決戦②
「さて、俺の婚約者はニセモノでは無い。
まずピアスを返そう。」
俺は透明ビニールの小袋に入れてあったピアスをバッグから取り出し、小袋ごと菅野に渡した。
「オマエ、ワザと車の助手席の足元にピアスを置いてきたな、何のつもりだ。」
「あら、私はワザとなんて置いてきてませんよ、たまたま付けていたピアスが落ちてしまったんです。」
「それはウソだ、オマエはあの時ピアスを付けていなかった。
車に乗っている間にハンドバッグから取り出して置いてきたんだろうよ。」
「先輩、よく私の事見てますね、嬉しい。
でも、あの時ピアスを付けていなかったという証拠でもあるんですか?」
「あぁ、あるぞ。
俺の車にはドライブレコーダーが付いていてな、車内も録画される様になっている。」
「なるほど、では言い逃れ出来ませんね。
でもハンドバッグの中にピアスは入れてあったので、たまたま落っことしてしまったんでしょう、ご迷惑をお掛けしました。」
菅野はそう言ってニヤニヤしているので、間違いなくワザとだろう。
そして、何故か急に有希が真っ赤な顔をしてソワソワし始めた。
どうした、有希…?
「あの…真之さん、ドライブレコーダーの録画はどのくらい前まで記録されているの?」
実はそれほどマイクロチップの容量は大きくないので、菅野を車に乗せた時の映像は既に残っていないのだが、それを言うと菅野を騙したのがバレてしまうので、今は言えない。
「結構長く録画されているハズだけど、詳しくは判らないな…
有希、どうかしたか?」
「あっあっ、あの…エッと…真之さんとキッ…キスした時の映像とか残っちゃうワケだよね…?」
…俺は車の中で有希とキスした覚えは無いが…
もしかしてイチャイチャを菅野にワザと見せつけるためにウソを付いているのかな?
だったらコチラも話を合わせないと。
「そうだな、残っちゃってるかな…
イヤなら後で消しておくよ、ゴメンな、気が利かなくて。」
「えーっ!お兄ちゃ…真之さん、見ちゃったの!?
ウソ、恥ずかしいっ!!
えっと、えっと、もう見ちゃダメっ!
私が消すよ、後で消去の仕方を教えて!
絶対に私がやるから!」
有希はスゴい演技派だな、真っ赤になって、俺の手を掴んでブンブン振っている。
本当に恥ずかしがってる感じがする。
「あー、わかったわかった、後で教えるな(笑)」
「今、お兄ちゃんって言いかけましたよね、まさか兄妹とか親戚っていうオチじゃ…?」
「俺はひとりっ子だし、彼女は親戚では無い。
歳が離れてるから、ちょっと前までお兄ちゃんって呼ばれてただけだ。」
ここで店員さんが俺にアイスコーヒー、有希にアイスティーを運んで来た。
菅野のアイスコーヒーは既に半分ほど無くなっている。




