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指輪入れ

 次は鹿の革に漆で模様を付けた生地を使い、財布やバッグを作成して売っている店に行った。

 俺はここの指輪入れを仕事中の財布に使用している。

 

 本来は指輪を入れるのだろうが、小銭とお札の仕切りが付いており、他の革製品より軽くて小さくて邪魔にならないスグレモノだ。

 

 「結構種類あるねー。

 財布、小銭入れ、パスケース、コンパクトミラー、判子ケース、キーホルダー、キーケース、バッグ…いっぱいある。

 シブいものばかりかと思ってたけど、色んな柄があるんだね。」

 

 「何か欲しい物があれば買うよ。」


 「えー、いいよ、結構いい値段するし。」


 「せっかく来たんだから、ね? 

 俺も持ってるし。

 いらなければ無理にとは言わないけど、鹿革製品だし軽くて丈夫で長持ちするよ。」


 「本当だ、鹿って軽いんだね!

 …うーん、じゃあお言葉に甘えて…。」


 有希は暫く選んだ結果、俺とお揃いの指輪入れとパスケースを俺に差し出した。

 柄は音符柄だ、可愛い。


 「お願いします。」

 

 「いい柄だね、使ってくれると嬉しい。」

 

 「うん、大事にするね。

 …いつか中身も買って貰うから…。」


 …何か聞こえて来たけど、俺に言ったんじゃないよな…?

 そう思ってチラッと有希を見たら、コチラをぢっ…と上目遣いで見つめていた…。

 

 えっ…と…これは何か答えないといけないのか?

 俺は指輪の事はよく知らないけど、そんな恋人とかでなくてもポンポン買っていい物なの?

 

 …うーん、解らん…

 ここは黙っておこう。


 俺は黙って有希のパスケースと指輪入れを買っていると、後ろから


 「ちぇーっ。ちぇーっ。」


 とイジケた声が聞こえた。

 ……何か俺、指輪買ってやらないとイケナイの…?

 この子こんなキャラの濃ゆい子だったっけ?

 可愛いけども。


 まぁいいか、安い指輪くらいなら。

 泣いていたあの子がこんな、ちぇーっとか言う程元気になったんだもんな…

 今度買いに行くか。


 「分かった分かった、指輪が欲しいのか?

 安い奴なら今度買ってやるよ、そういうのは恋人にねだるモノじゃないのか?

 知らんけど。」


 「お兄ちゃん…解ってない…もういい…

 あっ、やっぱりよくない…。


 …そうだ!

 私、お兄ちゃんとお揃いの指輪欲しい。

 ナンパ避けの指輪。

 それで、お兄ちゃんがお揃いの指輪してれば、私はナンパされないと思う!

 私とお出掛けする時は、必ず指輪して来て!」


 えぇーー!!

 そんな…俺は嬉しいけど…

 それじゃ有希がこんなブサイクと付き合ってるって勘違いされちゃうよ…?


 「有希の分だけでいいんじゃない?

 俺が居る事には変わりないし。」


 「ダメーっ!

 お揃いである事に意味があるのっ!

 ねっ…?お願い……。」


 最近このパターン多いな…

 可愛い子には逆らえない…


 「分かった、じゃあ今度買いに行こう。」


 「やったー!おそろー!」


 有希は俺の右腕を両手で抱えて嬉んでいたが、チョット…

当たってるよ、当たってる…

 この子、こんなにスキンシップ多かったっけ?

 

 これが本来の有希なのかもな…

 これからも見守って行こう。


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