎない?
遠山先輩に騙されたのかしら…。
貴女程美人なら、これからいくらだって男は寄って来るし、いい男も選り取り見取りだと思うんだけど。
遠山先輩を私に譲ってちょうだい。」
「…真之さんの悪口は言わないでください…!
真之さんは命の恩人です、それに助けてくれた後は真之さんの方から一切連絡はして来ませんでした…。
とても誠実で素敵な方です、私は真之さん以外には考えられません。」
「何、そのエピソード…もっと詳しく!」
「貴女には教えません!
もっと好きになられても困りますから。
逆に、菅野さんはまだ真之さんと付き合ってもいないのに、何故真之さんにそこまで固執するんですか?」
「…私は昔、イケメンと付き合ってたの…。
でも散々振り回されて、貢がされて…
終いには四股を掛けられていたわ。
もう見た目がいい男なんて懲り懲り…
ブサイクな男なら、私だけを見てくれるし、凄く優しくしてくれる…
だから私はB専なの。
それに、先輩は他人を救うために自分の命を懸ける事の出来る人よ…
先輩が目の前でビルとビルの間を飛び越えた時は、感動で打ち震えたわ…
私にはこの人しかいない、って思ったの。」
「…私もそのお話、詳しく知りたいですね…。」
「嫌よ、私も貴女には教えないわ!」
2人とも顔は笑っているが、目は笑っていない。
…何か、2人の目の前で火花が散っている様だ…
ちょっと自意識過剰だとは思うが、俺って生まれて初めてモテ期が来たのかな…って勘違いしちゃうよね、コレ…。
そこに店員さんが来て、
「あのー…、申し訳ありませんが、大きな声をあげますと他のお客様のご迷惑となりますので…。」
「スミマセンね、今帰ります。」
俺は2人に外に出る様に促した。




