おしり
「絵はどうなの?」
「最近趣味にしようと思っててな。
車に椅子と水彩画の道具を積んで、景色のいい場所でスケッチブックに絵を描こうかと。」
「今度私を描いてみて。」
「あぁ、写真撮らせてくれる?
そしたらその写真通りの絵を描くから。」
「えぇー、楽しみ。
いいよ、いつ撮る?」
「服もその通りに描くから、パジャマでもいいなら今でもいいけど。」
「じゃあ明日の服の時に写真は撮ってもらおうかな。
あー、思い出した!
あと、お兄ちゃんのアルバムの写真見せて!」
「いいけど、明日でいいか?今から探すのもな。」
「えー、仕方ないなぁ、今日はマッサージでガマンするよ。」
「はいはい、髪終わったよ。
マッサージは肩でいいか?」
「えっ、全身じゃないの?」
「エッ、俺に全身を揉みくちゃにされても構わないと?」
「言い方っ!
…何か、そう言われると…えっちい。」
「ですよねー、セクハラで訴えないでください、ゴメンナサイ。」
「お兄ちゃん、私はそんな事で訴えたりとかしないから。
安心して?
お兄ちゃんは気にし過ぎ。」
「でも、俺はこんな顔だから」
「お兄ちゃん、私は大丈夫だから。
他の女の人にはセクハラに取られるかもしれないけど、私は大丈夫だから。」
「…うん…」
俺のショボくれた顔を見たからか、有希はソファーから立ち上がって俺の背後へ回り込むと、後ろからそっと抱き付いてきた。
俺がビックリしていると、有希は俺に抱き付いたまま、
「お兄ちゃんは本当に色々と苦労してきたんだね…
私は最初にお兄ちゃんに逢った時に言ったよ、男は顔じゃないって。
お兄ちゃんはあの時信じてくれなかったけど、私は今でもそう思ってるよ。
お兄ちゃんは多分、自分の事が好きじゃ無いんだね…
でも私はお兄ちゃんの事……すっ、す、す、す……ステキな大人だと思ってる。
あんまり自分の事を卑下しないで。
もっと自信を持っていいんだよ。」
あの…有希さんや、色々と…その…当たってマスヨ…(汗)
「うん、ありがとう、有希。
元気出た。」
と、背後の有希を後ろを見ずに手を回して軽くポンポンしていると、
「アッ…お兄ちゃん、ソコ…おしり…」
「すっ…スンマセンした
っ…!!!」
俺のフライング土下座が炸裂した。
多分、俺の性格は今後も変わらないだろう。
有希は赤くなりながらも許してくれたので、改めてお礼に肩を揉む事にした。
「結構凝ってるね、揉むと判るよ。」
「あっ…うん…お兄ちゃ…気持ちイイ……。」
……あれ、これ俺がダメージ受けるヤツじゃね…?
「アン…あっ…ソコ……もっと…上手っ…。」
あ゛ーー、無理無理、もう無理ー!!
俺のライフはもうゼロよっ……ぷしゅー。
俺はマッサージを封印する事にした。




