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タッパー

 このパン屋は元々湯本にあるホテルの1階にあるパン屋だったのだが、支店がいくつか出来た後、ホテルにあった本店だけが潰れて支店が残っている形だ。

 俺はここのクロワッサンとトリコロールというブルーベリーとチーズが入ったパンが好きなのだが、やっぱり本店のクロワッサンが1番好きだったな、何か味が違う気がする。

 勿論、美味しくない訳ではないのだが。


 ここで婆さんと有希の分のクロワッサンを購入して、最後に大型スーパーで食材、大量のタッパーと保冷バッグと保冷剤を買った。

 何となく聞かなくても理解出来たのだが、改めてタッパーを買った理由を有希に聞いたところ、有希は


 「モチロン、お兄ちゃんに私が作った料理を家に持って帰って食べてもらうためだよ。」


 「ですよねー。

 嬉しいし有難いけど、大変だし気にしないでいいんだよ?」


 「遠いから毎日作ってあげられないけど、出来るだけ野菜とかを食べて欲しいの。

 仕事中もコンビニ弁当とか出前なんでしょ?」


 「その通り、でございます。 

 よくご存知で。」


 「じゃあ作らせて。

 それとタッパーはまたコッチに来る時に持って帰って来てね。」


 「えっ、でも来年受験でしょ?

 大変だし、いいよ。」


 「私成績はいい方だし、うちの学校は試験勉強さえしっかりやってれば推薦取れるから大丈夫。

 これからも遊びに連れてってもらうから、そのお礼だと思って。

 ねっ?いいでしょ…?」


 上目遣いで見上げられたら、破壊力、ばっつぐーん!


 上目遣いって、こっ、こんなに可愛いんだ…

 反則だよ、絶対断れない…。


 「うっ…うん、ありがとう…。」


 俺、女の子耐性無いからオロオロしっぱなし。

 

 有希はニコニコしてるし。


 俺ってそんなにオカシイかなぁ…。


 片山家に帰って有希が作った夜ご飯を食べて、その後に中身の入った大量のタッパーが入っている保冷バッグを持たされて帰った。

 

 今度から片山家に食費を納める事にした。俺の分を作ってもらうなら当然だ。


 あぁ、そうだ、有希が来た時のために、歯磨きセットとか布団セット買わないと。

 お客さん用の布団とか無いよ、客なんて来ないし。

 部屋は無駄にあるけど、どこを客間にしようかな…

 掃除もしておかないとな…

 

 アレ?

 掃除しに来てもらうのに掃除しておくって、おかしくね?


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